月〜金曜日 21時48分〜21時54分


京の山から 

 京都市を東西と北側の三方から囲んでいる山は、京都市民はもちろん、関西の登 山、ハイキング愛好家たちが手頃なコースとして親しみ、週末ともなれば山を楽しむ 人たちでにぎわう。それぞれの山頂からの京都市街地の眺めは趣が異なり素晴らし い。山頂や山麓には数多く社寺があり、これらの社寺巡りをするのもまた楽しい。今 回は京都市を囲む代表的な山と山頂からの眺めを紹介する。


 
比叡山  放送 9月25日(月)
比叡山ケーブル 京都市の北東にひときわ高くそびえるのが標高848mの比叡山。昔は比叡山延暦寺の修行僧たちが、細い山道を登っていたが、今は京都市側、大津市側からケーブルカー、ロープウエイ、ドライブウエイなどが建設され、手軽に登れる山となり、老若男女、誰もが山頂の自然や眺望を楽しむことができる。
 山頂やドライブウエイ沿いにはしゃれたホテルやレストランなどが建ち、ゆっくりと比叡山で心の安らぎを求めることもできる。
(写真は 比叡山ケーブル)

比叡山ロープウェイ 比叡山に初めてのケーブルカーが建設されたのは、大正14年(1925)京都市側からだった。当時、鉄道事業も手がけていた京都電灯会社が比叡山への登山を便利にするため、利益は二の次にしてこの難工事に着手した。出町柳〜八瀬(現八瀬遊園)間5.6kmの平坦線と西塔橋(現ケーブル八瀬遊園)〜四明ヶ岳(現ケーブル比叡)間1.3kmの山肌を登るケーブル線の建設だった。スイスのケーブル鉄道をモデルにし、機械類はすべて海外から導入し、ケーブルカーの安全性を最重点に工事を進め大正14年12月に完成させた。
 京都電灯会社はその後、昭和3年(1928)に四明ヶ岳から比叡山までのロープウエイを建設した。これでケーブルカー、 ロープウエイを乗り継いで、わずか13分で簡単に比叡山の頂上へ行けるようになった。当時としては画期的なことで、比叡山からの京都市街地の素晴らしい眺めが楽しめ、延暦寺への参詣も気軽にできるようになった。
(写真は 比叡山ロープウェイ)


 
京見峠  放送 9月26日(火)
峠の茶店 洛北鷹ヶ峰には若狭、丹波へ通じる街道が通っている。若狭方面から山道を登り詰め、頂上の峠にたどり着くと視界がいっぺんに開ける。その名の通り比叡山から東山連峰、京都市街地が一望できるのが京見峠である。
 京見峠へは、京都市北区の源光庵バス停から登れば、徒歩約1時間で峠に着く。峠には農家風の造りの建物がそのまま生かされた茶店がある。このひなびた風情の茶店で飲む一服の茶は、峠への登りの疲れをいやしてくれる。
(写真は 峠の茶店)

丸窓と角窓・源光庵 京見峠の麓の登り口にある源光庵は、京都には少ない曹洞宗の禅刹。南北朝時代の貞和2年(1346)に創建された時は臨済宗の寺だったが、江戸時代の元禄年間に曹洞宗に改めた。境内には禅寺らしいきりりとした雰囲気が感じられる。
 本堂に2つの大きな窓がある。丸窓は禅と悟りの境地の円通の心を表す「悟りの窓」で、角窓は人間の一生を象徴する「迷いの窓」だと言う。本堂に座し、窓を通して眺める風景で心を落ち着かせたいものだ。また本堂廊下の天井は、関ヶ原の戦いの時、伏見城を死守して自刃した鳥居元忠らの血の跡が残る板の間の用材を使ったもので「血天井」と言われている。
(写真は 丸窓と角窓・源光庵)


 
岩田山  放送 9月27日(水)
嵐山モンキーパーク 嵐山の渡月橋南詰の岩田山自然遊園地入り口から、高低差150mの遊歩道を登ると、比叡山、大文字山、京都市街地が一望できる岩田山展望台に出る。この自然遊園地内(嵐山モンキーパークいわたやま)に足を踏み入れると可愛いニホンザルが近寄ってくる。
 昭和31年(1956)の開園以来、ニホンザルの生息地として知られ、現在約170頭のサルがいる。1日3回餌が与えられ、食事後は園内で遊んでいる。園内のサルはすべて名前が付けられており、生年月日までわかると言う。岩田山からの眺めを楽しんだら、帰るとき試しにサルの名前を呼んで「さようなら」とあいさつしたら、サルが振り向いてくれるだろうか?。
(写真は 嵐山モンキーパーク)

法輪寺 岩田山自然遊園地の入り口近くにある法輪寺は、開創が奈良時代初めの和銅6年(713)と言う古刹。本尊は虚空蔵菩薩像で、京都市民や信者からは「嵯峨の虚空蔵さん」と呼ばれ親しまれている。堂塔は室町時代の応仁の乱や幕末の禁門の変の兵火で焼失した。現在の建物は本堂が明治17年(1884)、客殿、庫裏、山門などが大正3年(1914)に再建されたものだ。
 法輪寺は毎年数え年で13歳になった男女の子供たちが、厄払いと知恵を授けてもらいに虚空蔵菩薩に祈願する「十三詣り」が有名で、毎年3月13日から5月13日の間にお参りする人が多い。特に縁日の13日は着飾った子供連れでにぎわう。遠くは東京方面から訪れる参詣者もいると言う。
(写真は 法輪寺)


 
将軍塚  放送 9月28日(木)
将軍塚から京都市内を望む 八坂神社から円山公園を抜け、東山へ向けて約30分登ると将軍塚に出る。この一帯は青蓮院の飛び地境内で、青蓮院将軍塚大日堂がある。また、約260平方mの枯山水の見事な庭(枯山水庭)があり、庭園の北と西側に展望台が設けられ、京都の市街地が一望できる。
 特に、西展望台から間近に見る京都の夜景は素晴らしく、車のライトで京の碁盤の目状の街路が光の帯となってくっきりと描き出される。
(写真は 将軍塚から京都市内を望む)

将軍塚 将軍塚は、延暦13年(794)に桓武天皇が都を平安京(現・京都市)へ遷都した際、都の守護神として高さ2.5mの将軍像を土で作り、鉄の甲冑(かっちゅう)を着せ、鉄の弓矢を持たせて西向きに埋めたと伝えられる塚。この塚は直径が約10mの円墳状で、塚を中心に公園化され、眺望の良さも手伝って市民や観光客らの憩いの場となっている。
(写真は 将軍塚)


 
愛宕山  放送 9月29日(金)
愛宕神社参道 京都で山と言えば東の比叡山、西の愛宕山。「お伊勢へ七度、熊野へ三度、愛宕さんへは月参り」といわれ、京都の人々に親しまれてきたのが愛宕山で、ハイキングコースとしても人気があり週末はにぎわっている。
 京都市右京区清滝の登山口から標高924mの愛宕山山頂まで約2時間、かなりきつい登山道を約2時間登ると山頂の愛宕神社に着く。愛宕神社は全国にある約800社の愛宕神社の総本宮で「火伏せの神さん」として知られている。神社から授かる「火迺要慎(ひのようじん)」のお札は、昔から各家庭のおくどさん(かまど)に張られていた。
また、7月31日から8月1日にかけてお参りすると千日分のご利益があるといわれ、千日詣りには、毎年、真夏に汗だくになりながら山頂を目指す信者が跡を絶たない。
(写真は 愛宕神社参道)

空也上人像(月輪寺) 愛宕山の尾根を東へ約30分ほど下ると月輪寺(つきのわでら)がある。寺伝によると藤原京時代の大宝4年(704)に泰澄が開山したとある。念仏行者の始祖とされる空也上人は、この寺で修行し念仏の悟りを開いたといわれ、空也上人像が安置されている。近くには空也上人が修行した空也滝もある。
 また、法然上人が讃岐、親鸞聖人が越後へ配流になる時、この寺に隠棲して円澄と号していた九条兼実が別れを惜しみ、3人がそれぞれの木像を刻んで形見とした。この木像は三祖師像といわれ、今も寺宝として寺に伝えられている。
(写真は 空也上人像(月輪寺))


◇あ    し◇
比叡山叡山電鉄出町柳駅から八瀬遊園下車、叡山ケーブル、叡山ロープウエイを乗り継いで山頂へ。
JR湖西線比叡山坂本駅、京阪石山坂本線坂本駅下車、比叡山坂本ケーブルカーで延暦寺駅へ。
他に京都市内のJR京都駅、阪急烏丸駅、京阪三条、出町柳駅、大津市のJR湖西線雄琴駅、堅田駅からそれぞれ定期バスの便がある。
源光庵京都市バス源光庵下車。 
京見峠京都市バス源光庵下車徒歩約1時間。 
嵐山モンキーパークいわたやまJR嵯峨野線嵯峨嵐山駅下車徒歩10分。
阪急嵐山線嵐山駅、京福電鉄嵐山線嵐山駅下車徒歩5分。
京都市バス、京都バス中ノ島公園下車徒歩3分。
法輪寺JR嵯峨野線嵯峨嵐山駅下車徒歩8分。
阪急嵐山線嵐山駅、京福電鉄嵐山線嵐山駅下車徒歩3分。
京都市バス、京都バス阪急嵐山駅前下車徒歩3分。
将軍塚京都市バス祇園下車、円山公園を経て徒歩約30分。 
愛宕神社、月輪寺京都バス清滝下車徒歩約2時間。 
◇問い合わせ先◇
京都市観光協会075−752−0225  
叡山ケーブル、ロープウエイ075−781−3453 
源光庵075−492−1858 
嵐山モンキーパークいわたやま075−872−0950 
法輪寺075−861−0069 
青蓮院将軍塚大日堂075−771−0390 
愛宕神社075−861−0658 
月輪寺075−871−1376

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

@・・・ひょうごシンボルルート   
A・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
B・・・越前戦国ルート              
C・・・近江戦国ルート              
D・・・お伊勢まいりルート         
E・・・修験者秘境ルート           
F・・・高野・熊野詣ルート         
G・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
                  TEL:0180−996688    約3分 (通話料は有料)

 

◆歴史街道倶楽部のご紹介

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歴史街道推進協議会