月〜金曜日 21時48分〜21時54分


福井・丸岡町 

 福井市の北に隣接し、近年は福井市のベッドタウンとして人口が急増している。
江戸時代には丸岡藩の城下町として栄えた。丸岡城の一筆啓上書翰(しょかん)碑がきっかけで「日本一短い手紙 一筆啓上賞」を設け、短い手紙文を募っている。最近は「一筆啓上・日本一短い手紙の丸岡町」として、海外にまでその名が知られるようになった。


 
一筆啓上・日本一短い手紙  放送 11月27日(月)
一筆啓上書翰碑 有名な「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」の手紙は、徳川家康の家臣・本多作左衛門重次が天正元年(1573)、武田軍と織田・徳川連合軍が激突した長篠の戦いの陣中から家族に書き送ったもの。簡素で要領を得た手紙の見本とされている。「お仙」とは、後に丸岡城主になった重次の子・成重(幼名・仙千代)のことで、丸岡城天守閣のそばに「一筆啓上」の文面を刻んだ「一筆啓上書翰(しょかん)碑」が建っている。本多成重ら丸岡城主・本多家四代の墓所が本光院にある。
(写真は 一筆啓上書翰碑)

本多家墓所 丸岡町はこの「一筆啓上書翰碑」をヒントに町おこしをしようと「日本一短い『母』への手紙」を平成5年(1993)に募集した。35文字以内の短い手紙文の募集が爆発的なブームとなり、全国から3万2236通の母への手紙が寄せられた。 寄せられた手紙を審査し「一筆啓上賞10篇」のほか秀作、特別賞、佳作をそれぞれ選び、賞金、記念品などを贈った。
 次の年の2回目は「日本一短い『家族』への手紙」、続いて愛への手紙、父への手紙、故郷への手紙、友への手紙など毎年テーマを変えて募集し、今年(2000年)で第8回目を迎えた。
 手紙は日本国内だけでなく、海外からも寄せられ、今では毎年13万通に近い数にのぼり、丸岡町のメインイベントになった。毎年寄せられた手紙は本に編集されて発行されているが、テレビドラマや映画にもなった。最近は携帯電話、ファクス、電子メールなどの普及で、手紙を書く習慣が薄れるつつあるが、短い文面の中に真心が込められた丸岡町の一筆啓上賞が、失われそうな手紙文化を見直すきっかけになっている。
(写真は 本多家墓所)


 
越(こし)まほろば物語  放送 11月28日(火)
六呂瀬山1号墳(史跡) 北陸地方は古くは越(こし)と呼ばれていた。飛鳥時代に越は、都があった飛鳥、 奈良、京都に近く、越国の中で古墳築造などの畿内文化がいち早く伝わった。
 福井県下の古墳の数は、福井以北の石川、富山両県よりはるかに多く、その数は約 4000基と言われている。丸岡町内でも北部の竹田川流域に継体天皇の皇子・椀子 (まるこ)の墓と見られている前方後円墳の椀貸山(わんかしやま)古墳や南部の六 呂瀬山古墳群に大きな前方後円墳がある。
(写真は 六呂瀬山1号墳(史跡))

六呂瀬山1号墳出土、家形埴輪 六呂瀬山古墳群の1号墳は全長140m、後円部の直径78mで4世紀後期の築 造と推定され、北陸地方最大の前方後円墳である。1号墳に接するようにある3号墳 は全長85mで後円部の直径は67mの前方後円墳で、築造は5世紀初めと推定され ている。これらの古墳からは円筒埴輪、家形埴輪などが出土している。
 4、5世紀ごろ、この地方にこのような巨大な古墳を築くことができる力を持つ族 長級の支配者と竹田川、九頭竜川流域の文化圏の存在を物語っている。
(写真は 六呂瀬山1号墳出土、家形埴輪)


 
千古の家・坪川家住宅  放送 11月29日(水)
坪川家住宅(重文) 丸岡町の中心部から東へ約10kmの静かな山村にある茅ぶき屋根の坪川家住宅 は「千古の家」と呼ばれ、福井県内でも最古の民家である。坪川家の祖先は平安時代 の北面の武士で、源頼政の子孫とも言われている。約700年前にこの地に住み、近 年まで村長を務めるなど名家として続いてきた。
 国の重要文化財に指定されている坪川家住宅に関する文献資料はないが、室町時代 から江戸時代初めに建築されたと見られている。地方豪族の住宅として特徴的な部分 が多く、建築様式、生活様式を知るうえで貴重な建築物とさられている。
(写真は 坪川家住宅(重文))

田舎そば 住宅正面が入母屋造、背面が寄棟造になっており、変化に富んだ特徴ある茅ぶき 屋根が美しい。途中で柱が二股に分かれ、上屋柱と下屋柱の2本の柱の役割を果たす 股柱(またばしら)が合計3本使われており、この股柱がこの住宅の大きな特徴のひ とつ。また主な柱は手斧(ちょうな)で削って仕上げられている。
 仏間など畳敷の部屋が3室ある住宅に、書院造の部屋を欠いているのも特徴的だと 言う。土間には石をくり貫いて作られた水槽が壁を貫いて置かれ、裏山から水を引き 入れいつでも使えるように工夫してある。このように一般民家にはない多くの特徴 が、坪川家の格式の高さを物語っている。
(写真は 田舎そば)


 
日向神楽・長畝(のうね)八幡神社  放送 11月30日(木)
神楽面 神楽面をつけた舞人がゆっくりと舞う。時には激しく舞う。その舞姿はあたかも 古代の神にささげる舞いのような日向神楽は、毎年9月14、15日に長畝八幡神社 の例祭で奉納される。「大蛇退治舞」「天照大神神楽」「戸隠大神舞」など、古事記 の神話の筋書きによる神楽舞が24演目あり、岩戸神楽とも呼ばれている。
(写真は 神楽面)

有馬家墓所 越前国と日向神楽は不思議な結びつきだが、丸岡藩主本多氏の後に、日向国・延 岡藩から有馬清純が元禄8年(1695)移封された。この時、日向神楽の舞人を伴 って丸岡へやってきて、丸岡城下の各神社の例祭などに日向神楽を奉納させたよう だ。
 明治維新後の廃藩置県でこの日向神楽の舞も一時途絶えていたが、明治15年(1 882)に旧藩主の守神・長畝八幡神社に伝えられていた舞が地元の有志によってよ みがえり、秋の例祭で奉納されるようになった。福井県無形民俗文化財に指定されて いる日向神楽の神楽面や衣装などは、地元の人たちによって大切に保存されている。 日向神楽を越前に伝えた丸岡藩藩主有馬家8代の墓所が高岳寺にある。
(写真は 有馬家墓所)


 
丸岡城・最古の天守閣  放送 12月1日(金)
丸岡城天守閣(重文) 丸岡城天守閣は現存する天守閣の中で日本最古。丸岡城は戦国時代の越前の国主 だった柴田勝家の甥・柴田勝豊が天正4年(1576)に築城した。天守閣は屋根が 二重、内部は三層の望楼式で、桃山時代の様式を濃く残している。後の時代に築城さ れた松本城、姫路城などの層塔式天守閣と比較すると、城郭建築初期の様式をよく伝 えており、建築学上でも貴重なものとされている。また、天守閣の屋根瓦は笏谷(し ゃくたに)石で造られており、全国的にも珍しい存在とされている。
(写真は 丸岡城天守閣(重文))

鬼瓦 丸岡城は築城した柴田氏の後、城主が安井、青山、今村、本多、有馬の各氏に代 わり、明治維新を迎えた。明治34年(1901)城は丸岡町の所有になり、昭和2 3年(1948)の福井大震災で天守閣が倒壊したが、昭和30年(1955)に修 復再建された。
 天守閣は国の重要文化財に指定されており、築城当時のままの姿で保存されてい る。築城当時の丸岡城をしのぶことができるのは、この天守閣と石垣の一部だけとな っている。ほかの城域は公園になり、サクラの名所として知られている。公園内の歴 史民俗資料館には、歴代城主の武具や古文書などが展示されている。天守閣石垣の東 北端には「お仙泣かすな…」の一筆啓上書翰(しょかん)碑が建っている。
(写真は 鬼瓦)


◇あ    し◇
一筆啓上書翰碑
JR福井駅下車、福井バスセンターから京福電鉄バスで丸岡城下車。
(丸岡城天守閣そば)
六呂瀬古墳群
 
JR福井駅下車、福井バスセンターから京福電鉄バスで本丸岡下車、永平寺行バスに乗り換え竹人形の里下車徒歩20分。
坪川家住宅
 
JR福井駅下車、福井バスセンターから京福電鉄バスで本丸岡下車、竹田行に乗り換え終点下車徒歩5分。
長畝八幡神社

 
JR福井駅下車、福井バスセンターから京福電鉄バスで本丸岡下車、芦原温泉行に乗り換え長畝下車徒歩5分。(但し普段は神楽面などは見学できない)。
丸岡城

 
JR福井駅下車、福井バスセンターから京福電鉄バスで丸岡城下車。(注:丸岡町へは福井バスセンターからバス利用が便利。JR丸岡駅からはバスの便が悪い)。
◇問い合わせ先◇
丸岡町産業観光課0776−66−3000 
丸岡町教育委員会0776−68−0826 
坪川家(坪川住宅保存会) 0776−67−2111
丸岡城0776−66−0303

◆歴史街道とは

     日本の歴史の舞台を尋ねながら、日本文化の魅力を楽しみながら体験できる
ルートのことです。
     伊勢・飛鳥・奈良・京都・大阪・神戸の歴史都市を時流れに沿ってたどるメインルートと地域の特徴を活かした8本のテーマルートが設定されています。

 

(1)・・・ひょうごシンボルルート   
(2)・・・丹後・丹波伝説の旅ルート
(3)・・・越前戦国ルート              
(4)・・・近江戦国ルート              
(5)・・・お伊勢まいりルート         
(6)・・・修験者秘境ルート           
(7)・・・高野・熊野詣ルート         
(8)・・・なにわ歴史ルート           

    歴史街道計画では、これらのルートを舞台に
  「日本文化の発信基地づくり」
  「新しい余暇ゾーンづくり」
  「歴史文化を活かした地域づくり」
を目指し,
    官民188団体によりソフト・ハード両面の事業が推進されています。

◆歴史街道テレフォンガイド

     テレビ番組「歴史街道〜ロマンへの扉〜」と連合した各地の歴史文化情報を提供しています。
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