月〜金曜日 18時54分〜19時00分

3月9日(月)の放送は、休止です。

放送開始15周年記念
歴史街道〜ロマンへの扉〜 ファン感謝の集い

2009年3月25日(水)

合計500名様を無料でご招待!
応募方法はこちらから⇒


三重・いなべ市、岐阜・揖斐川町 

 三重県最北部のいなべ市は、平成15年(2003)に北勢町、員弁町、大安町、藤原町が合併して誕生した新しい市で、滋賀、岐阜の県境に接し、西に鈴鹿山脈、北東に養老山地を望む。山紫水明の地ならではの見所や自宅を博物館にした「まちかど博物館」を訪ねた。県境を越えて岐阜県揖斐川町へも足を伸ばし、西国三十三所観音霊場の満願、結願の寺・華厳寺も訪れた。


滝と梅の里(いなべ市) 放送 3月10日(火)
 岐阜県との県境の養老山地の南麓に、うっそうとした巨木の中になたたずむ東林寺。開祖、開山時期は定かでないが、神亀年間(724-29)に堂宇が建立されたと伝えられる古刹。秘仏で本尊の聖観世音菩薩像は行基の作と伝えられている。

 行基が光を発する滝に沈んだ木を見つけ、この木で聖観世音菩薩像を彫り一宇を建立して安置したのが、東林寺の開創と伝えられている。ほかに円空上人の一刀彫りの如意輪観音像も伝わっている。

宝篋印塔(東林寺)

(写真は 宝篋印塔(東林寺))

白滝


 本堂西の宝篋印塔(ほうきょういんとう)は、北条時宗の姪で初代美濃守護・土岐頼貞の妻・浄心妙因の供養塔として貞和4年(1348)に建立された。製作年代のはっきりした石造物として注目され、全体の形や塔身に刻まれた蓮花などが、製作された時代の特徴をよく表している。

 東林寺境内東方の断崖には落差22mの白滝があり、清らかでやわらかな水が岩肌を伝って流れ落ちている。古来からこの白滝が雌滝(裏滝)、岐阜県の養老の滝が雄滝(表滝)と言われてきた。

(写真は 白滝)


 滝を流れ落ちる水の響きと流れが、あまねく衆生の煩悩の汚れを洗うと信仰されてきた。東林寺は創建当時に清泉寺と称されていたが、この白滝の水の響きと流れに因んだとされる。

 荒廃農地の有効活用の一環として整備された、いなべ市農業公園の中にある梅林公園は38ha、梅の木は約100種類、4500本と言う大きな梅林。2009年も3月7日から29日まで梅まつりが開かれる。この梅林公園からは鈴鹿山脈が一望でき、訪れた人は広大な景色と美しい梅の花が満喫できる。

いなべ市梅林公園

(写真は いなべ市梅林公園)


いなべまちかど博物館
(いなべ市)
放送 3月11日(水)

 まちかど博物館は個人のコレクションや伝統の技、手仕事などを、仕事場の一角や自宅などで披露し、館長の語りとともに展示物が見られる施設。珍しい展示物を見るのも楽しいが、豊かな経験に基づいた館長さんの面白い語りとその人柄に魅かれることも多い。

 現在、三重県下の市や町で407カ所のまちかど博物館が開館しており、いなべ市には39カ所のまちかど博物館がある。
ホサ1形1号(貨物鉄道博物館)

(写真は ホサ1形1号(貨物鉄道博物館))

仙松かじや


 三岐鉄道三岐線丹生川駅構内にあるのが、平成15年(2003)に開館した世界初の貨物専門博物館。鉄道による貨物輸送は日本の経済発展の原動力だった。展示されているさまざまな種類の貨車は、全国の鉄道事業者や企業、個人から寄贈されたり貸与されたものである。

 1898年に製造された英国製の蒸気機関車や明治、大正、昭和時代に製造された有蓋貨車、無蓋貨車、ガソリンや化学薬品を運ぶタンク車、セメントを運ぶホッパ車など、貴重な貨車が勢ぞろいしている。

(写真は 仙松かじや)


 仙松かじや博物館は明治25年(1892)から続く鍛冶屋で、館長の横田専之助さんは73歳で、この道58年の鍛冶職人。炭火で真っ赤に焼けた鉄を叩いて形成する、昔ながらの工程の鍛冶の仕事を見せてくれる。主にクワやカマなどの農具を作り続けている。

 手づくり工芸博物館の館長・近藤邦男さんは85歳。雑誌や新聞の写真から設計図を作って、ケヤキやヒノキの廃材を活用して組み立てており、神社の神輿や各地の城、五重塔などが再現されている。

法隆寺五重塔(手作り工芸館)

(写真は 法隆寺五重塔(手作り工芸館))


西国三十三所第33番札所・
華厳寺(揖斐川町)
放送 3月12日(木)

 西国三十三所で最も東に位置する華厳寺は、平安時代初期の延暦17年(798)に創建されたと寺の略縁起に記されている。

 縁起によると奥州(陸奥)国・会津の大口大領(おおぐりだいりょう)と言う人が、京都の有名な仏師に十一面観世音菩薩像を彫ってもらった。この観音様を故郷へ持ち帰ろうとしたところ、観音像は自分で笠や履き物を身につけ、杖をついて先に立って歩き出した。

仁王像(吽形)

(写真は 仁王像(吽形))

仁王門


 美濃国赤坂(現大垣市)付近に来ると観音様は「奥州へは行かない。この近くの山中に有縁の地があるので、そこで衆生を済度する」と北に向かって歩き出した。

 現在の華厳寺の南の丸山の地で動かなくなったので、大領はここを結縁の地として堂を建て観音像を安置し、この地で修行していた豊然(ぶねん)上人とともに寺を建立したのが華厳寺の創建となった。この観音様が秘仏の本尊・十一面観世音菩薩像と伝えられている。

(写真は 仁王門)


 総門から仁王門までの門前町は土産物屋や飲食店などが軒を連ね、いつも参詣者らでにぎわっている。朱塗りの仁王門の両脇には運慶の作と伝えられる仁王像が立ち、門の左右には奉納されたたくさんのわらじが吊りさげられている。参詣者らは無事に巡礼の旅が終わったことに対する感謝の気持ちで、わらじに手を合わせる。

 明治35年(1902)に落成した一切経堂には、輪蔵(りんぞう)と言う回転する経棚があり、中国・明の時代の一切経1万巻が納められている。

一切経堂

(写真は 一切経堂)


西国三十三所満願・結願の地
(揖斐川町)
放送 3月13日(金)

 華厳寺の仁王門をくぐり抜けると石畳の参道が続く。この参道の両脇には「南無十一面観世音菩薩」と書かれた色とりどりの幟(のぼり)がはためいている。老杉や巨樹に覆われた参道を進むと本堂前に出る。

 華厳寺の本尊は秘仏の十一面観世音菩薩像で「お参りする人びとに優しく接し、それぞれの願いを聞き届けてくださる仏様」と信仰されてきた。本尊の左には運慶作の不動明王像、右には菅原道真作の毘沙門天立像の両脇侍が立ち、両脇侍からあふれ出る量感に拝観する人たちは圧倒させられる。

毘沙門天

(写真は 毘沙門天)

笈摺堂


 文化14年(1817)に再建された本堂裏の笈摺堂(おいずるどう)は、他の西国三十三所の寺にはないお堂である。花山法皇が華厳寺に参詣した時、笈摺と御詠歌を納めたお堂が後に笈摺堂となった。笈摺は巡礼者が着物の上にはおる袖無しの衣で、巡礼者のユニホームのような衣服。

 花山法皇が笈摺と一緒に奉納した御詠歌は「いままでは おやとたのみし おいずるを ぬぎておさむる みののたにくみ」。華厳寺の御詠歌はこのほかに2首ある。

(写真は 笈摺堂)


 西国三十三所巡礼を満願した巡礼者は、この故事にあやかって長旅の苦楽を共にした笈摺や杖、笠などを、満願したことへの満足感と感謝の気持ちを込め、晴れやかな表情で笈摺を納めるている。笈摺と一緒に満願の絵馬や千羽鶴などを納める人もおり、堂内には巡礼者の思いのこもった奉納物が山のように積み重なっている。

 本堂の左右の柱に青銅製の鯉が打ちつけられている。これは「精進落としの鯉」と呼ばれ、西国三十三所を回り終えた巡礼者がこの鯉に触れ、精進落としをして俗界へ戻る。

精進落としの鯉

(写真は 精進落としの鯉)


◇あ    し◇

東林寺 三岐鉄道北勢線阿下喜駅からバスで川原分校跡下車
徒歩10分。

いなべ市梅林公園 三岐鉄道北勢線阿下喜駅からバスで小豆尾下車徒歩20分。

貨物鉄道博物館 三岐鉄道三岐線丹生川駅下車すぐ。

仙松かじや博物館 三岐鉄道三岐線梅戸駅下車徒歩5分。

手づくり工芸博物館 三岐鉄道北勢線阿下喜駅下車徒歩10分。

華厳寺 樽見鉄道谷汲口駅からバスで谷汲山下車徒歩10分。
養老鉄道揖斐駅からバスで谷汲山下車徒歩10分。

◇問い合わせ先◇

いなべ市農林商工課 0594-46-6309 

東林寺 0594-72-5844 

いなべ市梅林公園 0594-46-8377 

貨物鉄道博物館 0594-78-0525 

仙松かじや博物館 0594-72-2561 

手づくり工芸博物館 0594-72-4115 

華厳寺 0585-55-2033 


放送開始15周年記念
歴史街道〜ロマンへの扉〜 ファン感謝の集い


日時:3月25日 水曜日  15時と18時30分の2回
場所:朝日放送 ABCホール 大阪市福島区福島1-1-30

    各回250名のファンを無料でご招待します。

申し込みはお葉書で次の住所までお送りください。

あて先:530−8693 私書箱449号  「歴史街道イベント」係

ハガキに郵便番号・住所・氏名・年令・同伴者の氏名(いれば1名まで)
希望時間 15時 または 18時30分の回 必ず書いてください。
締め切りは3月12日必着とします

抽選で各回250名の方をご招待いたします。

パーソナリティ:道上洋三、秋吉英美

 

 

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          郵便番号 530−6691
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歴史街道推進協議会