番組概要
番組では太地町のクジラ・イルカ漁に1年間密着し、ありのままの姿と世界中からの批判にさらされ、苦悩しながらも伝統漁を守り続けようとする漁師たち、彼らを取り巻く太地町の人たちの思いを伝える。
みどころ
古式捕鯨発祥の地として、400年余りの捕鯨の歴史を誇る和歌山県太地町。
日本では鯨の肉は貴重なタンパク源として食され、戦後の日本の食糧事情も支えていた。捕鯨規制・捕鯨禁止の流れの中、1988年に日本が商業捕鯨から撤退した後も、くじらの町として知られた太地町は気候も穏やか、のどかな漁師町で、小型クジラ(イルカ)の追い込み漁が続けられていた。
ところが、6年前に事態は一変する。反捕鯨団体が太地町のイルカ追い込み漁での捕殺場面などを隠し撮りした映画「ザ・コーヴ」がアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞し、それ以来、世界各国の反捕鯨団体が毎年、町に来て抗議活動を続けているのだ。
反捕鯨団体は漁の様子を撮影し、抗議活動をするだけでなく、漁師を挑発するような言動を繰り返し、その様子をインターネットで発信。漁を行う組合にはその度に世界中から、抗議の電話やファックスが相次ぎ、時には、脅迫状まで届く。
太地町での追い込み漁は食用としてだけでなく、生きたまま捕まえたイルカを国内の水族館などに販売、その収入も生計を立てる手段のひとつだったが、さらに昨年、漁に追い打ちを掛けることが起きた。
WAZA世界動物園水族館協会がJAZA日本動物園水族館協会に対して追い込み漁によって捕獲されたイルカの購入をやめるよう改善・除名通告を行い、JAZAは従わざるを得ず、これ以降、イルカを購入してくれるのはJAZAに加盟していない水族館しかなくなった。
漁師たちは自分たちの漁が原因で反捕鯨団体が押し寄せ、町民に対して申し訳ないとの思いも抱きながら、日本の文化としての鯨食と伝統漁を自分たちの世代で終わらせたくないとの思いを強くした。