池上彰のニッポン未来塾 ~超高齢クライシス2025~

2016922日(木・祝) 午後3:004:58 放送!

池上彰のニッポン未来塾 ~超高齢クライシス2025~
MC
池上彰
アシスタント
ヒロド歩美(ABCアナウンサー)
ゲスト
太川陽介、宮川花子、塚地武雅(ドランクドラゴン)、岡本玲
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番組概要

朝日放送は、ことし65周年を迎えました。65歳といえば、高齢者の仲間入りの年齢です。

高齢化問題と言われて久しい日本ですが、わかりやすい解説なら、この人の右に出る人はいない!という、ジャーナリストの池上彰をMCに迎え、自身も、去年65歳になったばかりの池上が、日本の超高齢社会の現状や将来の予測などをわかりやすく解説します。

日本の「人口減少」、「少子高齢化」の現状と未来

日本の人口は、1967年に初めて1億人を超えましたが、2008年の1億2808万人をピークに、人口減少の時代に入りました。国立社会保障・人口問題研究所によると、2048年には1億人を割り込み、2060年には約8700万人まで落ち込むと予測されています。日本は、これまでの歴史を振り返っても類をみないほどの、人口減少時代を突き進むことになるのです。
さらに、問題は・・・。総人口は減り続けるのに、高齢者人口だけが伸びていくこと。世代ごとにみると、0歳~14歳の子ども世代と15歳~64歳の現役世代は、人口が減少しますが、65歳以上の高齢者の数は、増え続けます。
特に、「2025年問題」と言われる2025年に向けては、75歳以上の後期高齢者の人口が爆発的に増えることが、危惧されています。75歳以上の後期高齢者については、2010年から2025年の15年間で、およそ1.5倍に増えると予測されているのです――。
支えを必要とする莫大な数の高齢者を、いったい誰が、どうやって、支えていくのか――。解決しがたい難題が、突きつけられています。

日本の少子高齢化への歩み

第2次世界大戦中、日本は、『産めよ増やせよ』の掛け声のもと、子どもを産むことが奨励されていました。
この頃は、1人の女性が、生涯で、4~5人の赤ちゃんを産んでいたのです。戦火が激しくなり、一時的に出生数は減りますが、戦後は一斉に子どもが生まれました。これが『第1次ベビーブーム』。1947年~49年の3年間で、およそ800万人もの赤ちゃんが誕生しました。この3年間に生まれた人たちを『団塊の世代』と言います。この『団塊の世代』全ての人が75歳以上になるのが2025年です。
その後、日本は、国をあげて、経済発展を目指します。東京や大阪などの大都市では、団地が次々に建設され、『団地族』という言葉も生まれ、両親と『子どもは2人』、という家族構成が主流になりました。
子育てを卒業すると、主婦もパートへ。『男女雇用機会均等法』が施行されたのは、1986年。女性が社会へ、どんどん進出するようになります。1990年代前半、バブル経済が崩壊、経済への不安が広がり、晩婚化、未婚化が進み、少子化は深刻な問題となりました。

では、人口減少と少子高齢化で、2025年は、どんな世の中になるのでしょうか?
番組では各方面の専門家に取材し、2025年の世の中を、予測していただきます。

もうひとつの2025年問題。大都市圏で後期高齢者人口が爆発する理由とは?
郊外ニュータウンの現状も・・・

後期高齢者が激増するという2025年問題。特に、高齢者人口が爆発する地域があります。それは、3大都市圏です。2025年問題は、地方ではなく、大都市圏の問題だといわれているのです。
2015年から2025年の各都道府県別の後期高齢者の増加数をみてみると、1位~6位は、東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県、千葉県、愛知県。つまり、3大都市圏に集中しています。

【2015年 ⇒ 2025年 75歳以上の人口の増加数 都道府県ランキング】

(国立社会保障・人口問題研究所の推計)

1位 東京都 増加数51万人 (増加率34%)
2位 神奈川県 47万人 (46%)
3位 大阪府 46万人 (43%)
4位 埼玉県 41万人 (54%)
5位 千葉県 37万人 (51%)
6位 愛知県 35万人 (43%)

では、なぜ、特に大都市圏で、後期高齢者が増えるのでしょうか?
それは、高度経済成長期に、若い世代が職を求めて(集団就職など)、あるいは進学のために、地方から都会へ大量に移住してきたからなのです。つまり、2025年の大都市での後期高齢者人口の爆発は、高度経済成長期の『人口大移動』に起因しているといわれています。

さらに、大都市圏の中でも、高齢者が集中する地域があります。それは高度経済成長期に開発されたニュータウン。当時、大都市では、住宅難が起こりました。そこで、山を切り開き、郊外へ郊外へとニュータウンが開発されたのです。まさに、このニュータウンに、団塊の世代を中心とした、2025年までに後期高齢者となる世代が住んでいるのです。このため、ニュータウンでは、様々な問題が噴出し、これからは大都市圏の郊外が過疎になると言われています。

都市郊外が過疎になる、もうひとつの理由。2000年代以降の人口移動。バブル崩壊後の都心回帰。

高度経済成長期は、地方から大都市圏への人口移動が起こりました。人々は、郊外へと住宅を求め、「ドーナツ化現象」が起こりました。しかし、1990年以降、バブルが崩壊。地価が下がったことなどにより、都心回帰が起こっています。
つまり、郊外から都心へと、人口移動が始まったのです。そんな都心回帰現象も加わって、郊外に開発された古いニュータウンでは、急激に超高齢化が進んでいるのです。
番組ではニュータウンの現状と、再生に向けて、住民の取り組みなどを紹介します。

2025年まで、あと9年。どう乗り越えるのか?
さらに各方面で始まった対策と、2025年問題の乗り越え方を考えていきます。