及川浩治 協奏曲シリーズ
第5回 グランド・フィナーレ
〜ブラームス&ベートーヴェン〜
[指揮]現田茂夫
[ピアノ]及川浩治
[管弦楽]日本センチュリー交響楽団 (旧・大阪センチュリー交響楽団)
日時 |
2011年5月14日(土) 14:00 開演 13:00 開場 |
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会場 | ザ・シンフォニーホール |
料金 | A 5,000円 B 4,000円 C 3,000円 |
一般発売日 | 2010年11月28日(日) |
優先予約日 | 2010年11月26日(金) |
プログラム | ブラームス:ピアノ協奏曲 第1番 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番「皇帝」 |
お問い合わせ先 | ABCチケットセンター 06-6453-6000 |
“情熱のピアニスト”及川浩治
「協奏曲シリーズ」完結に向け
燃え滾る思いを語ります!!
Q 協奏曲シリーズもついに第5回グランド・フィナーレを迎えることになりました。
まず、5回公演で10曲、ザ・シンフォニーホールとサントリーホールという日本を代表するホールでコンチェルトを弾かせていただき、ピアニスト冥利につきることだなと思うと共に、すごく感謝の気持ちでいっぱいです。数あるピアノ協奏曲の中から10曲ですが、僕のリクエストの曲に、聴衆の皆さんにも馴染みの深い曲も織り交ぜながら、自分にとってすごく重要な作品ばかりをシリーズで演奏できたのは嬉しいですね。
Q 協奏曲シリーズを経て、何か変わりましたか?
ピアニストにとって、実際に一度に2曲のピアノ協奏曲を弾くというのは、体力的だけでなく精神的にもハードで、集中力の持続が難しいんです。
特に第1回ラフマニノフは、CD収録でリハーサルも録音していたので、午前のリハで第2番・第3番を弾いて、すぐに今度は本番と、合計4曲を本気モードで弾いた気分でしたから、そういう意味で、精神的にもタフになったかなと思っていますし、ステージ上での集中力はすごく鍛えられましたね。また、色んな協奏曲を弾かせていただいたことで、オーケストラとのコミュニケーションのとり方もすごく良くなりました。
神様から特別な才能を与えられた作曲家が推敲を重ねて完成させ、数百年という時を生き残ってきた偉大な作品ですから、僕らは全力でぶつかっていかないといけませんし、今後は、その集中力をさらに高めていけるかが生涯通じてのテーマだと改めて思いました。
Q これまでで、特に印象に残られた回はありますか?
もちろん、それぞれの回とも鮮明に覚えているのですが、すごく嬉しかったのは第3回リスト&チャイコフスキーですね。僕の病気で日程が変わってしまった回で、自分の復帰コンサートでもあったんです。あのときの、聴衆の皆さんの温かさというか、言葉ではいい表せないほどの感動で、舞台袖に帰ってきたときにはもう涙ぐむようなコンサートでした。
ピアニストは “1日練習さぼると取り戻すのに何日・・・”とか言われているくらいですから、丸3ヶ月ピアノを弾かなかったのは、初めての経験だったんです。手の筋肉も落ちて、自分の指ではない感覚になって、たったの3ヶ月でもすごく大きいんだなって感じました。また、演奏中に指を痛めたというのも、初めてでしたし、演奏家としてどうなんだという気持ちもすごくあって、どれくらいで自分が戻れるのかとても不安でしたね。そんな中で復帰の曲が、リストとチャイコフスキーというヴィルトゥオーゾ系だったので、よく演奏していた曲とはいえ、すごく身の引き締まる思いでした。演奏が終わったときは、指揮者、オーケストラ、スタッフの皆さんの温かい気持ちが伝わってきて・・・。本当に忘れられない回でしたね。
周りの人に本当に迷惑をかけましたが、一度そういう病気や怪我をしたことで、演奏家である喜び、自分がいろんな人に支えられながら演奏しているという、ともすると当たり前のように感じていたことに気付くことが出来て、何か自分が大きく変わったなと感じています。自分がさらに進化していく義務を背負っているというのを心から思うようになりましたし、シリーズを続けていけるのかということもあった中、最終回を迎えることが出来て、感謝の気持ちでいっぱいです。
Q 第5回グランド・フィナーレは、及川さんもかなりこだわられたと伺いましたが、今回の2曲の魅力について教えていただけますか?
今回は、ドイツの3大Bの2人、ベートーヴェンとフラームスで、今はその準備をしている最中ですが、非常にやりがいを感じる作曲家ですね。練習していても「いい曲だな」と思います。
まずブラームスのピアノ協奏曲第1番は、僕がぜひにとリクエストした曲で、ブラームスの本当にディープな作品です!僕は、ニ短調という調性が好きなんですが、モーツァルトの最後の作品レクイエムや、ベートーヴェンの最後のシンフォニー第九などもニ短調で書かれていて、すごく特別な位置を占める調なんです。このブラームスの曲は若いときの作品なんですが、そういう意味のあるニ短調で書かれているんです。また、当時のピアノ協奏曲は、ピアニストの技巧を派手にアピールするように作られていたんですが、この曲は、本当に精神面重視で、彼の音楽への純粋な思いを全て込めた初期の大曲なんですね。
第1楽章は、オーケストラの重厚な音から始まって、ピアノのパートが地味に入ってくるんですが、エスプレシーヴォでカンタービレで、d-Mollのディープな悲しい部分が込められているんです。で、そこが簡単に聴こえるんだけど難しい(笑)。その後、オーケストラの第1テーマとの掛け合いがあって、アンサンブル的要素がすごく強い協奏曲ですね。
第2楽章は、ベートーヴェンを彷彿とさせるような、まるで、神を讃えているような楽章で、一つ一つのハーモニー、一つ一つの音に、何か神への思いが伝わってくるようですね。そして、第3楽章は、自分の苦しみを吹き飛ばすようなエネルギーに満ち溢れた出だしで始まるんですが、途中すごくロマンティックな部分も出てくるんです。でもそればショパンとかラフマニノフのようなロマンティシズムではなくて、ブラームス特有の、内に熱い思いをぐーっと込めて表現するようなロマンティシズム。ここがこの曲の感動するところだと思いますね。
全ての楽章において、20代の若さで、どうしてこんな深い精神世界を描けたのかと、改めてブラームスに対して尊敬の念が沸いてきます。
ベートーヴェンの「皇帝」は、もういわずもがなですが、シリーズの大トリにと決めていました。ピアニストを目指す前は作曲家に憧れていて、特に、ベートーヴェンは、神様みたいに憧れてましたからね。彼みたいに髪の毛ぐっちゃくちゃでもいいくらい(笑)。ベートーヴェンのピアノ協奏曲の中でも堂々として、まさに「エンペラー」という感じで最高傑作ですね。いろんなハンディを負いながら独自の世界を作り上げて、音楽を完成させるに至った彼の強い意志、精神力が、聴いている人達に勇気を与える曲だと思います。
シリーズ10曲の最後に、僕自身も含めて会場に来られた皆さんと、ベートーヴェンから勇気や感動をもらって締めくくりたいですね。
Q 最後に協奏曲シリーズ公演に向けてメッセージを頂けますか!?
ザ・シンフォニーホールでのデビューは、95年、最も尊敬する指揮者の佐渡裕さんとのコンチェルトで、大阪ではまったく無名ピアニストにもかかわらず抜擢していただきました。あのときの記憶や、ステージ袖の風景は、写真のように完全に頭に残っていて、いつもザ・シンフォニーホールで演奏するときは、音響だけでなく、お客さんや出演者が作るホールの雰囲気も楽しみですね。
クラシックはライブがすごく大事で、お客さんからエネルギーをもらうことで初めて生まれるインスピレーションがあるんです。 この16年間、50回以上ステージに立たせていただきましたが、いつも素晴らしいお客さんがいて、本当に温かい、そしてストレートな表現をしてくださり、エネルギーを頂いてきました。特に関西のお客さんはすごいパワーですからね(笑)。僕にとってとても大事なホールですし、演奏家としてそこで演奏させてもらえるというのは誇りに思います。
今作品が残っている偉大な作曲家の人たちって、皆すごいものを背負って生きてきた人たちですよね。ベートーヴェンなんて音楽家としては致命的な耳の病気で、ブラームスは1人の女性を愛してしまって一生独身で・・・。もし作曲技法とか理屈で音楽ができるんだったら、和声とか対位法とか音楽学の先生が名曲を書けることになっちゃうじゃないですか。でも、ああいう天才たちってまだ作曲技法をマスターしていないときから、ものすごく感動的な曲を書いてるんです。ということは、何が大事かっていうと、ハートなんです。自分が表現したいという気持ち、エネルギーが作品に凝縮されている。だから、そのパワーを感じて演奏すると作品がものすごく光ると思うんです。
グランド・フィナーレというタイトルを付けていただきましたから、集中力を高めて最後きちんと締めたいと思いますし、自分なりのベートーヴェン像であり、ブラームス像であり、作品像を表現したいと思います。時間的に長い曲ですが、皆さんと一緒に2人の作曲家の偉大な曲の空気を味わえたらなと思います!
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情熱のピアニスト、魂をかけるクライマックス!!
及川浩治協奏曲シリーズ 第5回 グランド・フィナーレ
ブラームス&ベートーヴェン「皇帝」
◎情熱のピアニスト及川浩治「協奏曲シリーズ」感動の軌跡
2008年7月第1回
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嵐のような激しさの中に光る濃密なロマンの結晶ラフマニノフ。終演後は大拍手喝采!
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2010年3月第3回
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シューマン:ピアノ協奏曲 グリーグ:ピアノ協奏曲
一音一音を大切にしながらも、及川節は炸裂。これまで聴いたことのないシューマンとグリーグに唖然!
東京はサントリーホール、大阪はザ・シンフォニーホールのみで始まった大プロジェクトがついに、フィナーレを迎えます。ピアノを叩きつけるように弾く炎のような“フォルッテシモ”から、息をのむように美しい“ピアニッシモ”まで、ピアノという楽器に全身全霊の思いを込めて演奏する及川浩治。感動のクライマックスでは、ドイツ音楽の最高峰ブラームスとベートーヴェンに挑みます!
深遠な交響曲とも評されるブラームス「ピアノ協奏曲第1番」に、王者な気風を感じさせ豪華絢爛たるベートーヴェン「皇帝」。協奏曲シリーズのフィナーレとしてふさわしい、スケールの大きな2曲が、情熱のピアニストの演奏で鮮やかに輝き出します!
新緑薫る麗しき5月に贈る最高の舞台。あなたも伝説の目撃者となりませんか?