ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル
ザ・シンフォニーホール開館30周年記念
[ピアノ]ユリアンナ・アヴデーエワ
日時 |
2013年3月31日(日) 14:00 開演 13:00 開場 |
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会場 | ザ・シンフォニーホール |
料金 | A 7,000円 B 5,000円 C 3,000円 |
一般発売日 | 2012年10月28日(日) |
優先予約日 | 2012年10月25日(木) |
プログラム | J.S.バッハ:フランス風序曲(パルティータ) ロ短調 BWV.831 ラヴェル:「夜のガスパール」 水の精 絞首台 スカルボ ショパン:夜想曲 第4番 ショパン:夜想曲 第5番 ショパン:バラード 第1番 ショパン:3つのマズルカ op.50 第30番、第31番、第32番 ショパン:スケルツォ 第2番 |
お問い合わせ先 | ABCチケットセンター 06-6453-6000 |
2010年ショパン国際ピアノ・コンクールで彗星のごとく登場し、
女性としてはアルゲリッチ以来45年ぶりの優勝を果したアヴデーエワから
今回のリサイタルへのメッセージが届きました!
一昨年のリサイタルでは、恐ろしいまでに透き通った美音を奏でたアヴデーエワ。
その後、どんな進化を遂げたのか!?
そして、今、世界が注目する若きピアニストが
何を考えているのか!?
アヴデーエワが、たっぷりと語ってくれました!
Q、今回のリサイタルは後半がオール・ショパン・プログラムです。前回の日本ツアーではショパン・コンクール優勝直後であったのにショパンは《舟歌》しかプログラミングされず、残念に思ったショパン・ファンが少なからずいたのではないでしょうか。今回、ショパンに“回帰”するのはなぜですか。
2011年のリサイタル・ツアーで《舟歌》を弾かせていただいたのちに、「日本でもっともっとショパンを弾いてみたい」という気持ちが自然に生じました。前回のリサイタル・ツアーから月日が経っていますので、私自身にも何らかのポジティヴな音楽的変化が起こっていると思います。ですから今回の公演で、前回とは異なるショパンの音楽世界を日本の皆さまにお届け出来たら嬉しいです。
Q、ショパンという作曲家は貴方にとってどのような存在ですか?
どのような時も、私のレパートリーの中で、そして私の「心」の中で、ショパンの作品は特別な位置を占めています。ショパンを演奏する時にだけ沸いてくる独特の感情があるのですが、それはあまりに私的なフィーリングで、具体的な言葉で表すのが難しいです・・・。確かであるのは、多くの方とショパンの音楽を分かち合いたいという強い意志が自分の中に宿っているということです。それはショパンの音楽が唯一無二なものだからでしょう。
Q、今滞在しているワルシャワにはかつてショパンが住んでいましたね。この地からどのような霊感を得ますか?
ワルシャワでは、ショパンの存在を常に肌で感じることができます。ワルシャワを訪れるたびに、ショパン博物館に必ず通うことにしています。ショパンの自筆の楽譜や手紙をじっくりと眺め、ショパンが遺したものと時を共有することで、彼の音楽に少しずつ近づいていける気がするのです。
Q、昨年に引き続き、ワルシャワの「ショパンとそのヨーロッパ」音楽祭に出演した感想をお聞かせください。
今年は、フランス・ブリュッヘン氏の指揮、18世紀オーケストラとの共演で、ショパンのピアノ協奏曲2曲を一晩で演奏しました。ショパンの没年にあたる1849年製のヒストリカル・ピアノ(エラール)で演奏したことで、モダンのコンサート・グランド・ピアノを弾いている時にはなかなか気づくことのできない様々な音楽的発見がありました。
Q、今回はショパンのほか、前回の日本公演で取り上げたラヴェルにも、再度挑みますね。
今回取り上げる《夜のガスパール》は、“ラヴェルらしくない”曲だと思います。私だったら、作曲者を知らされずに聴いたらラヴェルの作品だと気が付かないでしょう(笑)《夜のガスパール》で一番惹かれるのは、そのきわめて独特な旋律と音色の扱い方です。ラヴェルがピアノという楽器の音色、そして和声・旋律という点でいかに新しい音楽表現を求めていたのかを絶えず意識させられる作品です。この点で、ショパンとラヴェルは非常に共通点の多い作曲家なのではないでしょうか。ショパンも、ラヴェルとは異なる方法ではありますが、新しい和声・和音を「発明」し、新しい「音色」を次々に発見していきました。
Q、今回はどのような点にこだわってリサイタル全体をプログラミングしたのでしょうか?
フランスというキーワードでゆるやかに結ばれています。前半はJ.S.バッハとラヴェルの作品を演奏します。二人の作曲家は様式も時代も大きく異なりますが、フランスの大作曲家フランソワ・クープランを尊敬していたという共通点があると思います。《フランス風序曲》は私が最も好きなバッハ作品のひとつで、大曲です。蛇足ですが、《フランス風序曲》はロ短調で書かれています。これはバッハのピアノ作品ではとても珍しい調性で、私にとっても挑戦です。共に発表された《イタリア協奏曲》と何らかの調性的な関係があるのかもしれませんね。バッハは一度もフランスを訪れていないはずですし、クープランとも会ったことはありませんでしたが、《フランス風序曲》の形式と作風は勿論、クープランの音楽を参照しています。
ラヴェルもまた、クープランを尊敬していました。ラヴェルの名曲《クープランの墓》を挙げるまでもなく。《夜のガスパール》は《クープランの墓》とは性格は全く異なる曲ですが、明晰である点や、鍵盤の扱い方、アーティキュレーションの用い方などからは、バロック時代の音楽様式からの強い影響を感じます。ラヴェルは20世紀を生きながら、自国の過去の音楽、“フランス・バロック音楽”を自らのルーツとして意識していました。
Q、後半のショパンは、時代としてはバッハとラヴェルのちょうど中間にいる作曲家ですね。
ご存知のとおりショパンは、J.S.バッハとクープランを尊敬し、彼らの音楽から多大な影響を受けていました。ショパンは晩年、ピアノの練習時間を大幅に削らざるをえなかった中でも、ピアノを練習できる時には必ずバッハを弾いていたそうです。またコンサートや練習前のウォーミング・アップにも常にバッハを演奏していたと言われています。こうした意味で、後半のショパンと前半のバッハ&ラヴェルは、ゆるやかな、しかし密な関係で結ばれていると思います。
Q、プログラム全体の時代の幅はとても広いですね。
確かに今回は18世紀から20世紀までの作品がプログラミングされています。それぞれの作品の音楽様式が様々な形で呼応するよう、曲を選んでみました。前の時代のものが後の時代のものにインスピレーションを与えていることは当然ですが、それだけにとどまらず、後の時代に書かれた作品も、前の時代に書かれた作品をインスパイアするようなリサイタル・プログラムを目指してみたのです。時に、バッハ作品の演奏を通して、ショパンの音楽から新しいカラーを引き出せるようになることがありますから。日本の聴衆の皆さまにも、このプログラムを存分にお楽しみいただけましたら嬉しいです!
(2012年夏 ワルシャワにて取材)
ザ・シンフォニーホール開館30周年記念
ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル
ザ・シンフォニーホール開館30周年を彩るユンディ・リ、ブーニン、ブレハッチとくれば、次はこの人のピアノも聴かないわけにはいきません!女王マルタ・アルゲリッチ以来、今、世界で最もショパンに近い女流ピアニスト、ユリアンナ・アヴデーエワ。史上最高レベルと謳われた2010年第16回ショパン国際ピアノ・コンクールにおいて45年ぶりの女性覇者となったアヴデーエワが、ホール開館30周年コンサートのラストを大いに飾ります!
鳥肌が立つほどに澄み切った美音で情熱的なショパンを響かせる天才クールビューティ、アヴデーエワ。1985年ロシアのモスクワで生まれ、ショパン・コンクール優勝後は、ギルバート指揮ニューヨーク・フィル、デュトワ指揮NHK交響楽団、ブロムシュテット指揮チェコ・フィル等、世界の一流オーケストラと共演。数々の名ピアニストを生んだロシアという枠を超えた類稀なる演奏センスに、磨き抜かれた高度なテクニック、そして深く真摯な音楽解釈は世界各国で絶賛されています。
2011年の優勝後初リサイタルから約1年半ぶりとなる今回のリサイタル。ますます進化を深めるアヴデーエワが、ついに待望のショパンを披露します!!耽美な「ノクターン」に、ショパンの魂が結晶化された奇跡の名曲「バラード第1番」、優雅さとロマンを秘めた人気の高い「スケルツォ第2番」と聴き応えたっぷりのプログラムで、アヴデーエワのショパンをしっかりと堪能できることでしょう!さらに、ピアノ作品の中でも難曲中の難曲とされるラヴェル「夜のガスパール」では、ラヴェル弾きアルゲリッチを彷彿とさせる鮮麗なピアニズムにも期待が高まります!
コンクール優勝を新たな人生の船出と語り、独自の音楽世界を深めていくアヴデーエワ。この上なく美しく、芯が強く、そして愛らしいアヴデーエワのショパンをぜひお楽しみに!!