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公演情報

ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団

[指揮]ミヒャエル・ザンデルリング
[管弦楽]ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団

日時 2013年6月29日(土) 14:00 開演 13:00 開場
会場 ザ・シンフォニーホール
料金 A 12,000円 B 10,000円 C 8,000円 D 6,000円
一般発売日 2012年12月16日(日)
優先予約日 2012年12月14日(金)
プログラム ベートーヴェン:交響曲 第7番

ブラームス:交響曲 第1番
お問い合わせ先 ABCチケットセンター
06-6453-6000

ドイツの魂が宿る古都ドレスデンで
140年以上の歴史と伝統誇る名門オーケストラを率いる
新しきマエストロ、ミヒャエル・ザンデルリング氏に
電話インタビュー!!

ザ・シンフォニーホールとも縁ある
巨匠クルト・ザンデルリング氏を父に持ち
ドレスデン・フィルの新たな首席指揮者
ミヒャエル・ザンデルリング氏が、
ドイツ音楽について、ドレスデン・フィルについて
熱くたっぷりと語って下さいました!



Q: 今回は、一昨年よりその首席指揮者のポストにおられる、ドレスデン・フィルとのツアーで、彼らとの来日はこれが初めてですね。
 
 はい、そうです。


Q: 日本にはもういらしたことがあおりですか。

 はい。何回かあります。ですが、指揮者として日本に行くのはこれが初めてになります。ドレスデンの私のオーケストラと共に日本での指揮者デビューを飾れると思うと、とても嬉しいです。さらに、今年のツアーに続きまして、来年になりますが、日本のオーケストラとの共演の予定がすでに組まれております。読売日本交響楽団とNHK交響楽団です。


Q: ドレスデン・フィルとは、すでに1年強、首席指揮者としてお仕事をされているわけですが、最初にこのオケの指揮台に立ったとき、どのような印象を持たれましたか?

 このオーケストラとは、私がソロ・チェリストだった頃からの、いわば「長いつきあい」なのです。初めて指揮したのはすでに8年ほど前です。ドレスデン・フィルは、特別なオーケストラです。「伝統的」という意味においては、ドイツの最も古いオーケストラのひとつに数えられ、深い深い、私たちの表現で「ドレスデン・サウンド」と呼ばれる音をその基本に持っているオーケストラなのです。暗くて、そして豊かな音です。非常に奥深い人心の感動からくり出される音、と言ったらいいでしょうか・・・どんな指揮者も、初めてドレスデン・フィルを指揮したときには、このサウンドに触れて驚くのです。指揮者として彼らと対峙したとき、私も同様にまず「音」に圧倒され、そしてその「伝統」を共に学び、一昨年より、首席指揮者を務めさせていただいています。


Q: 伝統から生まれる特別な音、とおっしゃいましたが、どうしてそのような「特別な音」になるのか、その音は、ずばりどこから、なにから生まれるのですか? ぜひお話ください。

 なかなか、鋭い質問ですねえ。まさに、みなさんが不思議に思う点でしょう。しかし・・・言葉で説明しろと言われても・・・(笑)。音楽に携わる私たちの役割は、全てとは言いませんが、ある種「魔法」みたいなもので(笑)。しかし、がんばって説明してみましょう。それは、ドレスデンの地理的な位置に因るところが大きいのです。ドレスデンは、ボヘミア族の住む地域にとても近い位置にあります。19世紀音楽史において、ボヘミア族の音楽は非常に重要です。ドヴォルザークしかり、スメタナしかり、です。彼らの音作りには、深みや濃さ、といったものがあります。たんに「民族音楽」というものではなく・・・音そのものの深み、そして重み、暗さ。そして、家族の起源をその民族にもつ音楽家が、ドレスデンのオーケストラに多数在籍していました。彼らの仕事によって、ドレスデンのオーケストラに独特の音色が構築されたのです。今日もなお、私たちはその創造の恩恵を受けている、というわけです。この音のことを「ドイツ特有の音色」(deutsche wunderHauch)という表現で呼ぶのです。
 もうひとつの理由は、政治的な状況です。ここ40年間ほど・・・誤解を恐れずに言えば、ドレスデン人は自信家で、周囲の政治状況にあまり影響されなかったと思うのです。これは、音楽の伝統を保つにはよいことでした。世界はいわゆるグローバリゼーションの時代ですが、私たちは、それに対し無頓着ですらあった、と言ってもいいでしょう。結果として、私たちは、音の独自性を守り抜くことができました。自分たちの気質を誇りに思ってもよいですね。


Q: マエストロはすでにチェリストとしてドレスデン・フィルと数多く共演され、また、指揮者としても数年の時間を過ごされていますね。この期間に、ご自分が感じた、オーケストラの音楽的な進歩がありましたら、話していただきたいのですが。

 キーワードはやはり「伝統」なのですが、「伝統とは諸刃の剣で、危険でもある。」という発見をしたことです。何年も同様の演奏様式を踏襲していますと、他の視点から見てみる、ということをしなくなります。「あ、この曲か。」と思うと同時に「演奏法はこれ。」と決めてかかってしまうのです。結果、つまらない、たいくつな音になってしまいます。私がオーケストラのメンバーとともに心がけ、目下、成果が出ているな、と思われるのは、まず、これまでに築き上げられた奏法を守ること、得意とする演目を持ち続けることは大前提です。しかし、同時にその曲の可能性をひろく受け止め、奏法のディティールをもういちど明確化するのです。その曲がいわゆる古典なのか、バロックなのか、近現代、コンテンポラリー奏法によるべきものか、を考えます。このプロセスによって演奏技術は前進すると思うのです。強みは、すでに私のオーケストラが、それらの作業に必要な技術を持っていることです。ハードな練習にも耐えてくれますし、みな、それを楽しみながらこなしています。全員が納得して演奏できるスタイルはどういうものか、可能性を広げるプロセスに燃えていますよ。


Q: 今回の演目にはベートーヴェンとブラームスの交響曲がありますが・・・まさにドレスデン・フィルが本領発揮するための「渾身」のプログラムです。

 ええ。ドレスデンだけでなく、すべてのドイツのオーケストラにとって主軸となるレパートリーです。そのなかにあってやはり私は、私たちならではの、特別な、現代的な視点に立った演奏をお聞かせできれば、と思っています。これらの古い演目に対して議論される、こんにちの音楽界の信頼してしかるべき主張には、敏感に耳を傾けるべきだ、と考えるからです。すでにここ20〜30年ほど、中央ヨーロッパにおいて意識されている「本流追求」の傾向がありますが、私はこの流れを、演奏をもって皆様に知っていただきたいのです。


Q:あえてマエストロに「この曲を聞くのなら、ぜひここを聞きなさい。」というアドバイスを伺いたいのですが?

 ブラームスの第1番、これには、明快な解説ができます。ブラームスは、この最初の交響曲を発表するまでに20年の準備を要しました。第1楽章に感じとれるもの、それは「闘い」です。揺るがしがたい"Fate"(=運命)です、運命との闘いが、刻まれていくダン、ダン、ダン・・・という、リズムのひとつひとつに聞こえてきませんか。私はそこに、ブラームスが、「私は宿命のもとに20年の迷いの時期を渡ってきた。」という思いをこめていると感じます。そうやって自分自身を前へ、前へと励まし、ついにこのシンフォニーを世に出すときがきた、という、彼の思いです。そこを感じ取ることが、まず、いちばん面白いのではないでしょうか。雄大な交響曲は他にも数多くあります。当時の交響曲は四つの楽章から成り、どの楽曲にも独創性があるわけですけれども、わけてもブラームスのこの作品には、たんなる形式の長短・大小を越えた、「内容」の大きさがあるでしょう。その点において、彼の交響曲第1番は、新しい形式だったのであり、音楽史的にも非常に重要な作品と言えるのです。


Q: ありがとうございます。ベートーヴェンの7番についてはいかがでしょう。
 
 ベートーヴェンの交響曲第7番、これは、特別なシンフォニーですね。有名な「神聖化されたダンス」というワグナーによる形容がありますね。たいへん活き活きしているかと思えば、第二楽章などは葬送曲のような趣があります。そのコントラストが私の興味を引きます。ベートーヴェンが意図したフレージングを追求したいのです。オーケストラや指揮者によっては、各小節の出だしをすべて強調して演奏をする場合がありますが、私はそれを好みません。ベートーヴェンはあきらかに、2小節ごとにまとめている、と見るからです。ところで、ブラームスの第1番も、ベートーヴェンの第7番も、これらの曲が書かれた当時のオーケストラにとって、とても大きな挑戦と言えるものだったのです。そのころは、オーケストラの規模も小さかったですし、演奏技術もまだ十分ではありませんでした。すべてのオーケストラが、現在ほど進歩していなかったわけです。水準が上がった現在でもこれらの演目の演奏は「挑戦」なのですから、当時の指揮者はさぞ骨が折れたことでしょう!(笑)。


Q: 現在、いわゆる「ピリオド・インストゥルメント」、「古楽器」と呼ばれる、作曲家が曲を書いた当時の楽器で演奏する、という動きがあり、楽器の研究もさかんです。賛否両論あるかと思いますが、ずばり、マエストロのご意見はいかがなものでしょうか?

 私は、現代の、技術的に進歩した楽器を使うべきだと思っています。ただし、その進んだ楽器を用いて「かつての音」を表現するべきで、また出来るはずだ、と思うのです。たとえば、病気やけがの治療を例に考えてみてください。あなたは、お医者さんに治療してもらうときに、何百年も前の医療器具を使って欲しい、そのほうがいい、と頼んだりしますか?それと同じことなんです。けれども、そんな昔の医者たちも、苦しんでいる患者さんを助けたい、という思いは、現代の医療関係者と変わらなかったはずです。音楽の世界に共通する部分があるんです。私は、往年のフレージングや音色を追求したいからと言って、かつての木製のフルートをどうしても使いたい、などとは思いません。現在の金管フルートを使います、それが可能です。でも、小さめのティンパニを使わなければムリだ、という判断をすることは、あります。ですので、私の基本は、現代の楽器の、どれを、どういったものを用いれば、本筋の、あるいは本筋に近い音が出来上がるのか、そこを考える、ということです。


Q: ところで、たとえば楽器の選択について、あるいは作品の解釈や演奏の方法について、ご家族で意見を戦わせたりするのですか? お父様、二人のお兄様が全員指揮者でいらっしゃることは、私たちみな知っているので、お聞きしたいです。

 まったく、そのとおり、家族全員、おなじ遺伝子ですね(笑)。みなそれぞれ、違った解釈を持っています。音楽家には、二人と同じ考えの人間はいないですからね。


Q: それで? 誰の意見が最強なんでしょうか?

 それはですね、ひとつ、おもしろいお話をしましょう。私の父が、私のベートーヴェンの第7番のコンサートを聴いたあと、楽屋でこう言ったんです:「今日の演奏は、私が、この曲はこうあるべきだ、と信じていたものとは、まったく違っていたよ。」


Q: ・・・?・・・喧嘩になったのですか??
 
 いいえ、「・・・だから、次回は、自分もおまえのやったのを試してみようと思う。」って(笑)。これはね、私には、感動的なセリフでしたねえ。90歳になろうという人間が、長年、音楽の世界で経験を積み、実生活でも非常に多くのことを体験した年齢になって、まだ「新しいものを受け入れる」ことができるんだ、と・・・父は、ベートーヴェンの交響曲の演奏では数々の録音を残していますし、伝統的な解釈に対して高い評価も受けています。それにも拘わらず、すんなり「試してみよう。」と言ったのです。私は「伝統とはなにか?」という問いに対する答えをもらった気がしました。伝統とは、頑として存在する何かだけれども、それを、いくつもの異なった角度から、毎日、毎週、毎月、眺めてみることができる、そういう何かなのだ、という答えです。


Q: 今回のツアーの予定の中に、ザ・シンフォニーホールでの公演があります。たしか、二人のお兄様はこのホールをご存じのはずで、大阪のファンもお兄様たちを覚えていますが、マエストロご自身はこのホールや大阪の町をすでにご存知でしたか?

 知っていますよ、過去に2回、私自身が演奏しています。ゲヴァントハウス管弦楽団、ベルリン放送交響楽団やの来日の時でした。どちらの時にも首席チェロ奏者でした。ザ・シンフォニー・ホールのことはよく覚えています。日本のホールの中でも、最高のホールの1つですね。ほかに覚えていますのは、東京はもちろん、福岡はじめ数都市・・・日本に来るたびに思いますのは、みなさんの生活の文化的水準がとても高いな、ということ。音楽ホールの質の高さには、いつも感心しています。大都市のみならず、中規模都市の充実度が素晴らしいです。欧州の人間にはまったく驚きです。
 実はドレスデンでは、新しい、現代の要求に応えるホールが必要だという意見があり、それが通ったばかりで、新ホール建設計画が決定したばかりなのです。3年後に完成する予定です。私たちはこのことをとても誇りにしています。


Q: ドレスデン・フィルの公演は、2011年に予定されていたものが大震災のために中止になり、今回、マエストロ率いる6月のツアーをファンは待ち望んでいたのです。どうぞ、そのファンのみなさんに、ひとことメッセージをお願いいたします。

 私たち全員が、今回のツアーを非常に楽しみにしております。私たちの文化、私たちの伝統を、日本のファンのみなさんにお聴かせできること。みなさんが心の底から音楽を求めていることを私たちは知っています。みなさんの音楽の愛し方は、私たち欧州の人間の音楽の愛し方に等しいことも。ご期待に応えるだけの演奏を、かならず、準備して参ります。

取材・翻訳:高橋美佐



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「古き良きドイツの音」が蘇る!“いぶし銀の響き”で奏でるベートーヴェン&ブラームス!
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
 

緑豊かな丘が見渡す限りに広がり、どこまでも青い空と繋がる、のどかな情緒あふれるザクセンの中心都市ドレスデン。古き良きドイツの伝統を遺す古都ドレスデンから、日本でも大人気の名門オーケストラがやって来ます!
ベルリン・フィル、ドレスデン・シュターツカペレ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス…と錚々たるオーケストラの中で、ひときわ味わい深い響きが息づくドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団。1870年に創立され140年以上の歴史を誇る、ドイツ音楽の粋を極めた名門オーケストラ!私たちがイメージするような、重厚でいてふくよかな「古き良きドイツの音」で、ぞくっとするほどに美しい弦楽器のアンサンブルは絶品。ドイツの深い森を思わせるような、濃厚なオーケストラ・サウンドは、“世界最高のオーケストラの一つ”と世界の評論家からも絶賛されています。2003年には、ザ・シンフォニーホールの招聘で来日。前回来日の2008年は、これぞ本場の音といえるブラームス・チクルスでドイツ・ロマンの神髄を魅せてくれました。
東日本大震災の影響で来日中止となった2011年以来、本当に待ちに待った今回の来日公演!新たに首席指揮者に就任した、ドイツ音楽の巨匠クルト・ザンデルリングを父に持つミヒャエル・ザンデルリングと共にお届けするのは、王道中の王道プロ!ワーグナーに “舞踏の神化”といわしめたベートーヴェンの傑作にして、現代の我々にも強烈なパッションを与える「交響曲第7番」。そして、第九に続くベートーヴェンの第10番と称され、ドイツ音楽の魂が真に宿る、ブラームス至高のシンフォニー「交響曲第1番」。決して派手な演奏ではないながらも、真摯に音を紡ぎだす濃密な演奏で、心に深く刻み込まれるような 2大傑作“ベト7&ブラ1”をご期待ください!!
チャイコフスキー、ドヴォルザーク、ラフマニノフ、ブラームスなど偉大なる作曲家たちと共演の歴史を持ち、伝統の美感に彩られた“いぶし銀の響き”に満ちたドレスデン・フィル。伝説的な「ドレスデンの音」が、本場のドイツ・ロマンを描きます!!

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