内田光子 with マーラー・チェンバー・オーケストラ
[ピアノ・指揮]内田光子
[管弦楽]マーラー・チェンバー・オーケストラ
日時 |
2016年11月2日(水) 19:00 開演 18:00 開場 |
---|---|
会場 | ザ・シンフォニーホール |
料金 | A 20,000円 B 17,000円 C 13,000円 D 10,000円 |
一般発売日 | 2016年5月22日(日) |
優先予約日 | 2016年5月20日(金) |
プログラム | モーツァルト:ピアノ協奏曲 第19番 ヘ長調 K.459 武満徹:弦楽のためのレクイエム モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466 |
お問い合わせ先 | ABCチケットインフォメーション 06-6453-6000 |
今回1991年以来のザ・シンフォニーホールでの演奏となる内田光子さん。プログラムについての想いやピアノの弾き振りをするマーラー・チェンバー・オーケストラとの信頼関係などについて語っていただきました。 (音楽ジャーナリスト 宮嶋 極)
――今回の演目に込めた内田さんの想いをお聞かせください。
内田 作品番号は飛んでいますがピアノ協奏曲としては連続して書かれた作品で、この2曲にも関連性があります。K.459(第19番へ長調)は1784年の年末に完成しており、k.466(第20番ニ短調)は85年初めに作られています。作曲の時期が近かっただけではなく、実際に同じことが起こったりもします。事前に玉手箱を開けてしまうのは嫌なので具体的にどこかはあえて言いませんが?アレ?どこかで聴いたことがあるな?と気付かれる方もいるはずです。また、k.459の最終楽章のフガートは大変複雑怪奇に書かれています。これに強い興味を持ったのはベートーヴェンだったと思います。彼のピアノ協奏曲第3番ハ短調にもフガートが出てきますが、モーツァルトの方がより不規則に書かれています。一見、明るく楽しく、軽やかに動いているようですが、その裏側は複雑にひねくっている。これがモーツァルトのすごいところです。K.466は彼が書いたピアノ協奏曲の中で最もドラマティックな作品です。多くの人がこれとk.491ハ短調(第24番)の2つの短調の作品を最高峰と位置付けますが、私はこの2曲にk.503(第25番ハ長調)とk.482(第22番変ホ長調)を加えます。
――モーツァルトを弾くということはご自身の中でどんな意味があるのですか?
内田 もうじき死んでしまうというのだったら私はモーツァルトとシューベルト、ベートーヴェンだけを弾いて残すかもしれません。あとバッハも、ショパンもシューマンもちょっとだけ弾きたい。(笑)2人だけ選べと言われたモーツァルトとシューベルトを選ぶと思う…、いや、分かんないなあ、ベートーヴェンを弾きたいと思うかもしれませんね。(笑)
モーツァルトのピアノ協奏曲を大きなオーケストラと一緒に弾くのは難しいのです。今、一緒に弾きたいと思える指揮者はほんの数人しかいません。その点、マーラー・チェンバーとはとても気が合いますから、この人たちともっと弾いていきたいという強い気持ちを持っています。
――世界中の名門オーケストラから共演のオファーが寄せられている内田さんが、マーラー・チェンバーと特に共演を重ねたいとお考えになる理由をお聞かせください。
内田 私が作らんとしている音楽に対する反応がとても速い、ということがひとつの要素です。弾き振りしている際にハッと新しいアイディアを思いついた場合、誰かが以前のように弾いたら困るわけで、彼らにはそれはありません。指揮者がいないので、目で見るのではなくお互い耳で聴き合って即座に反応できる人たちなのです。そして音楽を作るということに対して根源的な部分での?心?を明確に持った集団でもあります。彼らがその?心?の中で一丸となって求めているものと私が作らんとしている音楽に、どこか共通性があるのだと思います。
――今回は弾き振りですが、指揮者がいる場合とソロに専念する時とでは演奏に臨むにあたっての違いはありますか?
内田 まずはやることが増えますが、何に留意するかというとどんな場合でも私は楽譜を理解し、そこから作曲家が何を考えたのかを読み取ることに変わりありません。弾き振りでは、私の采配で皆が弾いており、そこで何が起こるかというと、私が弾く音に皆が近づくわけです。今、私はごく少数の素晴らしい指揮者としか共演していません。彼らは偉大な音楽家であり、作品に対して自分なりの考えを持っており、それと私の考えを合わせるわけです。それが一致する場合があるから面白いのですが、その代わり違う部分も入ってくる。弾き振りでは違う部分がなくなり、私が全部弾いているのではないかという音を皆が出してくれます。
――最後に公演を楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
内田 この世の中にモーツァルトのピアノ協奏曲ほど楽しいものはありません。オペラを観るようなつもりでお越しください。実際に扮装して歌ったりしないだけで、オペラと同じように物語があるのです。楽しく、面白く、物悲しく、そしてどんなに悲しくてもぱっと太陽が照る瞬間があるなど、さまざまな要素が満載です。ぜひ、お楽しみください。
***********************************************
世界のUchidaが奏でる至高のモーツァルト。
内田光子 with マーラー・チェンバー・オーケストラ
ピアニスト内田光子が前回ザ・シンフォニーホールに登場したのは1991年5月。没後200年のモーツァルト・イヤーに奏でられたモーツァルトのピアノ・ソナタはあまりに美しく、その透明な音に聴衆は深い感銘を受けたのでした。
それから25年、今回は自らも数々の名演を残し、まさに<十八番>とも言えるモーツァルトのピアノ協奏曲を精鋭マーラー・チェンバー・オーケストラ(MCO)と共に弾き振りで披露します。指揮者クラウディオ・アバドにより1997年に創設されたMCOは、世界中から集まった第一級の演奏家たちで構成されており、アバドに芸術的薫陶を受けたその緻密なアンサンブルは世界各地で高い評価を受けています。
音楽の真実を深く追求し続ける内田光子。その深遠なる世界に触れることの出来る貴重な機会です。