10代の終決、20代への決意〜神童から真の芸術家へ〜
牛田智大 ピアノ・リサイタル
〜10代最後に贈るシューベルト＆リスト〜　

　10代最後の年を迎えた牛田智大。注目を集めた12歳のデビューから早７年、歳を重ねる中でそのスタイルは年々変化し、近年では2016年に独自の解釈によるオリジナル版の「展覧会の絵」をリリース、前回のリサイタルではオール・ショパン・プログラムに挑戦するなど、己の世界観を深めながら着実に真の芸術家への階段を登っています。今回もそんな牛田さんに相応しいプログラムが揃いました。
　前半はシューベルトから。歌曲の中でも名高い「白鳥の歌」より“セレナーデ”で愛を語るように幕開け。そして、シューベルトの叙情的特質がもっとも純粋な形で現れている「４つの即興曲 op.90」。牛田さんが持つ元来の美しく優しい音色と、青年らしい力強さと大胆な緩急から生み出される多彩な音色に期待が高まります。
　後半はリストがメイン。１曲目は「愛の夢 第３番」。12歳のデビュー・リサイタルで演奏した曲に、今再び向き合います。続く「12の歌」より“水に寄せて歌う”では、牛田さん特有の眩いばかりの音色で煌めく水上へと誘ってくれることでしょう。そして、最後を飾るのはロマン派ピアノ作品の最高傑作「ピアノ・ソナタ ロ短調」。リストの人生の縮図にも例えられる濃厚でコントラストの激しい大作を、渾身の力を込めて奏でます。
　早くから才能を見出され10代を駆け抜けた牛田智大。長い芸術家人生の１つの成長点となるであろう10代最後のリサイタルを是非御覧ください。