パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団&石川直
[指揮]フランソワ・ブーランジェ
[吹奏楽]パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団
[パーカッション]石川直 ★
日時 |
2010年11月3日(水) 15:00 開演 14:00 開場 |
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会場 | ザ・シンフォニーホール |
料金 | A 9,000円 B 7,000円 C 5,000円 |
一般発売日 | 2010年6月27日(日) |
優先予約日 | 2010年6月23日(水) |
プログラム | バーンスタイン:ミュージカル 「キャンディード」序曲 ハチャトゥリャン:バレエ音楽 「ガイーヌ」より“剣の舞”“レズギンカ”★ ラヴェル:ボレロ ★ フォーレ:パヴァーヌ op.50 レスピーギ:交響詩 「ローマの松」 “ボルジア荘の松”“カタコンブ付近の松” “ジャニコロの松”“アッピア街道の松” |
お問い合わせ先 | ABCチケットセンター 06-6453-6000 |
世界最強の軍楽隊&スーパー・パーカッショニスト!
パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団&石川直
パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の起源は、1848年フランス2月革命の年に創設された12名の金管楽器奏者による騎馬ファンファーレ隊にまで遡ります。“ギャルド・レピュブリケーヌ(Garde Republicaine)”とは共和国親衛隊の意。1867年パリ万国博覧会で、ベルリオーズらが審査員を務める軍楽隊コンクールで優勝、一躍ヨーロッパの名門吹奏楽団として、知られるようになりました。
初来日は1961年秋。東京オリンピックの3年前、戦後最大規模の西洋美術展であった《フランス美術展》開催にあたり、記念行事の一環として全国6都市8公演を行ないました。特に同年4月に開館したばかりの東京文化会館で演奏された交響詩「ローマの松」の終曲“アッピア街道の松”では、「文化会館の壁が揺れた…」という伝説が生まれたほど。以来半世紀近く、同楽団は“ギャルド”の呼称で親しまれ、世界最強の軍楽隊として畏敬を集めてきました。
そのギャルドと今回共演を果たすのが、パーカッショニストの石川直さん。ブラス、ドラム、ダンス、寸劇がミックスされたアメリカ発の新感覚パフォーマンス「ブラスト!」で日本列島を熱狂の渦に巻き込み、また堂本浩一のミュージカル「Endless Shock」に出演したり、宝塚花組トップスター・春野寿美礼のコンサート「I GOT MUSIC」でパーカッション指導を行なったりと、ジャンルを超えた活動を続けています。仄聞するところによると実は石川さん、パーカッションを始める前は、シカゴ郊外の高校の吹奏楽のクラスで、フルートを吹いていたのだとか。
2010年秋、世界最強の軍楽隊とスーパー・パーカッショニストとの共演から、どんな新しい物語が生み出されることでしょうか。
★ギャルド・レピュブリケーヌ演奏会★
三光洋(音楽ジャーナリスト/パリ在住)
パリの東端、ヴァンセンヌの森のパルク・フロラル(フラワー・ガーデン)は四季の花が咲き乱れるパリジャンの憩いの場となっている。ここで8月7日から9月26日まで、週末にクラシックやジャズの演奏会が開かれている。
9月12日の日曜日の午後4時からのプログラムはギャルド・レピュブリケーヌ・オーケストラによるオットリーノ・レスピーギのローマ三部作だった。木管と金管だけから成るこのオーケストラを指揮するのは97年から常任指揮者を務めている、フランソワ・ブーランジェ大佐である。
人口池のほとりに張られた千人収容の白いテントが会場である。気温がちょうど20度で、雲はあるものの青空が広がり、最近のパリには珍しくからっとした好天に恵まれた。芝生で遊んでいる子供たちの声が初秋の涼風に運ばれてくる。観客は子供連れと年配の人が多く、席に座らないで、周囲の芝生に寝そべったままで耳を傾けているカップルもいる。盛装のパリ市内の音楽会にはないリラックスした雰囲気だ。
レスピーギのローマ三部作は「ローマの泉」(1916年作曲)、「ローマの松」(1923年作曲)、「ローマの祭り」(1928年作曲)からなる。今回は時代順ではなく「泉」「祭り」「松」の順序で取り上げられ、途中で休憩を入れずに一息に演奏された。
最後に演奏された「ローマの松」では、「ジャニクル山の松」のクラリネット独奏の最中に池の鴨が一斉に鳴き出したり、天幕の裏に巣食った鳩が騒いだりといった「ハプニング」の中、木管楽器が色とりどりの音色のパレットを活かして愛くるしい小鳥の歌を聞かせた。
「公現祭(バファナ)」や「ボルゲーゼ館の松」の本来は弦楽器が奏する部分は、どんなに木管、金管楽器のテクニックを駆使しても、やはり弦特有の急テンポの再現は難しいと感じたが、3曲を通じて1848年以来の長い伝統を誇る楽団の破格の技術は随所に発揮されていた。
最後の「アッピア街道の松」が終わると客席から大きな拍手が沸いた。
(ジャパン・アーツWEBサイトの文章より抜粋)
★丸谷明夫先生に聞くパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団&石川直★
この秋、世界最強の軍楽隊と呼ばれるパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団がザ・シンフォニーホールに登場します。その“パリ・ギャルド”の魅力と聴きどころについて、大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部の顧問で、指揮者・教育者として、日本の吹奏楽界に名を馳せる関西吹奏楽連盟理事長の丸谷明夫先生にお伺いしました。
――パリ・ギャルドを初めて聴いたのは、たしか高校1年のときです(初来日1961年)。日本国中の人がものすごい衝撃を受けました。私にはまったく想像できなかった音でした。管楽器特有の“音のブレンド感”と言うか、とにかく強烈な印象でした。なかでもJ.S.バッハの「トッカータとフーガ ニ短調」をよく覚えています。
管楽器の特長は、楽器の中でいちばん“想い”を直接的に音にできるということです。弓や弦を媒介とするのではなく、管楽器は自分の出す息がそのまま音に直結している。だから“想い”を音に直結しやすいと思います。パリ・ギャルドも、管楽器を中心とした編成で、一見整然として動きが少ないように見えますが、実は想いのこもった演奏をするわけです。
――今回演奏されるレスピーギの「ローマの松」は、ご存知のように個々の奏者の持っている力がよく出る曲です。特に期待するのは、冒頭の“ボルジア荘の松”です。もともと色彩感のある曲ですが、管楽器で演奏するとまた違う味があります。オーケストラの原曲にはない「松」が聴けるのではないかと思います。
第1楽章から第4楽章までそれぞれの「松」が、表情豊かな“想い”の多い曲ですので、そういう意味で吹奏楽向きの曲と言えるでしょうね。オーケストラの原曲であるという不自由さを感じさせない、あれ、ひょっとしたらこっちのほうがええんと違うか、と思わせる何かがあると思いますね。それがギャルドの魅力の一つだと思います。
――オーケストラの曲を吹奏楽で演奏するということは、ギャルド初来日以前にもなかったわけではないのですが、こんなに丸々全曲というのはなかった。もともと吹奏楽は特に人心を鼓舞する作用もあり、戦いやお祭りで演奏されてもきましたが、それはともかくとして、ギャルドは一つの音楽的ジャンルを確立したと言えます。
オーケストラの曲を吹奏楽でやることは、ある意味不自由なことですが、ギャルドについて言えば、吹奏楽というものがオーケストラよりも技術的に劣るとか、音楽的に足りないということではなく、ジャンルの違いでこそあれ、音楽の質の差ではない、ということを世界に知らしめたという功績は大きいです。
――石川直さんは、何度かご一緒しました。ハチャトゥリヤンの「ガイーヌ」を演奏していました。とにかく熱心ですね。部屋が隣だったんですが、本番ギリギリまでずっと練習台を叩いていました。音楽に対する姿勢が真摯で、絶対手を抜かない。まさに“太鼓のイチロー”ですね。
最近では後進の指導にも当たっていらっしゃるそうですが、石川さん生きざまそのものが、それこそ「指導」だと思っています。
――ザ・シンフォニーホールは、パリ・ギャルドと石川さんの魅力をたっぷりと引き出してくれる最適のホールだと思います。ギャルドと石川さん、そしてザ・シンフォニーホールとの“コラボレーション”が、今から楽しみです。(談)