ドレスデン聖十字架合唱団&
ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
J.S.バッハ「マタイ受難曲」
[指揮]ローデリッヒ・クライレ
[合唱団]ドレスデン聖十字架合唱団
[管弦楽]ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団
[福音史家・テノール]アンドレアス・ヴェラー
[ソプラノ]ユッタ・ベーネルト
[アルト]マルグリート・ファン・ライゼン
[バス]クラウス・メルテンス ヘンリック・ベーム
日時 |
2010年11月28日(日) 15:00 開演 14:00 開場 |
---|---|
会場 | ザ・シンフォニーホール |
料金 | A 14,000円 B 11,000円 C 9,000円 D 6,000円 (B以下売切れ) |
一般発売日 | 2010年6月27日(日) |
優先予約日 | 2010年6月25日(金) |
プログラム | J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV.244 【字幕スーパー付き】 |
お問い合わせ先 | ABCチケットセンター 06-6453-6000 |
「ドレスデン聖十字架合唱団」クライレ楽長インタビュー
山崎睦(ウィーン在住/音楽ジャーナリスト)
聖十字架合唱団の第28代クロイツカントール(楽長)を務めるロデリヒ・クライレ氏はミュンヘン生まれ(1956年)で、就任以来すでに14年目になる。
Q:ドレスデンに来られる前はミュンヘン・フィルハーモニー合唱団の指揮者として活躍されていたわけで、チェリビダッケやマゼールが指揮するミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団と共演する楽曲の合唱パートで、レクイエムやオラトリオなど宗教的な作品もありますが、ベートーヴェン「第9交響曲」やオルフ「カルミナ・ブラーナ」のような大規模な世俗音楽作品をレパートリーにしていらした。ところがドレスデンでは教会付属の少年合唱団で、バロックを中心とする宗教音楽の世界に入られたところが注目されますね。
94年からの3〜4年間、私はミュンヘンで宗教音楽以外の幅広いレパートリーを取り上げることができて、素晴らしい経験であったと考えています。ただ、97年にドレスデンからオファーを頂いたとき、私は40才でしたが、これは自分の人生にとって大きな契機だと直感しました。世界屈指の団体から指名を受けたことになりますから、非常に名誉なことであったわけです。
合唱音楽を専門にするということは、もともと宗教音楽を基本とするわけで、私自身も子供のときから教会で歌い、オルガン奏者としても活動するなど、この分野で長年研鑽を重ねてきました。
Q:いまや伝説的なカール・リヒターがミュンヘンで大活躍していた時代のことはご存じですよね。
私はまだ子供でしたが、とくにミュンヘンでは非常に重要な存在であり、大きな影響を受けました。戦後のあの時代にバッハ受容を促進し、現在に継続させた彼の功績は計り知れません。
そのように私は宗教音楽から離れたことはないし、フィルハーモニー合唱団の指導をしているときも同時にミュンヘン音楽大学で教授として室内合唱団も指導したりしていましたから、ドレスデンに移籍することに関しては、まったく違和感はありませんでした。たしかに現在、レパートリーとしてヴェルディの「レクイエム」のような大曲を扱うことはもうなくなりましたが。
Q:ここ40年ぐらいの間に古楽器団体の台頭もあって、バロックを中心とする古楽演奏の実践傾向が世界的に大きく変化してきました。コンサートホールでの純粋な音楽としての演奏と、教会における礼拝の枠内での演奏では、解釈が異なるものでしょうか。
基本的には違いは無いと考えています。ただ実際問題として、共演するオーケストラが古楽器団体かモダンな団体かによる違いは大きいですね。また教会特有の残響も考慮に入れないとならないケースが多々あり、速いテンポで音が濁ってしまうような場合は手加減が必要になります。
厳格な古楽実践に徹しようとするとアンサンブルをごく小編成に絞り、カウンタテナーを使うことになりますが、一方でそのような傾向を参考にしながら、聖十字架合唱団の条件に合った対処の方法をつねに考えています。わたしたちが共演するのはドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団で、彼らは近代楽器を使用するモダン・オーケストラですが、当地には古楽器集団であるドレスデン・バロック管弦楽団もあり、適宜彼らとも共演して経験を重ね、柔軟性をはかっていきたいと考えているところです。
(インタビュー記事より抜粋)
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
人生で最も幸福な時間がやってくる!
世界最古の少年合唱団「ドレスデン聖十字架合唱団」の魅力!!
神々しいアンサンブルで、私たちの耳を虜にする「ドレスデン聖十字架合唱団」。700年を超える歴史ゆえに、ドイツで最も古い少年合唱団に数えられ、世界中にその実力を示しています。彼らが所属している聖十字架教会は、礼拝堂建築特有の少ない残響により、音の分離、抜けがよく、合唱音楽を聴くに最適の環境を創り出しています。そんな特異な音響空間で生み出されるハーモニーは、恐ろしく完璧で息を呑むように美しいと評されています。また、響き、音色の統一されたソプラノ、アルトの少年たちの純度の高い歌声だけでなく、絶妙なバランスで音楽の基盤を支えるテノール、バスといった低音部もこの合唱団の魅力!
ドレスデン聖十字架合唱団が他の多くの合唱団と異なっているのは、そのシステムによるといわれています。一般の少年合唱団では、変声期の時期に退団を余儀なくされますが、ここではギムナジウム(中学・高校)を終了する18歳まで合唱団にとどまり、音楽活動を継続することができます。そのため、かつて合唱児童として高声部を受け持っていた少年が変声期を経て低声部を担当することになり、これまでの経験を積み、実践してきた音楽性豊かな青年たちが真価を発揮することができるのです。他の合唱団は低声部要員として大人の合唱団を組み合わせていることが多いのですが、この合唱団では長きに渡って培ってきた仲間としてのアンサンブルとなり、えもいわれぬ天上のハーモニーを生み出すのでしょう!
さて、近年、多くの演奏家によってバロック音楽の再考、そして新たな解釈がなされ、私たちには刺激的なバロック音楽が聴かれるようになりましたが、それとは一方で宗教音楽という立場から作品本来の意図に沿った滋味深い演奏を聞かせてくれるのが、指揮者ローデリッヒ・クライレ楽長(カントール)です。また、今回来日のソリストたち、福音史家を歌うアンドレアス・ヴェラー(テノール)に、マルグリート・ファン・ライゼン(アルト)ヘンリック・ベーム(バス)は、いずれも宗教音楽を得意とするプロフェッショナル。同郷のドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団と奏でる人類最高の音楽遺産を奏でるに、まさに考え得る限り極上の組み合わせとなることでしょう。
折りしも、今年は、第二次世界大戦で破壊されたままになっていたドレスデンのフラウエンキルヘ(聖母教会)の再建から、5周年。現地ドイツでも大きな盛り上がりをみせている注目のドレスデン聖十字架合唱団。ザ・シンフォニーホールの残響2秒と、どんな感動的なハーモニーを聴かせてくれるのか!?音楽が心に深く訴えかける、人生で最も幸福な時間がやってきます。
時は、第2次世界大戦前夜。
軍靴の足音が忍び寄る1939年に録音された、ある演奏を皆さんはご存知ですか?迫りくる戦争の受難を感じ取った人々の、すすり泣く声が聞こえる感動的な演奏として、今も伝説と語り継がれています。それが、メンゲルベルグ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団演奏の「マタイ受難曲」。戦争が世界を飲み込もうとしていた時代、人々にかすかな希望を与えたそれは、もしかすると、音楽の神が遺した究極のプレゼントだったのかもしれません。
人類史上最高の芸術遺産とも称されるJ.S.バッハの大作が、本場ドイツで700年以上の歴史をもつ合唱団、歌手、オーケストラの演奏で鮮やかに蘇ります。
「マタイ受難曲」は、新約聖書“マタイによる福音書”のイエス受難の章句を軸に、まとめ上げられた壮大な一大叙事詩。3時間を越える大曲ですが、「G線上のアリア」でイメージされる愛らしいバッハとはまた違った荘厳な世界は、全世界に底知れぬ感動を与え続けています!
でも!けっして堅苦しいものではありません。世界最古の合唱団ともいわれるドレスデン聖十字架合唱団の透明なコーラスと、壮麗な歌声、深遠な管弦楽が重なり合い、まるで宇宙を思わす神秘的な響きに、ただ身をゆだねてみてください!
かつて、音楽は、神との対話のために存在したといいます。そして今、音楽は何のために存在しているのでしょう?答えは、皆さんの心の中に・・・。それではザ・シンフォニーホールでお待ちしています。