佐渡裕 21世紀の第九
[指揮]佐渡裕
[管弦楽]大阪センチュリー交響楽団
[合唱]京都バッハ・アカデミー合唱団
[ソプラノ]安藤赴美子
[メゾ・ソプラノ]手嶋眞佐子
[テノール]西村悟
[バリトン]甲斐栄次郎
日時 |
2010年12月22日(水) 19:30 開演 18:30 開場 |
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会場 | ザ・シンフォニーホール |
料金 | A 7,000円 B 5,000円 C 3,000円 (C売切れ) |
一般発売日 | 2010年7月25日(日) |
優先予約日 | 2010年7月23日(金) |
プログラム | ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 「合唱付」 op.125 |
お問い合わせ先 | ABCチケットセンター 06-6453-6000 |
ついに、佐渡裕「第九」の集大成!! 衝撃と感動の5回公演に挑む!!
佐渡裕 21世紀の第九
来年は、BBCフィルハーモニーとの初凱旋公演に、世界最高峰のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会への出演と、まさに世界への扉を開けたマエストロ佐渡裕さん。残念ながら、来年は開催されない「21世紀の第九」ですが、ザ・シンフォニーホールの思い出、そして知られざる秘話を交えながら、この「第九」への思いを、深くそして熱く語っていただきました!
ついに、集大成となる「第九」へ走り始めた佐渡さんからのメッセージ!じっくりとご覧ください!!
―――佐渡裕さんにとってザ・シンフォニーホールとは!?
ザ・シンフォニーホールは、僕が指揮者になりたいと思った駆け出しのころから、本当に憧れのホールでした。今はクラシック音楽専用ホールといってもたくさんありますが、その最初のホールがこのザ・シンフォニーホールで、僕が21歳のときに出来たんですね。で、26歳から27歳の一年間、ホールから何百メートルも離れてないような、近くのマンションに住んでたんです。ザ・シンフォニーホールの指揮台に立ちたくて。すごい単純でしょ(笑)!?ベルリン・フィルのときもそうだったんですが、近くに住んで、ここに出たいと思い続けることが何かに繋がるかなと思ったんです。その後、世界中のホールにいきましたが、僕にとっての憧れのホールというのは、未だに変わらないですね。
最初に舞台に立ったのは、1986年の同志社の大学オーケストラの定期演奏会でシベリウスの交響曲第2番を指揮しました。プロのオーケストラとして舞台に立ったのが、88年の2月。関西フィルと第九の第4楽章だけをやるという(笑)。その後、ヨーロッパに行って89年のブザンソンのコンクールで優勝して、90年にデビューに。そのとき、バーンスタインに教えられて、幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」という曲をやったんですが、当時のザ・シンフォニーホールのスタッフが、その練習をたまたま見ていて、この若い指揮者をホールの指揮台に立たせたいというところから、ホールとの関係が深くはじまっていきました。
すごく大きな思い出といえば、PMFオーケストラで92年に来たときに、チャイコフスキーの交響曲第4番でシンフォニーホールに立ったことで、これも不思議な縁ですけど、前半に、今、大阪フィルで音楽監督をされている大植英次さんがブラームスの交響曲第4番を指揮されて、後半に僕がチャイコフスキーを指揮したんです。当時ギャラをもらえる演奏会なんて少なかったんですが、本番のあと、指揮者だったらプラザホテルで呑むべきだろうということで、そしたら、山本直純さんと桂小米朝さん(現:米團治さん)がいらっしゃって。僕は、山本さんや、岩城宏之さん、小澤征爾さんといったあの時代の先輩をみて、音楽家になったと思っていますから、大したギャラもないのに「今日の呑み代は私が払います」といっちゃって。あの山本直純さんに奢ったわけですが、翌日、精算にいって目ん玉飛び出た記憶がありますね(笑)。
―――佐渡裕さんと「21世紀の第九」と・・・
1993年から、「21世紀への第九」という形で始まったんですが、ちょっと裏話があるんです。毎年年末のこの日に、フェスティバルホールで大阪フィルと朝比奈隆先生が第九をされていたんですね。僕も1人のクラシックファンとしてよく聴きに行ってまして、朝比奈先生にはすごく可愛がって頂いてたんですが、僕も若かったせいか、わざと先生の第九の日に、ザ・シンフォニーホールで自分の「第九」をやりたいと。もうほんとに生意気な話で、けんかを売ってるみたいな形ですけど、手を挙げていかないとだめだと思ったんです。
最初は、佐藤しのぶさん人気でお客さんが入っていたようなものでしたが、ほんとに有難い話で、年々、回を重ねるごとにお客様も増えて公演回数も増えていきました。舞台袖の扉が開くと、空気が水の表面張力のようにドアの形になって膨らんで見えるんですね。これから何かが始まるんだという、お客さんの期待度がすごくて!その空間にぱっと出て行く瞬間が非常に快感でしたね!自分の中でも、年末の締めくくる特別なものになっていきました。
この「21世紀の第九」は、日本で第九を演奏する形において、最も理想的な形だと思いますよ。作品が本来持っている音楽的なバランス、ベートーヴェンが思い描いた音の響きは、豊かな音響をもったこのザ・シンフォニーホールで、そして大阪センチュリー交響楽団という編成でやると、最良のものになると思っています。これまでの僕の最高の演奏体験なんですが、“自分が指揮していない感覚”になることがあったんですね。ものすごく幸福感に包まれて、まるで幽体離脱のように、ホールの天井くらいから自分を見ている感じになって。そういうのは、毎回起こるわけではないんですけど、たとえミスが起こっても、その傷も含めて自分の中に美しいものとして刻まれるんです。世界的な名門オケとも共演してきましたが、このセンチュリー響とそういう音が創れたというのが、すごい嬉しかった。まさに、オーケストラや合唱団のプレイヤーに対してリスペクトできる瞬間ですね。
―――残念ながら「21世紀の第九」来年は開催されませんね?
終わりにするつもりはないんですが、物理的な問題です。今年は、このあとケルンに行ってジルベスター・コンサートをやりますので。僕自身としては、「21世紀の第九」は出来ることなら続けたいですし、他の形で何か新しいシリーズをつくるのか分からないですが、何らかの形でザ・シンフォニーホールとの関係は続けていきたいと思っています。本音をいうと、年末正月くらいは、関西にいたいんですけどね・・・
来年出来ない分まで聴いてもらおうというわけで、今まで2日間とか3日間おこなっていた「21世紀の第九」を今回は5回やろうと。一つのホールで「第九」を5回もするなんて東京でもないでしょうし、世界的にみてもあまりないでしょう?出来るとしたら、立川志の輔さんの落語くらいかな(笑) これには非常にワクワクしますね!
―――佐渡さんにとって「第九」とは?
ベートーヴェンは、音楽を演奏するものにとってはバイブルみたいな存在で、第九というのは、世界遺産みたいな曲なんです。人間臭くて、正直で、神様が彼に才能を与えた音が並んでいる。70分という1曲に苦悩から喜びまで入っていて、皆さんが良く知っているあのテーマも出てくるのはちょっとだけなんですが、そこにみんなで向かっていくんです。歌謡曲やポップスと比べると、70分は長いですけど、その時間を一緒にこのザ・シンフォニーホールで体感してもらうことで、この地球上にみんなが住んでるんだなと実感するときがあるんですね。
あと、「第九」をやると、人間捨てたもんやないなと思うんです。今はインターネットがあって、様々な考え、宗教、文化をもっている人がいて、混沌として世の中が成立していると思うんですが、だからこそ、人の生きていく真理みたいなものを考えさせられる曲ですね。
―――最後に、今回の5回公演に向けて熱いメッセージをお願いします!
これまで200回近く指揮してきて、若いころなんて、夢中になって振っていましたけど、40代最後の「第九」で、ベルリン・フィル出演という次のステップにいく前の「第九」でもありますで、やっぱり特別な思いがありますね。
今回初めて聴きに来てみようというお客さんもたくさんいらっしゃると思うんですが、もう本当に大歓迎ですし、奇を衒わずしっかり楽譜にあることを鳴らして、この日この時間に集まってくださったお客さんとだけ味わえる一期一会のものにしていきたいと思います。CDのようにボタンを押すといつでも音が聴けるのとは違って、決められた時間にわざわざ聴きにきて、目の前の空気の振動を体感して味わってほしい!5回公演ですが、1回1回違うでしょうし、苦しみも喜びも含めて「生きてるぞ〜」と思える「第九」にしたいですね!
ベートーヴェンがこの世に「第九」を生み出して約200年。この地球で「第九」が鳴り響くたび、世界のどこかで、誰かが歓びの涙を流し、感動を分かち合うことができる。それは、ベートーヴェンが“音楽”に託した夢だったのかもしれません。
時空を超え、ここ日本にも同じように、音楽に“夢”を託し続けた1人の若者がいました。京都に生まれ育った彼は、自身の夢を追い続け、私たちに希望と感動を与え続けてくれました。そして、世界最高峰のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期演奏会への出演という栄光を掴み取ったのです。そう、我らが佐渡裕!日本人指揮者として最近では小澤征爾さんに続く大快挙を成し遂げた佐渡さんが、「第九」と共に、ザ・シンフォニーホールに帰ってきます。
佐渡さんとザ・シンフォニーホールの出会いは、今から24年前の1986年。25歳のときに、京都の大学オーケストラの指揮者として初登場しました。そして、その7年後の1993年、いまや年末の風物詩といえる、大阪センチュリー交響楽団との「21世紀への第九」がスタート。以来17年、毎年開催され、満員のお客様に愛され続けた「21世紀の第九」が、堂々たる5回公演で、ついに集大成を迎えます!残念ながら2011年12月には開催されない「佐渡裕指揮21世紀の第九」ですが、絶対に見逃せない、聴き逃せない5回公演で佐渡さんの雄姿をぜひ心に焼き付けてください!
佐渡さんの描く「第九」には、“温かい人間臭さ”が溢れています。そして、聴くたびに違った表情を魅せ、新しい発見と深い感動に出会うことが出来るのです。それは、100名を優に越える演奏者たちの“呼吸”、それを聴く聴衆の“鼓動”、そして会場全体の人々の“心”を、佐渡さんのタクトが紡ぎ出し、大きな音のうねりへと変えていくからではないでしょうか!
「苦難を乗り越えたときに湧き上がる歓び」そんな心のひだを震わすような感動が詰まった「第九」。まさに、佐渡さんの人生ともいえるベートーヴェン「第九」で、21世紀最初の10年のクライマックスを迎えませんか!?伝説となるであろう佐渡裕「第九」の幕がついに開きます。