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【弁護士解説】ガーシー被告が問われた「常習的脅迫」という罪 弁護側が争う方針としている「常習性」とは何なのか?

09/19 18:21 配信

 動画投稿サイトで俳優らを常習的に脅迫したなどとして起訴された、元参院議員のガーシーこと東谷義和被告(51)。19日、東京地裁で初公判が行われました。わずか18枚の傍聴券を求め、詰めかけた人は560人。

 今回の裁判で弁護側が「争う方針」としているのが「常習性があったのかどうか」です。「常習性」について三輪記子弁護士に聞きました。

(Q.常習性というのはどのくらい重視されるものなんでしょうか?)
 常習かどうかで全く刑罰が変わってくるので「争う方針」というのはよくわかります。「脅迫罪」は刑法の犯罪ですが、「常習的脅迫」は暴力行為等処罰法違反になります。「脅迫罪」の場合は最も重い刑が「2年以下の懲役」ですが、「常習的脅迫」は「5年以下の懲役」になり、重さがまったく違います。

(Q.常習性というのは「常日頃行われている」ということでしょうか?)
 ここで考えたいのが「常習性」の法律的な意味です。そもそも暴力行為等処罰法というのは、反社会的勢力の人(常習的に傷害とか暴行とか器物損壊とかそういうことを繰り返してる人)が脅迫などに及んだ場合に、通常の脅迫よりも重くするという規定です。

 では、ガーシー被告の場合はどうなのか。

 常習という言葉には「繰り返し繰り返し行って」というのも含まれるとは思います。法律解釈としては「粗暴な行動(言動)に出る習癖が発現したことを常習という」とされています。ただ、この法律ができた経緯っていうのは、先ほども申し上げたように、反社会的勢力の人を処罰をするのが目的でもあるので、今回の裁判で、悪質であったとしても、必ずしも当てはまるのかどうかっていうのは、十分争点にはなりえるのかなと思います。

 常習性というのを広く解釈しすぎると法律の解釈として、ある事件は重くなる、ある事件は軽くなるというように、判断基準が曖昧になることはあまり望ましくないのかなと思います。

 今回、刑が重い方の罪で起訴したということは、検察としては今回の事案をすごく重く見ていて「重く処罰したい」という意思の表れだと思います。ただ、重く処罰しなければいけないからといって、法律の枠を自由自在に広げたり狭めたりするというのは、ちょっと怖いなと思います。

最終更新:09/19 18:21

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