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奈良のシカ「虐待認められず」 奈良市が「環境改善は必要」と行政指導 通報の獣医師「エサのやり方検証してほしかった」
11/24 19:27 配信
奈良のシカの保護活動をする「奈良の鹿愛護会」の施設内に収容されているシカが虐待されていると愛護会の獣医師から通報を受け、奈良市が調査していた問題。市は24日、調査結果を発表し、「虐待は認められない」とする一方、文書で飼育環境の改善などを求める行政指導をしました。
(仲川げん・奈良市長)「虐待を受ける恐れがある事態であるが、改善が見込まれない事態という状況には該当しない。勧告は行わないということになる」
奈良公園にいるシカは、国の天然記念物に指定されています。
そのうち、農作物を荒らしたり交通事故に遭ってけがをしたりしたシカは、奈良公園の一角にある「鹿苑(ろくえん)」という施設の「特別柵」と呼ばれる区画で保護されています。
鹿苑を運営する「奈良の鹿愛護会」の丸子理恵・獣医師は、「シカに十分な量のエサが行き渡っておらず、毎年50頭以上が死んでいる。虐待されている」と8月から9月にかけて奈良県や市に通報。
奈良市は、鹿苑への立ち入り調査に加え、関係者からの聞き取りを重ねた結果、24日、シカへの虐待は認められなかったと発表しました。
一方で「改善すべき点はある」として、愛護会側に、文書による行政指導をしました。
(仲川市長)「新鮮で清潔な水を常時与えられるような対策や、衛生的な飼養環境を保ち、密集しがちな環境を解消する必要がある。奈良のシカを未来にわたって野生の状態で、我々を和ませてくれる存在として守り継いでいくために、人間側が何をしなければならないのかということを、しっかりと考えていきたい」
市の調査結果発表を受けて、「奈良の鹿愛護会」の山崎伸幸事務局長は、「(県も市も)やせているものは2割程度と公表いただいたので、獣医師が言うように『75%以上やせて衰弱している』という恐ろしい状況は全くない。当会の主張が、調査で明らかになったのではないか」と話しました。
一方、通報した丸子理恵・獣医師は、「エサは十分、改善の余地はあるし、市には指摘してほしかった。今回の結果を見る限り、それについての説明はなかった」と疑問を呈しました。
最終更新:11/24 19:29