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医師として人命守らず「ビジネスで犯行」 京都ALS嘱託殺人 無罪主張の被告に懲役2年6ヵ月の実刑判決
12/19 14:40 配信
難病のALS=筋萎縮性側索硬化症の女性に依頼され、薬物投与により殺害した罪などに問われた元医師の男に対し、京都地裁は19日、懲役2年6ヵ月の実刑判決を言い渡しました。
元医師の山本直樹被告(46)は2019年、医師の大久保愉一被告(45)と共に、京都市内に住んでいたALSを患っていた女性(当時51歳)の依頼を受け、薬物投与により殺害したとして、嘱託殺人などの罪に問われています。
これまでの裁判で山本被告側は、「大久保被告の犯罪で、山本被告は従属的な関与だった」などとして無罪、または幇助にとどまると主張していました。
一方の検察側は、「被告らはゲーム感覚で犯罪を成し遂げていて、内省の深まりははなはだ不十分である」などとして、懲役6年を求刑していました。
19日の判決で京都地裁は、山本被告が大久保被告から事前に説明を受け「目的を認識し、了承した上で協力していたことが推認される」と指摘しました。
その上で、「見張りにとどまるとはいえ、犯行の実現に重要な役割を有していた」として大久保被告と共謀して殺害したと認めました。
さらに医師として人命を守ることが求められていたにもかかわらず、対価を得て「ビジネスとして犯行に及んだ」と非難しました。
一方で、「被害者の真摯な嘱託を受けた自殺幇助に近い側面もあり、被害者は苦痛なく死亡した」などとして、懲役2年6ヵ月の実刑判決を言い渡しました。
亡くなった女性の父親(83)は、判決後に報道陣の取材に応じ、「無罪や幇助に過ぎない」と訴えていた山本被告に実刑判決が下されたことについて、「現場にいたのだから当然と思う」と話しました。
実行犯とされる大久保被告については、犯行の瞬間に娘と目が合っているはずだとして、「目を見て人を殺せるのか。人間として、医師として薬を注入できるのか」と怒りをあらわにしました。
父親は、1月に始まる大久保被告の裁判では、その点について被告に対し、自ら直接問いたいと述べました。
最終更新:12/19 14:40