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　京都大学病院は世界で初めて生体肺肝同時移植手術に成功したと発表しました。１０歳未満の男児に、両親の肺と祖父の肝臓の一部を移植したということです。

　手術は、京都大学医学部附属病院の伊達洋至教授らのグループによって、去年１１月に実施されました。

　関東に住む１０歳未満の男児は、全身の臓器で異常が起きる先天性角化不全症という病気を患い、酸素が取り込めなくなったほか、肝硬変に伴う症状があり、命を救うには肺移植と肝移植の両方が必要となりました。

　伊達教授らのグループは、まず４０代の両親の肺の一部を移植し、その後、６０代の祖父の肝臓の一部を移植しました。

　４つの手術室を使い、医師やスタッフら約３０人が１８時間あまりかけて手術をしたということです。

　男児は、手術から約４ヵ月後の３月１日、元気に退院しました。両親、祖父もすでに社会復帰しています。

　男児は４歳のとき、妹から骨髄移植も受けていました。

　生体肺肝同時移植は世界で初ということで、京大病院は「肺と肝臓の両方に障害のある患者への新しい治療の可能性を広げたという意義は大きい」と評価しています。


◆両親から京大病院に寄せられたコメント
「今回は息子の肺肝同時生体移植をご提案くださり、本当にありがとうございました。
　当初はもう打つ手がないものと絶望的な気持ちでしたが、京大病院にも様々なリスクがある中で、今回の提案をしてくださったことが私たち家族にとっては唯一の希望でした。
　京大病院の医師の皆様のおかげで手術が無事成功に終わり、その後の治療もＩＣＵや小児病棟の皆様の献身的なサポートで順調に回復することができました。
　改めて皆様に感謝申し上げます。
　最後に、今回の移植の例を機に、これまで移植を諦めるしかなく、何もできないもどかしさや絶望感を抱えている患者さんや親族の方の一筋の光になれば嬉しいと考えております。
　本当にありがとうございました」