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えん罪事件の取り調べ警察官が出廷 「一切ない」自白巡り供述の誘導を否定 再審無罪の元看護助手による国賠訴訟

05/23 19:25 配信

 警察官の誘導でうその供述をして、殺人の罪で服役した後、再審で無罪が確定した女性が、国と滋賀県に損害賠償を求めている裁判。

 23日の裁判では、当時取り調べをした警察官が出廷し、自白の誘導について「一切ありません」と否定しました。

 裁判を前に今の思いを打ち明けた西山美香さん。
(西山さん)「違法性などは認めないかもしれないが、自分でも尋問をさせてもらうので、どういうふうに考えているのかを知りたい」

 西山さんの人生を大きく狂わせる事件が起きたのは、21年前の2003年。滋賀県の湖東記念病院で入院患者が死亡し当時、看護助手をしていた西山さんが人工呼吸器を外して殺害したとして逮捕されました。取り調べでの「自白」が決め手となり、殺人罪で懲役12年の刑が確定しました。

 しかし、裁判段階から自白はうそだったと無罪を訴え続けていた西山さん。出所から約1年半後、ようやく裁判のやり直しが認められました。

(西山さん)「いすを蹴られたり、患者さんの写真を机に並べられたりして怖い思いをした。その取り調べが長いこと続いたので、どうにか逃れたいと思った。自分が殺したと認めたら優しくなって」

 裁判では、西山さんに軽度の知的障害があったことをあげた上で、警察官が西山さんの恋愛感情を利用して供述を誘導しようとしたことが認められました。

 逮捕から16年の月日が経ち、ようやく証明された無罪。2度とえん罪事件を起こさないため2020年、西山さんは国と滋賀県を相手に捜査機関の責任を追及する裁判を起こしました。

 23日、法廷に立ったのは当時、取り調べをした警察官で、自白の誘導を否定しました。
(指示や誘導は?)
(警察官)「一切ありません」「まっすぐに私を直視して、涙ながらに供述しました」

 午後からは西山さんが直接、警察官に質問しました。
(西山さん)「何回も私に、お前の不安を取り除いてやるって言いましたね?」
(警察官)「取調官として改心させるために言いましたね」
(西山さん)「改心ってなんですか?」
(警察官)「反省させる意味です」

 また、西山さんが患者を殺害したと思っているのではないかとの原告代理人の問いかけには。

(警察官)「個人的な感情はお答えできません」
(原告代理人)「無罪が確定した今、なぜ起きたのか明らかにしなければなりません」
(西山さん)「答えてくださいよ!今でも犯人って言ったらいいじゃないですか!」

裁判を終えた西山さんは。
(西山さん)「きょうを迎えるまでは(警察官が)謝ってくれると思っていたんですよ。『犯人とは言えない』とかいうと思っていたんですけど。変にごまかされたので、あんなもんだって思うしかない…」

(鴨志田祐美弁護士)「検察・警察という組織に震えるほどの怒りを覚えている。どうして間違いを認めるという簡単なことができないのか。これは組織を解体しないといけない事態だと思う」

最終更新:05/23 19:25

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