船が着く10分前ぐらいだろうか、それまで人の気配のなかった近江八幡側のこの堀切港に人が集まってきた。 そうしているうちに、小さな旅客船が到着。 船内はまるでマイクロバスのようであり、座席に畳など敷いてあって、なんだかとても懐かしい空気が漂っていた。 私は外の風景を眺めるため、後部のデッキに出た。 10名ほどの乗客を乗せた船はエンジンの音も軽やかに、方向転換を行い、一気に加速する。 と同時に船が上下に激しく揺れ、巻き上げる白い波もダイナミックな飛沫を上げ始めた。 例え湖と言えども、なめてかかってはえらいことになりそうなことがなんとなく理解出来る。 あっという間に沖島へ到着。 島のご老人たちが、秋の長い影と一緒にそれぞれの家路についていく。