田部家土蔵群

勲章のように貼られたプレートにこの電柱の歴史を感じる。
ところが、その背後に立つ土蔵群や、この町並みは、
この電柱の歴史など比にならないほどの年月を経てきている。
この風景にすっかりとけ込んでいる古ぼけたこの木の電柱でさえ、
新参者ということだ。

もし「たたら」という一大産業が生まれなかったら、
ここは今も、深い山野なのかもしれない。
豊かな資源と技術が生んだ町並みは今、
人通りもなく、少し寂しそうに青空を行く雲を見上げていた。

 
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Photo&Essay:Shuji Enmando