ここへ来る前に、ある岬を散歩していると、 ちょうどワカメを干す作業をしている漁師の人に出会った。 「よかったらつまんでいけ」 という言葉に甘えて、端を少しちぎって口に入れると、 なんとも言えない磯の香りが、口中に広がっていったのだった。 この足元のワカメたちも、きっとそんな香りがギューっと 凝縮されているのだろう。