ふと、何かの空気に誘われるままに、 足を踏み入れた廃校になった小学校跡。 すべてが、もう過去のものになろうとしている。 割れたガラス、ひん曲がった鉄棒、色あせたカーテン。 気がつくと、 山仕事姿の老人が、あらんばかりの笑顔で、私を見つめている。 おもわず私はその笑顔につられ、その老人の話に耳を傾けることにした。 「これでも、この集落じゃ、わしは若いほうじゃ」 青空の下に静かに佇む校舎と、老人の語りに、 いつの間にか、安らぎを感じていた。