■劇団レトルト内閣さん、昨日小屋入りされまして、初日は明日金曜日、今回はガッチリ2日仕込みというわけです■「エレガンスロック」と称する音楽のみならず、セットや衣装などのビジュアル面にも毎回強いこだわりを持って臨まれるレトルト内閣ですが、《10周年記念公演 『猿とドレス』》と銘打たれた今回の作品、ずばりテーマは『着ること』、『装うこと』だとか。題材はどうやらアパレル・デザインの世界ですね■この間劇団のおしゃれなウェブサイトを開いてみて驚いたのですが、今回の作品の特設サイトの中に、『登場ブランド紹介』というページがあります。すごいね!作品に登場するいくつかのブランド名(もちろん架空の)に続いて、その特徴、モデルによるコーディネート写真、ロゴ、ターゲットなどが詳細に記されています。いやーここまでこだわったお芝居ってそうそうないんじゃないですか?世界がしっかり構築されているというやつですね■
・・・っと、実は今、『世界』のところを思わず『世界観』と書きそうになっている自分に気づきました。最近よく使われる『世界観』の用法です■数日前、Twitter上で、ある関西の劇作家・演出家の方が最近の『世界観』の使い方について苦言を呈されていたのを、さっき突然思い出したのです。おそらく、僕もこのブログで過去に何度か使っていると思います。普通に『世界』とか『世界設定』でいいところを、流行につられてつい『世界観』なんて■この用法は、おそらく80年代以降、小説、マンガ、アニメーション、RPGなどのジャンルで、異世界ファンタジー系の作品作りやその評論などの中から生まれてきたような気がします。おたく的な用法と云えるかもしれません。要は登場人物たちがいる『世界』の『設定』という意味ですよね■本来の『世界観』とは、《万物は神が創り給うたのだ》とか、《人間の歴史は階級闘争の過程である》とか、《生物は所詮遺伝子の乗り物に過ぎない》とか、つまり文字通り『世界の見方』であって、『設定』ではない■しかし思えば、日本語の『世界』という言葉は元々「衆生が棲む領域」といった感じの仏教用語なので、いわゆる地理的な表現以外に、古来実にさまざまな使い方をされています。さっき僕が無意識に使った「アパレル・デザインの世界」もそう■芝居で云うと、歌舞伎で使われる『世界』が特徴的ですね。物語の背景となる歴史的事件、伝説、先行作品などから規定される、「話の大筋」、「登場人物」、その「性格」や「人間関係」など、劇作をする上でも鑑賞する上でも前提となるような枠組のことですね。『仮名手本忠臣蔵』という先行作品があって、その《忠臣蔵の世界》の中で、今で云うところのスピンオフ作品として作られた、『東海道四谷怪談』。つまり、歌舞伎の『世界』って考えてみれば昨今使われる『世界観』に非常に近い!...深いなあ■思考と論旨はぐるぐる回っちゃうんですが、日本語ってやっぱり面白いよな、と感心した次第であります(艦長)
9月 16日(金) 19:30
17日(土) 15:00 19:00
18日(日) 13:00 16:00
※当日券は開演45分前から、各回10~20枚発売されます
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- 2011年09月15日木曜日