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成立

■昨夜行われた笑い飯ひさびさのABCホールLIVE、さすがの内容でした■実は全部は拝見しなかったのですが、計3本演じられた漫才の1本目、『くいだおれ太郎が通天閣の下に置かれたらどんなことをしゃべるか?』という設定で繰り広げられた2人の例のボケ合戦は秀逸でしたねー。くいだおれ人形の単調な手の動きと、いかにも録音っぽいその口調が、M-1GP2003で披露した伝説の「奈良県立歴史民俗博物館」のネタを思い起こさせもしました(マニアックな話ですみません)。彼らは毎回ライブの冒頭で「客席が高齢化している」という話題を振るのですが、実はつまり、笑い飯の漫才は大人の鑑賞に堪えるインテリジェンスを備えているということですよね。

■さて話はガラリと変わりますが、消費税アップをめぐって国会が不穏な空気に包まれている中、昨日全会一致でひっそり成立した法案があります。『劇場、音楽堂等の活性化に関する法律』、通称『劇場法』です■ざーっと関係資料に目を通してざっくりまとめると、ですね。こんな法律です。

『日本の劇場は、特に地方においてはほとんどが公立の施設であるが、現状、文化施設としての機能が十分に発揮されているとはいえない。これからは、『劇場運営者』、『上演団体』、『地方公共団体』それぞれの役割を明確にし、連携していこう』

『特に国および地方公共団体が取り組むべき事柄を明確にし、専門的知識を備えた人材育成などを中心に、環境整備を進めていこう』

『具体的な指針はこんご国(文化庁)が作成するように』      ということです。

■この議論のベースに、バブル期以降のいわゆる『ハコモノ行政』の寂しい末路に対する反省があったのは間違いないでしょう。日本の津々浦々、無数の市町村で威容を誇る、場違いにモダンな文化会館。今はどこでもHPがあるので誰でも閲覧することが出来るのですが、たいていその予定表はガラガラです。たまに催しが入れば、2000人収容の大ホールで地元の人たちのカラオケ大会・・・なんて笑えないような話を聞いたりもします。カラオケが悪いとは云いませんが、明らかに建設の意図とは違う■そういう空虚な現状を脱却して、『ものづくりの出来る劇場』を育てていこう、というわけですね。国会の全会派が賛成したということですから、ほとんどの人は納得しているのでしょう■しかし、演劇の現場の人からの不安の声を聞くこともあります。つまり、これまで上演団体(劇団など)に対して、各公演単位で一定の条件を満たせば拠出されていた公的機関の助成金が、こんご劇場の方に回ってしまうのではないか。つまり、劇場の資金と人が豊かになる分、劇団の主体性や経済的側面は却って苦しくなるのではないか、と■この劇場法がこんご実効性を獲得できるのか疑問を持つ向きもあるようですし、いずれにしても時間のかかる話ではあります。しかし、民間の劇場であるABCホールも、まったく無関係ではいられないはずです。しっかり勉強していこうと思います(艦長)

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舞台の裏側、月の裏側

2012年06月24日日曜日
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