■今日は当ホールとしてはちょっと異色のラインアップ、劇団まげもん『よいではないか・番外編2』初日です。懐かしい吉本芸人さんが何人も出演される古き良き時代の人情喜劇、ですね
■そして!来週末はいよいよ、劇団Patch第2回公演『巌窟少年』です■実は先日私、そろそろ大詰めにさしかかった稽古の見学をさせていただきました。いやー面白かった。 作・演出の末満健一さんの指導に何とか応えようとする、でもなかなかうまく出来ないPatchメンバーの苦悩、葛藤・・・。モえますなあ。・・・などと書くとちょっと危ないおじさんみたいですが、私、こういう稽古場の生々しいやりとりが大好物なんです■自分に与えられた台詞をどう音にするか、という課題。例えば、実際人を殺めた経験などあるはずもない俳優が、『僕は、○○を殺したんだ』という告白の台詞をどう言うか■まず戯曲全体について理解する。自分の役及びその場面について理解する。演出家の意図を理解する。そこに、これまでの俳優自身の人生経験、その上で形成された性格、接してきた本や舞台や映画・・・などの要素が加味され、これらが俳優の脳内のブラックボックスを通じて、最終的に音の高低、強弱、間合い、息遣い、表情などを総合した、『ことば』となって舞台上に表れる。・・・前にも書きましたが、与えられた台詞を完璧に言うという作業は、目の前に来たボールをゴールに入れる作業とは根源的に違う部分がある。自分というものの奥底に触れざるをえないヒリヒリした感じ、というか■当然のことですが、戯曲の作者でもある末満さんは、現時点で作品について一番"わかっている"人です。ひとつひとつの台詞について、台詞とアクションによって構成されるその場面の完成形について、明確なイメージを持たれている。少しでもPatchをそこに近づけたい。いきおい、指導は厳しいものになります。時には俳優の人格そのものに踏み込まざるを得ない。二十歳そこそこの少年たちにはきつい日々だと思います。でも俳優という仕事の魅力のひとつは、演出家が抱く理想像を超えた演技を提示する可能性を、誰もが持っていることなのです。今はきっとそこまで考える余裕はないと思うけれど、とにかく彼らは明るく頑張っています■その姿は、巌窟の中で寄り添って生活する10人の少年たちそのものに見えてくるのですが・・・『巌窟少年』のお話の魅力について書き出せば長くなりそうです。相変わらず肩も腕も痛いし、それについてはまた。
■でもああいうの見てると思うんです。人まねでない、真摯な演技の魅力について。ものものすごーく極端ですが、ワールドカップでゴールを決めて世界中の数億人の人を熱狂させるより、小さな劇場の舞台で完璧に台詞を言って目の前の観客300人の心を動かす方がうれしいんじゃないか?って■まあ人生で一度だけどちらかが選べるなら、僕は・・・ゴールを選ぶかもですけどね、さすがに(艦長)
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- 2013年03月22日金曜日