■ネット上に、僕がよく参考にさせていただいている、ある覆面劇評家さんのサイトがありまして。たぶんアレだろうとお察しの方も多いと思います。おそらく首都圏在住の方なのですが、その方の劇を観る目が実に優しい。演劇愛に満ちている。感想文には、劇の中身のみならず、上演時間、客席の入り具合、チラシ束の厚みまで記載されていて、読めばまるで実際に劇場に行ったかのよう■特筆すべきはその観劇数の多さで、大劇場から小劇場まで、現代演劇を中心として、ダンス、歌舞伎、オペラ、落語もまじえ、だいたい1か月平均40本ほど、多い月は50オーバーの観劇記がアップされています。つまり、ほぼ毎日、休日は原則昼夜ハシゴで時には3本、みたいな感じなんです■さらに驚くべきは、関西にも頻繁に足を運ばれていることで、例えば、今や関西を代表する劇団といえるヨーロッパ企画は、結成間もない2001年から恐らく全作品をご覧になっていますし(僕より1年早くてちょっと悔しい)、京都の民家の居間みたいなところで上演されている一人芝居の、数人の観客の中の1人だったりもする(その中には僕もいたみたいですが)■いったいどんな方なのか全く知らないのですが、その方の記録の中で、前から特に気になっていた物件があります■2000年8月、KAVC(神戸アートヴィレッジセンター)で開催された、劇団・遊気舎による『エル・ニンジャ対アマゾネス・キョンシー』というイベント。作・演出は、かつての遊気舎座長、大王こと後藤ひろひと氏。2000年といえば、後藤氏が川下大洋氏と演劇ユニット"Piper"を立ち上げて3年目です。私・艦長、このPiperの初仕事だった当社のある深夜TV番組(1997)の担当Pだったりするのですが、2000年当時は東京勤務だったこともあり、この催しは見逃しています。ちなみにこの深夜番組、実に奇抜で面白かったのですが、あとで会社の偉い人に少々叱られもしました。えへ■でですね、今からこの劇評サイトを元に、『エル・ニンジャ対アマゾネス・キョンシー』がどんな催しだったかを説明します・・・■①ある映画作品の上映会という設定。進行役の大王によると、どうやら完成フィルムが間抜けな理由でオシャカになってしまったらしい■②「ならば今から上映時間までに、急いで足りないシーンを撮り足そう!」「まさか!?」「エキストラならここにいるじゃない!」ってことで、観客がいくつかのグループに分けられ、建物の中の何か所かに集められ、それぞれが変てこな演技指導を受ける。そして訳の判らぬままその姿を撮影される■③撮影された素材は急いで編集に回され、その間観客は自由行動。館内の至る所に設けられたお楽しみコーナーで、遊気舎座員との様々な触れ合い(?)を楽しむ。さながら高校の文化祭のような雰囲気であたろうと思われます■④そしていよいよ完成した映画の上映会!映画の出来そのものは何をか云わんや、大王云うところの『ゴミ映画』だったはずですが、あちこちに、さっき撮影したばかりのエキストラシーンが!しかも写っているのは他ならぬその場の観客。「なにー!?さっきの演技指導でつけられた動きってこういう意味だったの!」って、編集の魔術で意外な使われ方をしちゃってるという趣向。もうこれは盛り上がらないわけがない■ いやー観たかったなーこれ!と、13年前に記されたこの文章を読んで涎を垂らしていたわけですが。なんと。この企画がグレードアップしてABCホールで観られるというじゃありませんか。長生きはするもんです■題して『デルシネ』、つまり出るシネマ。イベントの骨格は上に記したとおり。司会進行はもちろん後藤ひろひと。氏の監督による『エル・シュリケンvs悪魔の発明』という映画は相変わらずゴミみたいですが出演者は超豪華で、ナインティナインの岡村さんはじめ大師匠から若手人気者まで吉本の芸人さんがズラリ■そして、編集の間、お客様を楽しませてくれるのは、ご存知Piperの長老・川下大洋、もとい彼が扮するキャラクター、ドナインシタイン博士による、久しぶりの『ひみつ学会』。関西演劇界一の屁理屈男・DOCによる今回の研究発表はずばり『後藤ひろひとのひみつ』。毎ステージ、博士の発表に加えてゲストの研究発表、さらに豪華なVTRゲストの発表もあります!
■うー!書いていても、ちょっと予備知識がいりそうな文章で恐縮ですが、なーにややこしいことは知らなくて結構。会場に来て下さりさえすればいいんです。類稀な才能とサービス精神で関西の演劇界を牽引し続けている大王が、盟友・ドナインシタイン博士と共に、あなたを奇妙な世界に連れて行ってくれます!
■あ、初日の昼の回には、映画のヒロイン、桜 稲垣早稀ちゃんも登場してくれます。
■でもって、現在ここから、当日精算予約受付中!!
王立劇場vol.10 デルシネ エル・シュリケンvs悪魔の発明 with ドナインシタイン博士のひみつ学会2013
9月22日(日) 13:00(ゲスト・桜 稲垣早希、久保田浩) 18:00(ゲスト・兵動大樹)
23日(月・祝) 13:00(ゲスト・内場勝則) 18:00(ゲスト・楠見薫)
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- 2013年09月19日木曜日