■朝、駅の書店に立ち寄ったら、村上春樹さんの新作短編集が発売されていました。そして、今年の本屋大賞を受賞した『村上海賊の娘』も店頭で大キャンペーン中。今本屋さんは村上オシというわけですね。いずれどちらも読むはずですが今朝はパス。なんか今買うのはミーハーな感じで、自意識過剰ですけど■そういえば、学生時代、村上海賊の娘と友だちでした。正確には、村上海賊の幹部(?)の末裔のお嬢さんで、京都の大学に進んだ女性。「狂言研究会」という実にマイナーな部活の大学間交流で知り合いになったのです。実家は瀬戸内海の小島。温暖な気候と穏やかな海が育んだのでしょうか、やさしく朗らかな人でした。祇園祭の宵山の人混みの中を一緒に歩いたこともありましたっけ。あれってデートだったのかなあ(遠い目)■さて、海外での評価も高い村上春樹さんは、毎年秋になると「今年こそノーベル文学賞を受賞するのでは?」と話題になりますが、もう一人、日本人の名前を持つ有力なノーベル賞候補作家がいます。カズオ・イシグロさん。生まれは九州・長崎ですが幼い頃にイギリスに移住され、現在の国籍はイギリス。作品も英語で書かれていますから、もし受賞されても『日本人作家がノーベル賞!』とはならないわけですが、でも大きな話題になることでしょう■そのイシグロさんの代表作のひとつ『わたしを離さないで』(2005年発表)が、実はこの春蜷川幸雄さんの演出で舞台化され、まもなく初日を迎えます。例によってその大阪公演をラジオでご紹介することになりまして、数日前から、原作小説を買って読み、倉持裕さん(ペンギンプルペイルパイルズ主宰)による上演台本も読ませていただき、2010年に製作された映画版のDVDも鑑賞しました ■で、その結論。『イシグロはん!あんたいったいなんちゅーハナシ書きはりまんねん!?』。・・・もう言葉に尽くしがたいほど、切なく、生々しく、重く、美しい■・・・ある特別な状況に置かれた3人の若い男女の成長を綴ったお話なのですが、文字を追うだけでこれだけこみ上げてくる物語を、目の前で生身の俳優に演じられたら一体どんな気持ちになるんだろうと思います。しかも舞台設定は日本に置き換えられ、原作の主要登場人物であるキャシー、トミー、ルースの3人は、八尋、もとむ、鈴という名前になっています。演じるのはそれぞれ、多部未華子さん、三浦涼介さん、木村文乃さん(初舞台!)という、超美形、かつ人気・実力を兼ね備えた気鋭の若手俳優たち。同じ日本人ということで更にリアルに、その上そこに蜷川マジックが加わるのですから、もうあなた!関係者にうかがったのですが、稽古場を取材に訪れた記者さんやライターさんたちは一様に、興奮を露わにしつつ帰っていくのだそうです■『わたしを離さないで』、彩の国さいたま芸術劇場では4/29-5/15、愛知県芸術劇場が5/23,24。そして大阪、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで5月30日(木)から6月3日(火)までの上演です。お見逃しなく!(艦長)
- 個別ページ
- |
- 2014年04月19日土曜日