■2010年早春の『曲がれ!スプーン』以来、4年半ぶりにヨーロッパ企画がABCホールに登場!本日大阪公演の初日です。昨日4トントラック2台分という大量の資材が搬入され、巨大なセットの組み立て作業が行われました。すでに、滋賀~京都~東京と巡演してきていることもあり、順調に仕込みも完了した様子。ツアー全体としては今日が折り返し点だそうです■タイトルは『ビルのゲーツ』。ヨーロッパ企画の作品タイトルは毎回なにかのもじりになっているのが原則。「冬のユリゲラー」が「冬のリヴィエラ」(森進一さんの往年のヒット曲)だなんてかなり難しいのですが、今回は分かりやすい。マイクロソフト社の総帥にして世界屈指のお金持ちですからね。そしてお話も題名どおり、「ビルのゲートたち」についてなんです■今から十年余り前、「ビル・ゲイツの面接試験」という本が出版され、ちょっとした話題になりました。僕も興味を惹かれ、すぐさま入手しました。世界を代表する超優良企業であるマイクロソフト社は、社員の報酬もすごいらしく、当然ながら全米から優秀な若者が大挙入社を希望してやって来ます。その中からわずかの合格者を選別する方法は、筆記ではなく、面接による口頭試問。そこで出される問題が実に独特で、その過去問題が紹介された本なのです■たとえば、「マンホールの蓋が円いのはなぜか?」、「鏡が上下は反転させず左右を反転させるのはなぜか」。つまり、知識を問うのではなく、発想や論理的な思考法を問う問題です。僕がとても印象に残っているのは、「アメリカ全土にガソリンスタンドは何軒あるか」、という問題。そんなこと誰も知っているわけがない。きく側も、正確な数を要求してるわけではない。けれど、アメリカの地理的特徴、人口、そこから類推されるクルマの台数、1軒のスタンドが経営を成り立たせるために必要なクルマの台数・顧客数、などを考えれば、自ずとそう遠くない数字は導き出せる。君はその作業ができる人物であるか?この問題は、そこを問うているのです■で、このヨーロッパ企画第33回公演『ビルのゲーツ』は、この書物が発想のヒントになっています。お話は・・・■超高層ビルの1階にやってきたサラリーマンの5人組。彼らは、このビルの上層階にオフィスを構える企業に商談に来たらしい。エレベーターは使えず、1階ずつ歩いて上らなければなりません。しかも1階上るごとに、最近のビルによくあるカード式のゲートが彼らを待ち構えています。巨大なゲート。しかもなぜかこのゲート、ただカードをかざすだけでなく、必ずある課題を解決した上でかざさないと開かないようにプログラムされているのです。その課題というのが、「ビル・ゲイツの面接試験」的なパズルだったり、クイズだったり、まるで彼らの知力を試しているかのよう。階がすすむごとに課題は難しくなり、過激にエスカレートして、やがて・・・!というユニークな展開です■ヨーロッパ企画の全作品の作・演出を担当し劇団の代表でもある上田誠さんは、以前から、こういうゲームとかパズルをモチーフにした作品が大の得意。「演劇」という言葉からイメージされる哲学的苦悩みたいなものから全く無縁の地平で、いつも軽やかに作品を作ります。それが、この劇団の俳優陣の、各々が個性的でありながら極めて現代的で自然な演技と、相性よく馴染んでいる気がするのです ■たったひとつの舞台空間を超高層ビルの何十階分もの異なった空間に見せるアイデア、舞台上で登場人物たちにパズルを解かせるという斬新な作劇。・・・ヨーロッパ企画の作品は、いつも演劇という枠には収まりきらない魅力に満ちています(艦長)
9月 10日(水) 19:00
11日(木) 14:00 19:00
12日(金) 19:00
13日(土) 13:00 18:00☆
14日(日) 13:00
15日(祝) 13:00 18:00☆
16日(火) 19:00
※9/10(水)19:00、11(木)14:00 は完売(当日券は若干枚)
☆・・・おまけトークショーあり
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- 2014年09月10日水曜日