Patch stage vol.8 『浮世戯言歌劇 磯部磯兵衛物語~浮世はつらいよ~高尾山地獄修業編』(原作・仲間りょう、脚本/演出・末満健一)、あさって初日です■というわけで、今朝なんと7時に劇場入り。本日いっぱいで何とか美術・音響・照明の準備を終え、明日は例によってドトーの場当たりが行われるはず。演出家の厳しい指示の声が、深夜までABCホールに響き続けることでしょう■さて、これまで既に7回を数える本公演で、劇団Patchは基本的にずっとオリジナル作品を上演してきました。唯一『破壊ランナー』は90年代に一世を風靡した人気劇団・惑星ピスタチオの作品ですが、これも元はと云えば、末満健一さんの師匠筋に当たるピスタチオの主宰者・西田シャトナー氏の創作。今回は初の原作モノです。しかも名にし負う人気少年誌『週刊少年ジャンプ』に現在連載中!という、超一流の物件です■現代日本の商業的映像作品の世界において・・・(なんか大仰な表現になってしまいましたが)・・・テレビドラマにせよ劇場映画にせよ、マンガ原作の作品が相当な比率を占めることはご存じの通りです。加えて近年、舞台においても、マンガやアニメーション、あるいはゲームを、演劇作品に仕立てる試みが大流行です。嚆矢はやはり『テニスの王子様』でしょうか。これが大ヒットしシリーズ化されたことにより、次々と後続作品が生まれました。誰が付けたのかその名も『2.5次元』。≪3次元=立体=演劇≫と、≪2次元=平面=マンガ・アニメ≫の融合というわけです。実は、不勉強なことに僕はこの言葉の存在をわりと最近になって知りました。『DEATH NOTE The Musical』を観る前にその資料に当たっていた時だから、ちょうど去年の今頃。一般社団法人日本2.5次元ミュージカル協会という業界団体が設立されたのがその1年前の2014年3月なので、遅れてるなー。ま、それはどうでもいいか■もともと観劇人口が圧倒的に女性上位であるからでもあるのでしょうが、2.5次元も女性向けの作品が多く、コミックのページから飛び出してきたようなまさに『絵に描いたような』イケメンキャラクターたちが、舞台上で大活躍する作品が主流です。ハンドルだけを握り締め必死に足で舞台を蹴ることで自転車レースのデッドヒートを表現したり、チアリーディングのような集団演技でバレーボールのアタッカーの驚異的なハイジャンプを実現したり・・・。マンガやアニメの自由なアクションを、『アイデアと身体能力で頑張って体現する!』・・・言い方を変えれば、『生身の人間の不自由さをカッコよさに変換する!』、のが、2.5次元の魅力なのかもしれません。つまるところ、必死にキャラになりきろうとするイケメンの汗の美しさだ!・・・なんて云ってしまうのは、やっかみが過ぎるでしょうか。過ぎますね、やはり■それはさておき、問題は『磯部磯兵衛物語』が、それらの作品とは趣を異にするバカバカしいギャグマンガだということです。女性のハダカが見たい、女の子にもてたい、勉強したくない、でもいい成績はとりたい・・・主人公の磯兵衛くんは、欲望全開の若者です。。時代を江戸に移しているせいでお下品さは緩和されてはいるものの、青春の汗と涙の感動ストーリーとは対極にある、まあオバカなマンガなのです。『汗かいて必死に演じる』類の作品ではない。とにかくお客様を笑わせなければならない。劇団Patchとしても、今回本格コメディへの初めての挑戦だったわけで、歌や踊りもふんだんにありますから、前作の『幽悲伝』終了直後から、稽古期間は相当長期に及んでいます。漏れ聞くところによれば、かなり過酷な稽古場だったそうですが、そこで得たものを、思い切り爆発させてほしいと思います。なんつったって、磯兵衛は江戸の町の等身大の若者、Patchメンバーも、時代こそ違え、同じような欲望に満ち満ちたの若者たちなんですから■劇団Patch『磯部磯兵衛物語』、水曜から翌週月曜までなんと11ステージ。売り切れ回もあり、売り切れ間近の回も出てきているようです。チケットまだの方はお早めに!(艦長)
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- 2016年04月18日月曜日