■ビーフケーキ近藤企画『L岡診療所』、今日初日です■ビーフケーキはよしもと所属のお笑いコンビ。NSC27期卒業生で、コントを専門にやっています。関西にはかなりの数の若手お笑い賞レースがありますが、ビーフケーキは「いつでもいいとこまで行くんだけど、一等賞に届かない」存在です。今までに2回、ABCホールで単独ライブを開催したことがあり、僕もその時に初めて作品を拝見したのですが、いっぺんに好きになりました。もちろんコントですからお笑いなんですが、舞台に一種の陰影、哀愁、のようなものが漂っている。関西では定番の「なんでやねん!」みたいな声を張り上げる突っ込みもなく、二人の奇妙な関係、行為がかなり演劇的に淡々と提示される・・・。すごく僕好みなのですが、正直、今のテレビのネタ番組では彼らの魅力は伝えきるのが難しいのかな、とも思います■20年ほど前でしょうか、ある落語の大師匠が、20代の千原兄弟に向かって、「あんたら面白い。面白いけど、ハリウッド映画やのうてフランス映画の面白さやねんな」とおっしゃるのを聞きました。「シングルよりアルバムが売れるタイプのミュージシャン」とも評された記憶があります。当時の千原兄弟は、センスと実力は多くの人が認めるものの、テレビの枠の中にはなかなか収まらない存在でした。僕はビーフケーキが何となく、芸風やコント師としての立ち位置において、彼らに近しいものがあると思うのです。キャラは全く違いますけど・・・■さてそんなビーフケーキでネタ作りと主にボケ役を担っている近藤貴嗣くんは、最近自らのプロデュース・作・演出で演劇公演を頻繁に行っていて、今回初めて当ホールで公演を行う運びとなりました。実は僕、前から行かねば行かねばと思いつつこの近藤芝居を拝見したことがないのですが、どうやらただの演劇ではなく大変な仕掛けがあるらしい■まず何人かの若手芸人たちが、近藤君が書いた台本をもとに稽古を重ね、一本の芝居を作ります。そして劇場に入り、いよいよ本番!・・・の約1時間前に、4人の先輩芸人が劇場にやって来るのです。「○時にABCホール入り」というだけでなにも聞かされていない彼らは、突然舞台衣裳を着せられます。依然として説明も挨拶も一切ありません。そして本番が始まってしばし後に、何も分からないまま舞台上に押し出され、お芝居に参加させられるのです。≪これ、いったいどんなハナシやねん!?≫・・・五里霧中の状態から手探りで芝居の流れを読み、展開を壊さないように、しかも芸人の本能として笑いもとりつつ、劇に参加する先輩芸人・・・。なんとも面白いことを考えたものです。近藤君曰く、このスタイルにおけるお客様の醍醐味は、「お化け屋敷に入って来た人がワーキャー怖がる様子を上から眺めて楽しむ」ようなものだそうです。なるほど■ビーフケーキ近藤企画『L岡診療所』、」今夜から5回、毎回4人の豪華なイケニエを迎えての上演です(艦長)
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- 2016年05月20日金曜日