■スクエア『芸人コンティニュー』明後日から。今朝小屋入りされ、仕込み真っ最中です■その昔、といっても昭和の中頃まで、大阪・天王寺の界隈に、「てんのじ村」と呼ばれた一角がありました。村といってもいわゆる長屋の密集地で、別名「芸人横丁」とも呼ばれたほど寄席芸人さんたちが集まって住み、最盛期には300人ほども暮らしていたそうです。誰かが一声掛ければ、漫才、落語、色物からお囃子さんまでがすぐに揃って一座が結成でき、地方巡業などにも大変便利だったとか。しかしテレビの発達と共に芸人さんたちの生活スタイルも変化し、かつての村は今、高速道路の高架脇に記念碑を残すのみとなっています。1971年、NHKテレビ「新日本紀行」でここが特集されたのですが、横丁から巣立った人気漫才師・平和ラッパさん(二代目)が、昔馴染みの理容店であの独特の髪型(とっ云っても分かるのはオーバー50の人のみか)を調えてもらっている映像が、不思議と僕の脳裏にくっきりと残っているのです■さて、今回のスクエアの作品『芸人コンティニュー』は、そんな芸人横丁を彷彿させる町に今も暮らしている、お笑い芸人たちの物語。テレビの世界で早朝から深夜まで爆笑を取り続ける人気芸人は、割合でいえばほんの一握り。大多数の芸人さんたちは、彼らの活躍を横目で見ながら、ネタを作り、ケンカをし、酒を飲み、明日こそ売れてやる...と切磋琢磨、切歯扼腕の日々を送っています。下町の安居酒屋に日々集う、そんな男や女の悲喜こもごもを、スクエアが笑いとペーソスたっぷりに描きます■ABCホールの舞台上には現在、ホール開館以来最高のタッパ(高さ)に到達するであろう巨大な電車の高架が出現。その下に、情緒あふれる居酒屋、商店街のアーケード等が姿を現しつつあります■今回の舞台美術デザイナーは柴田隆弘さん。日本で舞台美術に対して与えられる唯一の賞である「伊藤熹朔賞」の本賞をつい先頃受賞されたばかりの、関西を代表する舞台美術家です。はっき申し上げて、この舞台セットだけでも観に来る値打ちアリ、です。もちろんお芝居の方も、今回の設定はばっちりスクエアの得意ジャンルですし、まず間違いないはず。実に楽しみです!
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- 2016年09月07日水曜日