庭の手入れがあまり行き届いていない様子の家は、60年前に建てられた古い平屋の木造住宅。昔、米軍基地があったころに建てられたアメリカンハウスは、老朽化が進んで数が減り、今は3軒しか残っていません。
玄関扉を開けるとすぐにリビングがあるのが、アメリカンハウスの定番。靴のままで生活する欧米の家では、玄関扉はほとんどが内開き。中で靴を脱ぐ場所はありません。
窓枠は腐食が進んでもうガタガタ、大きな隙間ができてしまうため今にもはずれそうな状態。隙間風で冬場は寒く、孫を泊まらせることもできません。
浴室は床のタイルが砕けてしまい、地面が露わになっていました。土間のコンクリートが無いという、通常は考えられない作りでした。
予算があまりないという清人さんには内緒で、相方の佐田さんが地元の友人を集めてくれました。職人になった友人たちはとても頼もしく、皆でお父さんと清人さんのために力を貸してくれます。
相方の佐田さんと匠、そして、駆け付けてくれた地元の仲間たちのおかげで、あっというまにお風呂の解体は終わりました。危険な風呂場は知らない間に、床下の砂がお風呂と洗濯機の排水で流され、地盤が沈下。床のタイルの下は空洞になり、地面がえぐられていました。
バッドボーイズの2人が仕事で東京に向かったあと現場にまたもや、新たな助っ人が到着。水道設備の会社を営む友人が現場で余ったパイプを持って来て風呂場の地面を掘って配管してくれました。これで水がちゃんと流れるようになり、安心です。
そしてなんと、壁に穴を開けるという「匠」、再び手伝いに来てくれた友人が自前のサンダーでモルタル塗りの硬い壁を四角く切断。風呂場の反対側からも部屋の壁を切り抜くと、隣り合わせにあった空間がひとつに繋がりました。ここが浴室の新たな出入口。
続いては、セメントと砂を混ぜてコンクリート作り。力自慢の友人が重たいコンクリートを運びます。重い一輪車を押して何度も往復、大車輪の活躍を見せてくれました。こうして、風呂場の床に頑丈な鉄筋コンクリートの基礎が完成。
「匠」が取り寄せた新たな資材が到着、1枚が28キロもある「木毛セメント板」。大小に四角く切り分け、板を箱状に組み合わせて固定。なんと、作っていたのは、お風呂の浴槽!モルタルを塗り固めてしっかりとした浴槽を作り上げていきます。
天井を解体していくと、そこにも驚きの光景が。断熱材などは入っておらず、屋根の下地の隙間から差し込む光、これが雨漏りの原因でした。
雨漏りの原因を探るために、屋根の上へ。すると、雨終いができておらず隙間がある箇所が沢山ありました。こういうところから雨が入って、天井裏へ伝って行っている可能性が高いようです。
ここから防水のプロの友人に手伝ってもらい、隙間にコーキングを施していきます。20年のキャリアは伊達ではありません!バッドボーイズの2人も手ほどきを受けて、屋根の防水処理を手伝い、軒瓦の隙間をすべて塞ぎました。
大きな穴が開いていた風呂場の天井は取り払い、露わになった屋根の勾配に合わせて発泡スチロールの断熱材を張り風呂場の上の小屋裏を隙間なく覆いました。これで寒さも大丈夫。
発泡スチロールの壁に直接、LEDの電球を取り付けて、半透明の波板で天井を覆います。すると波板から光が透き通る素敵な天井が出来上がりました。お風呂用の照明を使っていないので、コストも低く抑えられています。
せっかくこんなに仲間がたくさんいるのだから外壁もみんなに協力してもらい、この機会に塗り直してしまおうと考えた「匠」。一斉に準備に取り掛かる一同、今はそれぞれの道を歩んでいますが共に青春時代を過ごした仲間たち。大人になっても息はピッタリです。
腐って建て付けの悪い木の窓枠も、大工の友人が補修してくれます。清人さんを助けようと、熟練の腕を振るい、1時間足らずで全部の窓を修理しました。
外壁の塗装を終えた、その日の夜。そのまま残れる仲間がいると聞いて家の中の壁も塗ることにした「匠」。長年の間にすっかり黄ばんでしまった壁を、みんなで真っ白に塗り直していた、そのさなか、思わぬ来客が…。
バッドボーイズの先輩でもある、博多華丸・大吉のお二人が応援に駆け付けてくれました!なんとリビングの壁を塗るのを手伝ってもらい、風呂場、外壁に続いて家の中も大先輩に手伝ってもらってきれいになりました。
予定外の庭のリフォームに取り組む「匠」。重機を扱える友人に手伝ってもらい、荒れ放題の庭をあっという間に整地を終えると砂利を撒いて重機で平らにならします。
以前は小さな「上げ下げ窓」が取り付けられていた寝室の西側の壁。そこを解体し大きな開口を設けました。そこへ後輩が他の現場で使われずに余ったサッシを運んで無料で取り付けてくれたのです。
掃き出しの窓から真っすぐに伸びるウッドデッキも仲間たちで作ったもの。足場屋を営む友人が持って来てくれた中古の足場板を、大工の友人が切り揃えて土台に固定しました。
さらに、庭に放置され雑草に埋もれていたボートを再利用。ウッドデッキの脇に運び、船底に玉砂利を敷き詰め、余った足場板を取り付けて出来上がったのは庭で座って寛げるデッキテーブルでした。
60年前に建てられたアメリカンハウス。その年季の入った外観が…、清人さんが高校時代いっしょにヤンチャした仲間たちのおかげで屋根から外壁、塀、建具まですべて若々しく蘇りました。
ブロックとレンガをデコボコに置いただけでつまずきそうだった玄関ポーチは…、これまでの古いレンガに1個100円のレンガを加えて隙間なく平らに敷き直しました。玄関脇には雨ざらしになっていた、お父さんが通勤用に使う自転車置き場を確保しました。
アメリカンハウスならではの、扉が内開きの玄関。靴は外で脱いでいましたが…、家の中で靴が脱げるよう、床板を一部取って玄関ポーチと同じレンガ敷に。日本の生活に合わせ、扉を外開きに付け直しました。
元々は、米軍の兵士が土足で生活していた家。お父さんが板の間にあぐらをかいて過ごしていたリビングは…、黄ばんだ壁を白く塗り直し、床板は表面を削って塗装。しみだらけだった天井はベニヤを張って真っ白に塗りました。
木枠が腐って、ちゃんと閉まらず冬は、大きな隙間から雪が吹き込んでいた窓。それを、大工の友人が補修してくれました。これでもう、冬の冷たい隙間風に凍える心配はありません。窓の内側にはポリカーボネート板を付けて二重窓にしたことで空気の層による断熱効果も生まれました。
壁の背もたれに背中を預けて楽に座れる座椅子は「匠」特製。60センチ角で厚さ15センチ。4つ並べて置けば、お昼寝するのにもピッタリのサイズ。壁の背もたれは簡単に取り外すことができそれを床に広げるといろんな柄が繋がった大きなゴザに。
いかにも男の独り暮らしを思わせる雑然とした台所は…、使えるものはすべて残し、きれいに掃除して整理するだけで、こんなにも見違えるようになりました。清人さんと佐田さんがリメイクしたバッドボーイズの合作です。
お嫁さんや孫に気を遣い家に呼べなかった最大の原因だった風呂場。脱衣所もなく、扉を開けるとリビングから丸見えでしたがその扉は塞いで壁に。壁の高い位置に付けた窓ガラスに映るのは、清人さんが海辺の夕陽を思い浮かべて描いた絵。風呂場の明かりで夕陽が鮮やかに燃えていたら使用中の合図。
風呂場の隣の、特に使い道もなく物置になっていた部屋は、風呂場側の壁を抜き…タオルや下着などをたくさん仕舞える収納を作り付けて使い易い脱衣所に。
天井から雨水が滴り、足元のタイルが粉々に砕けて危険だった、目を覆うばかりの風呂場は…、床や手作りの浴槽が、格安で仕入れた有田焼のタイルで覆われ、念願の、孫といっしょに入れるお風呂へと大変身。シャワーのお湯でトイレや洗面台の足元が濡れないよう、間仕切りも用意。
日当たりのいいお父さんの寝室。庭に面した小さな窓を広げて大きな掃き出し窓に交換。そこから直接庭へ出られるようになりました。
古い足場板を組んで作ったデッキの桟橋には、廃品となったボートを再利用したデッキテーブルを係留。夏には、水を張ってプールにも変身するボート。孫たちの喜ぶ遊び場が出来ました。