2009年11月8日放送
玄関に冷蔵庫がある家
■お父さんが営んでいた骨董品店の在庫が、店を閉めた今でも残されたままで、かつての店舗部分が物置状態に
■店舗の奥にある台所は、息子夫婦が訪ねて来て、4人で食卓を囲むと身動き出来なくなるほど狭い
■内玄関にあたる台所の入口の上がり框が、冷蔵庫の置き場所となり、人の出入りを邪魔している
■窮屈な台所に面して、脱衣所の無いお風呂とトイレがあり、家族とはいえ、互いに気を遣う
■長さが足らず一段目に箱で底上げした階段は、急な上、細い釘で固定されただけの簡素な造り
■階段の天井は薄い塩ビの波板1枚が屋根代わりで、その隙間から寒風が吹き込む
住風景の俳人
木内一徳
築70年以上経っているので、まずは痛んだ構造体に手を入れないといけない。また、生活空間を広げたい一方で、亡くなられたお父さんがやっていた骨董品店を再開したいという希望もあるので、住空間と店舗のバランスを考えながら、依頼者夫婦の願いを実現させたい。
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赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます
甦った骨董品店
依頼者夫婦が亡き先代の想いを継いで新たに開く骨董品店。倉庫のようになっていた状態から一新、美しい和モダンのお店に仕上がりました。
店内の両サイドでは、間口を確保しながら耐震性を高める為に設けた耐力壁の間を活用した陳列棚に飾られた品々がお客様をお出迎え。
中央には、LEDライトで商品を下から照らす「匠」オリジナルのカウンターテーブルが。そこに並ぶ椅子のきらびやかな座面は、奥さんのいらなくなった着物の帯を再利用して作られたもの。
在庫品の山に埋もれていた竹の花挿しを、店のいくつかの照明やスイッチカバーに再利用して柔らかな雰囲気を作り出すのも「匠」ならでは。
更にかつての家にあった板戸を使って、お客様用のトイレの引き戸を作り出しました。この存在感たっぷりの扉の内側にある真新しいトイレの手洗い場は、信楽焼の手水鉢が置かれています。
住居と店舗の共存
お店からフローリングでつながる新たな住まい。
境界線を設けながらも、その雰囲気の維持した繋がりと利便性を追求した間取りになりました。
通路がつなぐお店と住まいのちょうど間に位置する場所には、骨董品のメンテナンスに重宝する洗い場と作業台が備え付けられました。
2つある通路のもう一方には、住まいへと続く内玄関が。そこには店舗の雰囲気を継承した、木の文様が美しい大容量の靴箱が天井へと伸びています。
その先にある2階へと続く階段には隠し扉が設けられ、それを閉じれば店から続くリビングダイニングの冷暖房費の節約に効果的です。
和モダンに日射しの温もりを
傾斜を緩やかにし、天井の開口部からの光が降り注ぐ階段。その光は、2階のウッドデッキに設置されたプランターの植え込みが作り出す木漏れ日で、住風景の俳人が彩った優しい光となって、1階にあるリビングまで温かく包みこみます。
物干しにも最適な日当たりの良いそのウッドデッキは、琉球畳と茶色に塗装した天井や壁が風情を感じさせる和室の大きな窓から臨むことができます。
2階のもう一つの部屋、寝室。この部屋のクローゼットには、収納式のドレッサーが。「匠」からお母さんへの温もりがこもった心優しい贈り物です。
大阪府岸和田市
d+bアーキテクチャー
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