2009年11月1日放送
アキレス腱を切る家
■傾斜地に建つ二軒の家を無理矢理リフォームで繋いであるため、合わせて110cm以上の段差が家の中にある
■部屋間を移動するのにも段差があり、依頼者の奥さんはアキレス腱を切ったこともある
■2階には、もっとも大きい高低差70cmの絶壁のような段差がある
■車庫替わりに使っている最も低い部分にある狭い土間は、軽自動車が入るぎりぎりの広さで、駐車が至難のワザ
■家の中でもっとも明るい南側の部屋が、通行量の多い道路に面しているため、騒音と埃でほとんど使用していない
空間方程式の芸術家
滝澤俊之
自分自身も見たことがないくらい段差が散りばめられた家なので、まず分散された段差を解消することを第一に。そして、仲の良い家族なので、広い家の中でどこに居ても互いの気配が感じられるようなプランにしたい。
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赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます
故郷に想いを馳せて
新しく出来た玄関へのアプローチの階段には、奥さんがマレーシアで購入してきた「マジョリカタイル」を埋め込みました。
そしてシンクの下に収納してある、料理の途中で一休みできる椅子を飾るのは、日本では見慣れない花柄の布。これは奥さんの母国マレーシアの伝統的なもので、「バティック」と言う ろうけつ染めした布。こちらも奥さんが帰国した際に買ってきたものを「匠」が利用しました。
カウンターの椅子の座面にも「バティック」の布があしらわれました。子ども達がこの「バティック」を見る度に、お母さんが育った国の事、そして育ててくれた両親の事を思い、その話に華が咲くでしょう。
遠く離れていても、いつも故郷の事を感じていてほしい。そんな思いから「匠」はあちこちに母国の香りを感じるものを散りばめたのでした。
空間方程式の芸術家
無駄の無い空間利用で定評のある「匠」。なんと階段の下に納戸を作ってしまいました。もちろん収納力はバッチリ。勝手口の扉もあって便利です。
1階の奥にある掘りごたつにも驚きの仕掛けが。横の畳の下に隠されたテーブルをつなぐと、掘りごたつが半畳分延長されます。これで、顔の広いご主人の友達が集まっても大丈夫です。
この掘りごたつは、すべて床下に収納でき、間仕切りを閉めれば客間としての利用も可能です。
そして、驚きの仕掛けがもう一つ。それは、心地よい坪庭を眺められる縁側の床に仕掛けられていました。床にあるスイッチを入れると、一瞬にしてその床から机が出現!自分だけの書斎が生まれました。
「匠」の空間方程式は2階でも発揮。子ども達の部屋の入り口にある収納棚。実はこれが梯子の役割もしています。この梯子を上ると、部屋の上に作られたロフトスペースへ。その大容量の空間は子ども達の秘密基地としても活躍するでしょう。
遊び心溢れる浴室
依頼主のご主人は、銭湯が大好き。廃業した銭湯から大きな体重計をもらってくるほど。これを受けて「匠」は、脱衣所と浴室を銭湯風にアレンジしました。
「ゆ(湯)」ののれんをくぐると、そこは昭和の香りが漂う脱衣所。壁に、風呂上がりに涼めるベンチと共に作り付けで用意されたのは、お風呂屋さんでお馴染みの札付きのロッカー。
その横には、銭湯には欠かせない牛乳が納められたミニ冷蔵庫が!
扇風機が回る天井を眺めながら浴室に入ると、浴槽の横にはタイル貼りの富士山が!!実はこれ、子ども達が作ったもの。
こうして「匠」の遊び心と子ども達の頑張りによって、世界でたった一つの浴室ができたのでした。
東京都羽村市
株式会社 タータンズリビングファクトリー
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