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2010年1月17日放送

階段を上がると換気扇が止まる家

この物件が抱える問題

  • ■江戸時代に建築された築150年の家で、老朽化が激しい
  • ■屋根がトタンの継ぎ接ぎで、雨漏りが止まらない
  • ■寒さ凌ぎに、壁や天井をご主人が修復したが、隙間だらけで効果は無く、見た目も悪い
  • ■廃材のサッシを縁側に取り付けたものの、隙間風が吹き込み、さらに、鍵がついていないため防犯上の問題も
  • ■2階の寝室に続く階段は、まるでハシゴのように急勾配で危険。踏み板の高さもバラバラで最大13cmの差が
  • ■階段からの埃がキッチンに落ちない様にと貼った板が、階段を誰かが通る度に、真下の換気扇に当たり止めてしまう
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この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

写真:「匠」の顔写真

安住空間の探求者 本間貴史

古い建物なので、歴史はすごく感じる。ただ、家の中には危険が一杯なので、今まで守ってこられたこの家の歴史を継承しながら、いかに安全な住空間を作っていけるかが、テーマ。

全ての問題を解決したそのビフォーアフターをご覧ください!!

赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます

家族の幸せを願った「匠」からのアイデア

伝統手法で家を動かす!
江戸時代に建てられ築150年の家ですが、柱や梁はしっかりしていて「匠」も少し安心した様子。しかし、床下の基礎はとてもこれから家を支えていけるものではありませんでした。

基礎を作りなおすための重機を入れることが出来ないので、手作業だとコストと工期がかなりかかってしまいます。

そこで「匠」は明治の頃からある「曳家(ひきや)」という手法で家そのものを動かすことにしました。家の骨組みをジャッキで持ち上げ、その下にやぐらを組んで5本のレールを敷き、コロを挟み込んで抵抗無く動くようにし、ショベルカーで家を引っ張っるというのです。

作業は無事成功!たった30分ほどで、家の位置は6メートル北に移動しました。これで重機を使った基礎工事が可能になりました。
画像: 匠のアイデア
寒冷地ならではの設備
基礎工事の際に、長さ5メートルのアルミパイプが地面に垂直に埋め込まれました。そこにメッシュパイプをつなげると、周囲を綺麗に洗った石で埋め、鉄筋コンクリートで塞ぎました。

メッシュパイプの端には塩化ビニルのパイプをつなぎ、その先には保温ダクトが。ダクトには送風機も設置されました。

これは、最新の地中熱換気システム。地表から5メートルほどの地面の温度は常に一定で、ダクトを通じて室内の空気をそこに通すことで、夏涼しく冬暖かい天然の空調が出来上がるのです。

他にも、寒冷地ならではの設備が「匠」によって取り付けられました。冬でも温度が15℃前後ある井戸水を利用して、雪を溶かす装置を駐車場に設置。

和室の掘り座卓の足下にはヒーターを。

庭に面するガラスサッシは、厚さ2cmもある断熱効果の高いペアガラスをと、隙間風に震えていた家族にとって嬉しい温もりばかりです。
画像: 匠のアイデア
仏間を蘇らせる
ご先祖様がまつられた仏間は、形を変えることなく、江戸時代に建てられた頃のような姿が蘇りました。

柱や梁はきれいに磨いて、溜まった垢を落とし、欄間(らんま)や障子など、残せるものはそのまま補修して再利用。

奥行きの深かった床の間は、そのスペースを利用して、押し入れに眠ってずっと日の目を見なかった、古民具などを飾るギャラリーに。「匠」が引越しの時に見とれていた古いミシンも、誇らしげにライトアップされています。

もちろん、ロールスクリーンを下ろせば、通常の床の間として、掛け軸を掛けたり、花を飾ったりして、鑑賞することもできます。

江戸時代から続くこの家の歴史を未来へ繋ぐため、おじいちゃんが大切にしていた仏間を、「匠」は、かつての面影そのままに再生したのです。
画像: 匠のアイデア
新しくなった託児所
奥さんが再開を願っていた託児所スペースが「匠」の手によって生まれました。そして今回は「匠」だけでなく…

床に置かれた積み木のおもちゃ。実はこれ、「匠」から建築を学ぶ学生たちが作ったもの。材料は、家の周囲から伐採した『居久根(いぐね)』。居久根とは、家を建て替える時に建材として使えるように植えられた木々で、この家ではヒバの木が使われました。

庭の砂場作りにも生徒たちが協力しています。抗菌・消臭効果のあるホタテの貝殻を材料にした砂を混ぜ合わせました。砂場を囲むようにして置かれている座れる丸太は、枯れていた庭のケヤキを切ったものです。

この部屋、天井にも秘密が。天井にはフックが取り付けられていて、その位置が自在に動かせるようにレールが格子状に組まれています。「匠」はこのフックにリングを付け、ネットを吊り下げました。ネットが部屋の一角を囲うと、中に色とりどりの風船を入れ、扇風機で舞い上げると…なんと、子どもが中に入って遊べるボールプールが出来上がりました!
このリングの用途は色々。蚊帳を吊るしたり、飾りをつけたり。アイデア次第で広がります。
画像: 匠のアイデア
更に生活を快適にしてくれる2階
新たな間取りとなった2階は、生活に彩りを添えてくれる空間になりました。

新しい夫婦の寝室から続く、ウォークインクローゼット。見た目は、まるで小さなブティックの様。
リフォーム前からあった、この土地の伝統工芸でもある「岩谷堂箪笥(いわやどうたんす)」は、上下に分けて棚に収め、実用的な引出しとして利用しました。

中央にある吊り戸棚の照明に照らされる収納台。その天板を開けば奥さんには嬉しいドレッサーに早変わり。

夫婦の寝室を出ると、そこは、ご主人の書斎と子ども達のプレイルーム。壁にはホワイトボードが貼られ、お絵かきをして遊ぶことができます。

可愛らしい家の形をかたどった壁にある小さな扉をくぐれば、屋根裏を改造して作った子ども部屋に。真ん中には太くて立派な梁があり、子ども達が大きくなったら、これを境に部屋を2つに分けることもできます。
画像: 匠のアイデア
今回お手伝いいただいた工務店の皆さん
写真:工務店の皆さん
岩手県奥州市 伸和ハウス
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