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2010年5月9日放送

母が押入に足を入れて寝る家

この物件が抱える問題

  • ■建坪8坪の店舗兼住宅。1階のほとんどを美容室店舗が占めており、住居スペースが非常に狭い
  • ■リフォーム後も規定により4坪以上の店舗スペースを確保しなければならない
  • ■美容室を経営するお母さんと、教師をしている娘さんの生活リズムが違うので、お互いに気を遣う毎日が続いている
  • ■台所の押入れに足を突っ込む形で、お母さんの寝床が作られている
  • ■収納庫として使っている屋根裏から荷物を出し入れするために、食器棚を階段代わりにしている
  • ■美容室のお客さんが使うトイレが住居部分にあり、その横にある風呂場は脱衣所が無いため、お客さんがいる間は入浴できない
  • ■1階の廊下の床板が腐っている。解体した本棚の板を敷いて凌いでいるが、サイズが合わず玄関まで板が飛び出している上、固定されておらず踏むと跳ね上がる
  • ■日のあたる乾きやすい場所に洗濯物を干そうと、不安定な台に乗って、ベランダの柵の外側に体を乗り出している。また、ベランダの金具の腐食が進んでいるため、ベランダごと落下する可能性がある
  • ■2階のトイレが階段を登りきった場所にあり、扉を開けた時に階段を上がってきた人と鉢合わせすると危険
  • 写真:サムネイル
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この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

写真:「匠」の顔写真

優しい住まいの主治医 高橋孝栄

お母さんの生活の工夫はプロ顔負けで参った。設計のハードルが高くなってプレッシャーを感じている。
普通のリフォームなら建物の何かを残そうという発想をするが、今回はお母さんが生活の中で培った工夫をどういう形で残すかがテーマ。

全ての問題を解決したそのビフォーアフターをご覧ください!!

赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます

家族の幸せを願った「匠」からのアイデア

見た目と機能性を両立した新店舗
かつて土間にビニールシートを張っただけの寒さが厳しかった美容室店内は、壁の断熱材と床暖房で温もり溢れる空間に生まれ変わりました。

依頼者のお母さんの故郷は、会津桐の名産地。その端材は比較的安く、調湿性も高いので、天井や正面のディスプレイに使用されました。

床下には切った髪の毛を掃き集めやすいゴミ箱を装備。腰を曲げずに脚だけで開け閉めでき、髪の毛が溜まったら中のゴミ袋ごと手軽に捨てることが出来ます。

南側の壁には、端から端まで大容量の吊り戸棚。

シャンプーコーナーの上には、美容室に欠かせないタオル類が大量に入る吊り戸棚。扉を開けずに、底の穴から次々と取り出せる優れもの。使用済みのタオルは、カウンターに空いた穴に放りこめば、穴の下に収納してあるワゴンに乗ったタオル入れに溜まるので、まとめて運べます。

待合席のスペースは、ベンチの下から畳を、吊り戸棚の下から「匠」特製の着物ハンガーを引き出して、建具で閉め切れば、あっというまに着付けスペースに早変わり。
画像: 匠のアイデア
人数に合わせて変化するテーブル
以前より広くなったダイニングキッチン。
システムキッチンの前には窓が広がり、その外には、お母さんが大好きな植物を楽しめるプランターを置ける台を備えました。

キッチンの収納力も格段にアップ。階段側の壁には、作り付けのテレビ台と収納棚が。

ダイニングの中央には、依頼者のお母さんの故郷ゆかりの会津桐で作られたテーブルが置かれました。テーブルの天板には、桐の花がプリントされた3枚のフタがあり、フタを開ければ調味料や箸などを入れておけるスペースが。そして、この桐のテーブルには、更なる「匠」のアイデアが隠されていました。

まず、テーブル下の床板を外し、それを床下に落とし入れます。次に、畳ベンチをその真上に移動。畳ベンチには、畳が5畳分入っており、それを取り出して、堀を囲むように敷いていきます。

その後、ダイニングテーブルの脚をすべて折りたたんで畳の無くなったベンチの上に重ねると…なんということでしょう!ダイニングテーブルが畳敷きの掘りごたつに変身!長男や長女家族が遊びに来ても、ゆったり食卓を囲めます。
画像: 匠のアイデア
限られた空間を活かす家具
寝室は、二段ベッドが間仕切りの役割を果たし、一部屋をお母さんと娘さんの部屋に分けています。

お母さんの部屋に置かれた机は、天板を開くと鏡が登場。ドレッサーとして使えます。その横には、解体の際にお母さんが思わず歩み寄り、いつまでも磨いていた、かつての店の看板を再利用して作ったスタンドが。姉妹2人でデザインを考えた、お母さんへの贈り物です。

二段ベッドは、それぞれの部屋から自分のスペースに入れるようになっています。娘さんが使う上段のスペースへの階段は取り外しができ、キャスターで軽々と移動させ、スライド式の板を伸ばすことで、今回新たに作られたロフトへのはしごとしても利用出来ます。

ベッド全体にもキャスターが付いていて、大人一人で簡単に移動できるので、すべてを片側の壁に寄せれば、広いスペースが確保できます。将来、娘さんが独立し、お母さんが独り暮らしすることになれば、広々としたワンルームの寝室として使えるのです。
画像: 匠のアイデア
今回お手伝いいただいた工務店の皆さん
写真:工務店の皆さん
東京都杉並区 有限会社 匠陽
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