依頼者である園長先生たっての希望で集まった「匠」とユージさん、そしてその仲間達。まずはリフォームの下準備に、おもちゃ道具などを一箇所に固めておきます。最初は怖がっていた子ども達も、すっかり慣れて運搬を手伝います。
日陰を作るために設置していた園庭の鉄パイプを全て取り除いた「匠」達。続いて、駐車場のフェンスの撤去作業にはいりました。フェンスが無くなると、園庭も随分広く見えます。
続いて「匠」は駐車場のアスファルトに等間隔に線を引くように指示。そして、格子状に引かれた線に沿って、コンクリートカッターで切り出していきます。バールを使って軽々と地面から剥がしたアスファルト140枚をトラックに積み込むと、そこには園庭とつながった広々とした空間が出来上がりました。
次に、園舎の玄関前にある、水溜まりがすぐに出来てしまう通路。そのレンガを剥がすと土があらわに。そこに「匠」が鍬で線を引き、その指示通りにユンボで溝を作っていきます。しかし、途中で掘り進めることができない層が。地山の粘土質の土でコチコチに固まっているのです。これが水はけの悪さの原因のひとつ。
続いて「匠」達がパイプを用意。このパイプには無数の穴が開いています。それを掘り進めた溝に置いていき全てをつなぎあわせました。総全長32mのパイプが園舎に沿って設置されました。
このパイプは透水管といって、土の中に溜まった逃げ場の無い水を誘導するもの。これを使って園庭の外側へと排水し、地面の乾燥を促進するのです。園庭に埋め込まれた透水管に塩ビパイプを接続。その水の出口は駐車場との間にある溝へと向けられました。
次にとりかかったのは、空き地になっていた裏の土地。水を吸い重さを増した腐った畳を皆で取り除き、雑草が生い茂った部分を掘り起こし、砕石とコンクリートで整地。ここに作るのは、新しい駐車場。使い勝手の悪かった以前の駐車場を無くし、こちらを利用することにしたのです。
「匠」が続いて用意したのは、元の駐車場から剥がしたアスファルトの板と、園舎の前の通路に使われていたレンガブロックの山。それを交互に組み合わせる形で新たな駐車場に並べていきます。そうして出来上がった5台分の駐車スペース。廃材を使ったとは思えない見事な仕上がり。植栽によるアクセントにも皆が感動です。
再び園庭に戻って、次の作業。今度は、ジャングルジムの移動。土に埋まった部分を掘り起こし、持ち上げることに。力が自慢のチームですが、さすがにこの重さには一苦労。
やっとの思いで移動させると、「匠」の指示でジャングルジムを2つに分解。果たして、この利用方法とは…?
分解した理由を告げぬまま「匠」は皆を連れてとある場所へ。そこにあった「匠」のお目当てとは、園長の知人からの提供で頂けることになった背丈8mのケヤキの木。これを保育園に移植するため、ユンボと人力で根元を掘り起こします。その間に「匠」は木の上に軽々と登って剪定作業。還暦を迎えた「匠」の行動力に、皆もビックリです。
掘り出されたケヤキの木は、かつて駐車場だったスペースへと運び込まれました。実は、このケヤキがやがて枝を広げて出来る木陰が「匠」の目的。
そして、あの分割したジャングルジムを、保育園のシンボルにもなるこの木を囲むように設置したのです。これでジャングルジムに登りながら、木のぼりも楽しめるようになりました。
続いて運ばれてきた防腐処理が施された大きな丸太。これをジャングルジムに沿わすように立てていきます。そしてジャングルジムの上部を塞ぐように木の板を張り巡らせると…ツリーハウスが完成!
子ども達に人気の無かった雲梯(うんてい)もそばに移動し、丸太を使った階段や平均台を通じてジャングルジムへと動線をつなげます。
次々とジャングルジムを拡張していく「匠」。丸太を組み合わせた梯子を作ります。もちろん留め具の余分なところはカットして柔らかい素材でカバー。丸太の角も面取りをして、危険が無いよう子ども達に配慮。
更に、ジャングルジムから横へ突き出すように3m以上ある丸太を設置。そこにぶら下げられたものは…そう、子ども達待望のブランコ!
さらに、トラックの荷台カバーやテントに使う頑丈なシートを台形に切り取り、縁取りを車のシートベルトとロープで補強したものを、「匠」とユージさんが現場に持ち帰ってきました。そしてジャングルジムに立てかける形で2本の丸太を設置。その間を渡すように先ほどのシートが取り付けられました。出来上がったのは、滑り心地が柔らかい「匠」特製滑り台!ユージさん達だけでなく「匠」まで試しに滑って大はしゃぎです。
「匠」がユージさん達と共に向かったのは、タイヤ専門の再生工場。そこには1日に約1万本の廃タイヤが集まってきます。大型トラックから降ろされる廃タイヤを見て驚くユージさん達。トラック1台でも驚きの量なのに、これが1日に20台分運ばれてくると聞いて、更に驚くことに。
集まった廃タイヤが次々に粉砕機で粉々になっていく様を見て、怖がるユージさん達。破砕されたタイヤがベルトコンベアで運ばれる先の集積場所で、そのタイヤの破片を見てみると…中の針金などが入ったままで非常に危険です。子ども達の触る物には使えそうにありませんが…
一方、保育園では作業の続き。園庭にある六角登り棒の周囲を囲うように、土をひょうたん型に盛ります。その一部は15cmほどの深さの窪みを作り、ビニールシートが敷かれました。そして全体をモルタルで覆っていきます。
ここで運ばれてきたのが、あの工場で見た廃タイヤの粉。しかし、工場で見た時より更に細かくなっていました。針金などの金属を含んでいるタイヤ片を更に細かく砕き、強力な磁石で金属を取り除いて、1mm〜3mmの極上のゴムチップとして再生されたのでした。
ゴムチップに特殊な接着剤を混ぜ、モルタルの丘に直接塗りつけていきます。そしてカラフルに着色して出来上がったのは、弾力性を持つゴムチップで覆われた、安全なプール。秋には落ち葉拾いの遊び場など、季節に合わせた使い方も。
更に、六角登り棒の支柱の一部を塩ビ管に交換。水道を引きこんで、シャワーとしての役割を持たせました。