今回は番組初の動物園リフォーム。東京ドーム6個分ほどの敷地におよそ200種以上の動物を飼育している「長崎バイオパーク」からの依頼。
園内に広がる広大な雑木林。すぐに、この動物園ならではの光景に出くわします。自然に放し飼いされた生態展示が特徴で、動物たちを至近距離で観察できます。
アミメキリンのニック。4歳のオスで、体長4メートル・体重1トンもあります。今回の依頼はニックが暮らす小屋のリフォームでした。
園内のメンテナンスに使う材料はバックヤードに集められています。大きな岩山を切り拓いて作られた「長崎バイオパーク」。そのため、辺りを掘ると岩盤が現れます。その岩を使えば材料費が掛からないとあって園内のそこかしこに岩の建造物が。
およそ40匹のリスザルが自然のままに暮らしている森。2年前までは枝葉が茂っていた2本の高いモチノキはリスザルたちが枝から枝へと飛び移り2本の木を行き来して遊んでいたのですが、枝が枯れ落ちた今ではそれが出来なくなっていました。
まずは2本のモチノキの間にリスザルたちが渡れる枝を架けてしっかり固定。
そして周りの木からもリスザルたちが渡って来られるように枝でつなぎます。
枯れて枝葉を失った2本のモチノキ。リスザルが登って遊ぶことが出来ませんでしたが…、モチノキに枝を渡し、周りの木ともつないで地面からも登りやすいように枝を取り付けました。こうして、リスザルの遊び場が復活!
岩山の前に造られている4頭のシバヤギのエリア。工事用の足場板をつないだ橋を作って石垣の上に渡れるようになっています。元々、岩山に暮らすシバヤギは高い所が大好き。
岩山の切り立つ崖の急斜面を縦横無尽に移動して草を食べて暮らしている野生のヤギ。優れた平衡感覚を備えているので垂直に近い絶壁でも足を踏み外すことが無く、高い所が得意。
「匠」は自然に近い環境を作りシバヤギたち、そしてお客さんの目も楽しませようと考えたのです。話がまとまると、早速、材料調達に取り掛かる「匠」。小型重機に乗り込むと、園の裏山を掘り起こし始めました。
トラック3台分の土を石垣の脇に盛ると…、掘り出した岩をクレーンで吊り上げ、石垣の脇、高さ1メートル程に土を盛った山の上へ。次々と土の山に大小の岩を積み重ね、自然な岩場を作っていきます。
岩場を作り終えると今度は、石垣に蓋をしていたボロボロに腐って穴が開きそうだった合板を解体。骨組みの角材もすべて取り払います。
きれいに積み上がっている石垣を解体するという金井。先ほど作った岩場に面した部分を80センチほど低く下げました。
続いて、ヤギが渡っていた足場板を解体。長さ3メートル半の幅30センチの板、5枚に分解します。
その板は、2メートル半の長さに切り揃えられ、解体した合板より1メートル低い位置にある10センチ程の出っ張りに引っ掛け、石垣に蓋をします。
今度は高さ10メートル以上のケヤキの枝を切り始めました。切り落とした長さ5メートル以上のケヤキの枝。これで一体、何をするのでしょうか?
バックヤードで切り落とした枝を運んできたユージさん。長い枝を運び込んだ先には…以前、足場板が架けられていた丸太に2本の長い枝を固定。
すると、その長い枝の上に短く切った堅いカシの枝を隙間なく並べていきしっかりとビスで留めます。お客さんに本来の動きを見せられるよう新たな橋を架けていきます。
さらに、エサ場の雨よけの屋根を下げ、石垣とつなぎました。次第に、4頭のヤギたちが楽しく行き来できる新たな橋の形が見えてきました。
かつて、高い所が好きなヤギのためにと足場板で橋を作ったものの景観と馴染まず、殺風景だったヤギの展示スペースが…、園内にあった枝や岩を使い、周りの景観にマッチしたより自然に近い環境に生まれ変わりました。
上り口が1か所。高さはあっても平坦な一本道で、ヤギたちも退屈しそうだった橋が…、カシの枝を並べることで野生のヤギたちが暮らす岩山の足場の悪さを再現。平衡感覚が優れたヤギたちは楽しんで渡れるはずです。
抜け落ちそうなボロボロの板で蓋をされた高さ2メートル60センチもある、井戸を隠すための石垣は…、一部を崩して低くすることでその脇に作った岩山ともつなぎました。自然の山のようなゴツゴツした斜面を上り下りできます。
いよいよ本題に挑むチーム金井。10月に花嫁を迎える、キリン小屋のリフォームです。ニックもその完成を、首を長〜くして待っています。