山の子

 この深い山が母なら、木々はその大地に根をおろした山の子どもたちとなるのだろうか。
 私たち人間が育てるには、あまりにも流れる時間単位が異なる山の子どもたち。
 ところが、日本の多くの山林は、人の手によって育てられているのが現実である。
 人の手によって植えられ、育てられる木々は、途中から野性木のように、勝手気ままに生きていくことは出来ないという。
 木の影からふと眺めると、急な斜面からそんな木々たちが顔を覗かせていた。
 彼らは何年後、誰の手によって何に生まれ変わるのだろう。

 
熊野街道
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Photo:Shuji Enmando