年々夏が長くなっていくように感じるは、私だけだろうか。この山の頂に立ち、風に揺れるコスモスの花を眺めていると、ここに間もなく秋の訪れることを感じ、少し安心するのも変な話かもしれない。 ここ伏拝王子跡近くから望む山並みは果てしなく続き、まるで大きな黒い海原が波打っているようだった。 少し視線を落とすと、わずかな平地を作り、そこに作物を植え、花を咲かす人の持つ力と優しさに出逢う。 深い自然の中で、たかだかこんな一瞬の光景に、大きな安らぎを感じることが出来るは、どうしてなのだろうか。