広い砂浜に延々と続く松原。 昔、この国の多くの海岸が、このような光景だったのだろう。 松の木陰に、腰を下ろし、遠く水平線に想いを馳せる。 海岸を見渡すと、まだ海水浴のシーズンでもないのに、 多くの人たちが、同じように海に向かって座り、語らい、 読書し、そしてなにもせず、ただ海を眺めていた。 ここには街に溢れている情報など、なにもない。 人々は海に何を求めてここに集まってくるのだろうか。 それでも人々はここに集まってくる。