これだけ都会に近い場所では「自然」そのものが微妙です。大竜寺近辺の極相林のような自然もあれば、作られた自然もあります。
大竜寺付近を除いて禿山だった六甲では、20世紀の初めから大規模な植林が始まりました。およそ100年以上たった今は森が育ち、小鳥や昆虫、ケモノたちのよい棲み家となりました。つまり六甲の山のほとんどは再生された自然ということになります。
目指す姿によってもさまざまなありようが考えられるでしょう。イノシシが出没するのも自然ですが、そのイノシシが人からエサをもらい、人里で食べ物を漁ってしまうようになった現状をどう考えればよいでしょうか。現在も緑の山を育てる努力は続けられています。イノシシが完全に野性化できる自然を目指しているとは思えません。やはり、「人の入っていける自然」が求められているように 見受けられます。
どの程度の自然が必要なのか?
誰のための自然を求めるのか?
ということを考える時期に来ているのかもしれません。
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