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文化の日っぽく

2008113011170000.jpg■11月3日。64年前に憲法が公布された日ですね■日本国憲法は昭和21年11月3日に公布され、これが文化の日の由来。その半年後、昭和22年5月3日に施行され、この日が憲法記念日になりました。戦後民主主義教育の真っ只中に育ったので、こういうことは今でもスラスラ云えます。荒天の続く今年の秋ですが、今日はピーカン。たしか『晴れの特異日』ですよね、さすが■ABCホールは本日、民謡グループ『十二單』のコンサート。演劇ラッシュの中、こんな催しもやってます。

■内田樹さんの『街場のメディア論』を読みました。うー、強烈に胸を打つ、頭に響く言辞に満ちた本です。内田さんの書かれるものは、表現は平易だけれど内容は結構複雑な場合が多いと思うのですが、この本は、私自身がメディア側の人間であるせいもあるのでしょうが、ページをめくるたびに深く感じ入ることの連続でした■テレビや新聞という媒体に対しても厳しい、目からウロコな指摘がいっぱいあるのですが、僕が一番強くうなってしまった、「本」についての記述・・・

『あなたが著作権を有する本をすべて定価で買い取って、廃棄処分にしたい(誰にも読ませたくないから)』・・・この申し出を前に、一瞬でも(断ることを)逡巡する人間には物を書く資格がないと僕は思います。 ※2つ目のカッコは艦長補足

痛快~!

■この一文の中に、この本のエッセンスが詰まっていると僕は思います。つまり内田さんは、

《ひとりでも多くの人に自分の考えや感じ方を共有してもらう》こと、そしてそれが、《世界の成り立ちについての理解を深める一助になる》こと、が、本を書くことの目的であるべきだ。

と語っているのです。本作りは商品作りではない、本質的に『知の贈与』なのだ、と。この考えはもちろん全ての《表現》に広げることが可能です。

■テレビ、新聞、出版などのメディアのみならず、教育や医療までがすべて《ビジネス》として語られるようになってきました。自分たちの過失や享受した利益を忘れてひたすら学校に抗議する親が増え、行政の指導で『患者様』と呼ばれるようになった患者たちは平気で悪質なルール違反をするようになりました。つまり、お客が店に理不尽なクレームを云う感覚です■この風潮は、口当たりのよい、平易で、実用的で、刺激的で、定型的な情報ばかりが商品として垂れ流される日本のメディア界の現状と原因を一にします。つまり、あらゆる社会関係を、商品やサービスを提供する人とそれを金で買う消費者との関係でとらえてしまうという現代日本の陥穽です■文化人類学者レヴィ=ストロースが探求したコミュニケーションの起源に論は及び、この本はついに、人間の社会活動の原点として思い出すべきあるひとつの言葉にたどり着きます。それは、

『ありがとう』

・・・突然こう書いてしまうと薄っぺらい道徳論のようですが、そうではありません。内田さんがどんな思考過程を経て、この『ありがとう』にメディアの本質があると結論づけたのか、是非確かめてください。小さな新書ですが、とても重い本だと思いました■(『ビジネス』という言葉に日々悩める)艦長

 

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2010年11月03日水曜日
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2010年11月06日土曜日
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