■N-Trance Fish「それでも『これ』は奇跡のカケラ」、明日から(土)(日)(月)の3日間4ステージの公演が始まります■エヌトラの作品って、基本ダンスでありながら、毎回なんというか非常に思索的なテーマ、しかも既成の文学や哲学だとかに寄り添ったものではない、あくまで主宰・尾沢奈津子さんの肉体の奥から溢れる「体感的」(?)な命題が掲げられています。今回のそれは、『欠落』なのだそうです。・・・身に沁みる言葉だなあ。人間誰もが持ち、きっと一生付き合っていかなければならない、それぞれの何か■小さい頃、自分が特別な人間だと思っていませんでしたか?僕は思っていました。自分は全てにおいて満点で、特別なものが見え、特別な運命に導かれている気がする、ある意味最も幸福な状態。やがて学校に通い出すと、同年代の他人と比較されて徐々にリアルな自己像を否応なく把握させられ、社会に出て更に過酷な試練に晒されて、夜ごと「アーオレハナンテ・・・!」などと嘆き叫ぶことになる・・・■『欠落の自覚』は大人の証なのかもしれません。そして、同時に生きて行く上でのエネルギーの源なのかもしれません■平安朝最大の権力者・藤原道長はその絶頂期の宴で、『この世をばわが世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば』と詠んだと伝えられます。つまり、俺の人生に欠落はないぜ、と。しかし実はその道長も、子供たちに次々と先立たれ、自身も様々な病に苦しんでいたそうです。人の恨みを買うことを恐れず、成し得ることを全て成し遂げた果ての苦しみは、ひょっとしたら市井の人々が抱える悩みより一層深いものだったのかもしれません■さて、「望月」という言葉が出たので、ひょっとしたらと思って暦を調べてみたのです。すると、N-Trance Fishの公演の中日・9月27日(日)が今年の『中秋の名月』(旧暦八月十五日)。そして、本当の満月は、千秋楽の翌28日(月)、しかも今年一番大きい、いわゆる「スーパームーン」が見られるのだそうです■うーむ、よく出来ている。ていうか、欠落してないがな。あとは台風が逸れて雲が出ないことを祈るばかりです(艦長)
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- 2015年09月25日金曜日