■「大王」こと後藤ひろひと。何の権利があってかもう何十年も前からこの偉そうな名前を勝手に名乗っている、でもやはり、関西が誇る劇作家で、演出家で、俳優。昨年は川下大洋・三上市朗・後藤ひろひとによるユニット「大田王」の久々の公演をABCホールで行い、その最高(最低?)に下らない一面を見せつけてくれました。しかし実はこの大王、もう誰が観ても感動する、どこに出しても恥ずかしくない名作戯曲を数多く発表しています■その中のひとつ、『ダブリンの鐘つきカビ人間』がまもなく久しぶりに全国5都市で上演されるのです■このお芝居は、大王が遊気舎の座長だった時代の1996年、伊丹のAI・ホールと東京・下北沢のザ・スズナリで初めて上演されました。当時人気上昇中だったとはいえ、関西の小さな劇団による、小劇場での公演でした。しかしその後、この作品は、2002年と2005年に、当代一流の豪華キャストにより渋谷のパルコ劇場ほかで再演・三演され、大反響を呼んだのです■美しく、そして怖ろしいお話です■姿は醜いけれど心が限りなく美しい、「カビ人間」と呼ばれる男と、思っていることの反対のことしか口に出来ない少女の恋。中世ケルト風の不思議な町で繰り広げられる物語はやがて涙なくして観られない悲しい結末を迎え、そして更に驚愕のどんでん返しが劇世界全体を包みます■しかし、本当に怖ろしい・・・と僕が思うのは、この劇の上演時間の90%が余りにバカバカしいシーンで出来ている、という事実です。登場人物は上から下まで、とんでもないヘンテコリンばかり。王様は演説で突然新作落語を語り、いわくありげな市長とシスターは突如、母校・群馬水産高校の校歌を唄い出す。群馬には海がないのに。ていうか、どうみても舞台は中世ヨーロッパ風なのに・・・。もう何が何やらです■大馬鹿野郎たちに笑わされ、切ない運命に泣かされ、怖ろしい真相に震え上がらされ・・・観客はまるでジェットコースターに乗っているかのように、あらゆる感情の波に翻弄されるのです。是非、その興奮を劇場で味わってみてはいかがでしょうか。主役のカビ人間は、念願の後藤作品出演が叶った好漢・佐藤隆太さん、大王もそのまんま、素っ頓狂な王様役で出演します(艦長)
ダブリンの鐘つきカビ人間<大阪公演>
■会場 森ノ宮ピロティホール
■日時
11月13日(金) 19:00
14日(土) 13:00 18:00
15日(日) 13:00
■料金 一般 8,800円
U-25チケット 5,000円
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- 2015年09月20日日曜日