2010年2月28日放送
焼肉をすると電気が消える家
■元々4世帯用のアパートで、台所やお風呂、トイレなど、主要な設備が4軒分残ったまま。すべて単身者用に作られているので、どれも小さい
■4軒分の光熱費が掛からないように、そのうちの1室に親子5人で暮らしているため、非常に窮屈な思いをしている
■1軒分の電気容量が20アンペアしかなく、頻繁にブレーカーが落ちる
■1階の2部屋をつなげる為に、ご主人が壁を壊しており、その際に大事な筋交いを切っている可能性があり、耐震面の不安がある
■2階の部屋は、生活空間としては使っておらず、物置代わりにしているため、土足のままで入っている
■外階段やベランダが老朽化しており危険
光の魔術師
大塚正彦
近所のお子さんが家の中を走り回っている。そんな僕たちが失ってしまった幸せそうな風景を見ることができてすごく嬉しかった。だから、便利さを追求するのではなく、今の生活、近所との付き合い、自然との関わり方を上手く調和させて、このアパートを良い住宅にしたい。
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赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます
大きく姿を変えた1階
「匠」の手によって元のアパートを想像できないほど変わった新しい家。大きなガラス戸を開けば、それは友達や親しい隣人を招き入れる開放的で個性的な玄関に。 一歩踏みいれば、そこには構造を補強し、軽量鉄骨を組み直して生み出した、柱一つない大空間が広がります。
外からの視界を完全に遮り、プライベートを守るため、縦型のブラインドもガラス戸に沿って設置。
収納式の堀座卓の奥には、大きくて使い易いキッチンを用意しました。お母さんはそのシンク越しに、リビングで遊ぶ子ども達や近所のお友達と楽しく語らうことでしょう。
天井にある吹き抜けを囲う格子は、開放すれば風を通し、閉じれば、保温性や機密性を高め、過ごしやすい環境を作ります。
土間との間は、障子で仕切る事も可能。夜には、部屋そのものが美しい照明のように。縁側の下からこぼれる淡い光も土間の回廊を優しく照らしてくれます。
広さを活かした便利な空間
元が4世帯分のアパートという広さを活かして、1階にはこの家ならではのものが…
子ども達のために無農薬野菜を育てているお父さん。その農作業の道具や採ってきた野菜を、そのままかけても壁が汚れない、アクリル板の壁面収納を土間に設置。そして土間の奥には、畑仕事の後、手押し車がそのまま入れる作業場が。
土間の反対側の奥には、お友達やご近所の方が集まる事が多いことを考慮して設けた、男子トイレと共用トイレが作られています。
2階も広さを活かした「匠」のアイデアが。照明を設置したむき出しの鉄骨に金具をとりつけると…なんと子供達も大喜びのブランコが!
その鉄骨の更に上には、屋根の高さを有効活用した、広さ9帖ものロフトが作られていました。成長とともに増えるであろう子供達の荷物も、たっぷり収納できます。
大容量の収納は夫婦の寝室にも。衣替えの必要もないほどたっぷりの衣類が収まるウォークインクローゼットが、寝室の横に設けられました。
再利用で新たな役割を与えられたもの
解体時に出てきた廃材や、元の家の骨組みを上手く再利用し、新しい家の表情を生み出した「匠」。
玄関前にある、ポストも兼ねた表札。これはかつての台所で使われていた、小さな流し台を再利用したもの。
一階の和室の堀座卓の足下には、以前使われていた浴槽を再利用。素材自体に保温性のあるその浴槽には、床下に設置されたエアコンの温風が、側面に開けた穴を通って送られてきます。
かつて吹きさらしだった外階段は、そのまま再利用。錆を落とし、色を塗り替えた後、鉄とモルタルで作られていた踏み板部分を厚みのある木材で覆いました。周囲には鉄のフレームを組み上げ、強化ガラスをはめ込み、温かい陽の光が差し込む空間に。
その階段を上がった2階では、もっとも陽当たりのよい南側の2部屋分のベランダを一つにつなげ、洗濯物や布団がたくさん干せるようにしました。
そして1階の壁には、鉄骨の家らしからぬ古びた木の柱が…。実は、家族がこの家で暮らし始めて以来、ずっと記されてきた3人の子供達の成長の記録を残したのでした。
東京都渋谷区
カイエ
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