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2010年6月27日放送

外国人をもてなせない家

この物件が抱える問題

  • ■江戸時代から300年続いた呉服屋だったが、住む人が途絶え、無人になっていた家。40年前に増築した部分はトタン屋根で、せっかくの風貌を損ねている
  • ■定年後、生まれ育ったこの家に夫婦で移り住みたいが、暮らしに必要な設備があまりに古く、生活の場として全く使いものにならない
  • ■五右衛門風呂を体験しにくる外国人のお客さんをもてなしたいが、食事を用意することも、泊めることもままならない
  • ■かつての店舗部分を、お母さんが所属する卓球サークルの練習場としているが、家族がこの家に入るのは月に数回の練習の時と、仏壇にお供え物をしに来る時くらい
  • ■家中痛みが激しく、歪んだ建具の隙間から冷たい風が吹き抜け、日本家屋特有の寒さに追い打ちをかけている
  • ■いびつで危険な階段を上がった2階は30年以上使っておらず、台風で天窓が飛んだ際の雨漏りで床が腐り、今にも抜け落ちそうな状態
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この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

写真:「匠」の顔写真

住風景の探訪者 大野晃貴彦

母屋は今の趣を残しつつ、日常的な利便性を良くする。昔住んでいた頃には気付かなかった、良い部分の新たな発見や空間的な迫力を、リフォームで引き出す。

全ての問題を解決したそのビフォーアフターをご覧ください!!

赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます

家族の幸せを願った「匠」からのアイデア

日本家屋の趣きを引き出すリフォーム
リフォームによって外観は、和風建築の風情はそのままに、風格漂う佇まいを取り戻しました。漆喰の白と焼き杉の深い色が美しいコントラストを見せ、石州瓦の落ち着いた輝きが重厚感を漂わせています。

島根県特産の石州瓦のもう一つの特長が、大黒様が微笑む鬼瓦。この象徴的な瓦のあしらいは、家の繁栄と幸せを願ったもの。

くぼみをつけて作られた玄関ポーチには、道路との間に間接的なスペースを設けました。一歩入ると、その一角には、和の趣きを感じさせる「つくばい」があしらわれ、訪れる客の目を楽しませてくれます。

玄関をくぐった後も、その趣きは続きます。かつての反物棚を再利用したギャラリー。そこには、倉庫の中から出て来た、この家の歴史を物語る思い出の品々が陳列されています。屋号が書かれたガラスを棚板に使うなど、お蔵入りしていたものを再利用で活かすアイデアも。収納棚の向こうには、店で使っていた家紋入りの暖簾が目を惹きます。

ゆったりとした空間を感じさせる天井の吹き抜けには、太い梁が何本も顔をのぞかせ、迫力を生み出すと共に、家の歴史を物語っています。
画像: 匠のアイデア
形を変えて蘇る日本情緒
引っ越しの際に倉庫から出て来た円卓。その天板を剥がし、防水処理を施された下地は、反物を貼り付けた障子と共に丸窓として生まれ変わりました。夜は障子越しにこぼれる部屋の明かりが、味わい深い表情を醸し出します。

呉服屋時代、店の主が暖をとっていた掘りごたつは、その形を生かして囲炉裏として蘇りました。

外国人のお客さんが楽しみにしていた五右衛門風呂。解体された釜は、表面の錆をそぎ落とし、発泡ウレタンの断熱材とモルタルでコーティング。中庭に面した場所に設置され、なんと露天風呂という新しい憩いの場になりました。

夫婦の寝室のベッドの枕元には、「匠」の感性が光るオリジナルのベッドボードが取り付けられました。反物をあしらったデザインとライティングで、高級な和モダンの雰囲気を生み出したのです。
画像: 匠のアイデア
家を楽しむ
卓球コーナーに隣接した、落ち着いた雰囲気のソファーが置かれたこの空間は、なんと正面にある漆喰壁をスクリーンにして、ホームシアターとして楽しむことが出来ます!

居間の座卓は、倉庫から出て来た火鉢を組み込んだ「匠」オリジナル。掘りごたつの床には、特別に作った「萩焼のタイル」が貼られた床暖房を設置。冬は暖かく、夏は冷たい肌触りで、1年中快適に過ごせます。

リビングダイニングは、高さ2メートルに及ぶ巨大なガラスで囲まれ、室内に明るい日差しが差し込みます。張り出した部分の床にもガラスがはめ込まれ、大好きな金魚が泳ぐ池を、真上から覗くことができるお父さんの特等席が出来上がりました。

更にお父さんの大好きな金魚は、こんなところにも。新しく作られた浴室の壁の一面に、色鮮やかな金魚が黒や赤のモザイクタイルで描かれました。

中庭には、畳2帖分の月見台が作られました。落ち着いた色に染められた畳は、雨に濡れても痛みにくいプラスチックで出来たもの。庭を一望できる月見台に座り、月や自然を愛でながら、宵を楽しむ日本の古き良き風習は、外国人のお客様にもきっと感動を与えることでしょう。
画像: 匠のアイデア
古い家具を使って新しい収納を
ホームシアターが楽しめる部屋の、ミニバーとして使える備え付けカウンターの下では、長年使われていた茶箪笥を「グラス入れ」として再生したリメイク家具が味わいを出しています。

同じ部屋に置かれた、昔の反物をクッションカバーに使った渋い柄のソファーは、座面の下の部分が店の調簿台を再利用して作られており、引き出しがそのまま活かされています。

かつて店舗で利用していた反物棚は、食器棚としてシステムキッチンの向かい側に復活。その収納力は、来客の多いこの家にぴったりでした。

もちろん、新たに用意された収納も充実。特に寝室に併設されたウォークインクローゼットは、畳2帖分もあり、収納力も十分です。
画像: 匠のアイデア
今回お手伝いいただいた工務店の皆さん
写真:工務店の皆さん
広島市西区 株式会社 BST
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