2010年7月18日放送
タイムスリップする家
■店舗兼住宅に、おばあちゃんとお孫さん一家が同居しているが、同居前に1人暮らし用にリフォームしてしまったため、家族4人で暮らすには台所が狭いなど不便なつくりになっている
■車椅子でも入れるようにと改装したトイレは、食卓の真横にあり、臭いや音が気になる。また、そのトイレに隣接して今は使われていない古いトイレがある
■ダイニングの一角に置かれたベッドでおばあちゃんが寝ているため、早朝に仕事に向かうお孫さんは電気をつけることもできず、音をたてないように気を遣いながら、出かけている
■2軒の建物を無理矢理繋いで1軒にしているため、2階には60cmもの段差が存在する
■毎日おばあちゃんが2階の仏壇にお供えに行く時に上り下りする階段は、畳半帖分にかけられた、まるで梯子のように急な傾斜角で、おばあちゃんだけでなく、2階に寝室がある幼いひ孫にとっても危険
■2階は、かつて従業員が住み込みで使っていた部屋があり、使われなくなった狭い台所が今でも残っている
安らぎの生活仕立て人
山田高志
この家の成り立ちとして、増改築を繰り返しているため、今の生活には不便で暮らしにくい部分が残っている。今回のリフォームを機にお店を閉めるので、おばあちゃんのお店への思い出を家造りに活かしたい。
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心地良い住居
和の風情漂うアプローチと杉の扉は、初めて出来た住宅用の玄関。優しく家族を出迎えます。
玄関を抜けた先に広がるリビングには、柔らかな光が溢れています。それは、無理矢理繋いだ2つの家の屋根と屋根の間にあった物干台を壊して作られた天窓からの光。少し南に傾けた大きな2つの天窓は、その下にある開放的な吹き抜けを通じて1階まで光を届けてくれるのです。
その吹き抜けには、真夏の強い日差しを和らげ、冷暖房の熱効率を高めるよう、カーテンレールを使った開閉自在のシェードが備え付けられました。
リビングの奥の仏間の天井は、2階の床を60cm上げたことで立派な梁があらわになりました。
また、底上げしたことで天井までの距離が近くなってしまった2階は、天井を外すことで開放感をもたらし、同じく梁の美しさを堪能できるようになりました。
1階の仏間から臨むのは、3畳分減築したことで生まれた坪庭。しかし、お隣の家の壁が目の前に迫り、圧迫感があるので、石垣に見立てた鏡を立て、庭を映りこませて奥行きを出しました。
工夫と配慮の家
洗い出しの「たたき」が趣を感じさせる、新しくできた広々とした玄関。おばあちゃんを気遣って、上がり框を低く抑えることで、上り下りしやすくしています。
駐車場側にも大きく開く扉を用意し、雨の日でも濡れることなく車の乗り降りが出来るようにしました。
構造の一部も兼ねた箱型のらせん階段。おばあちゃんがリハビリを兼ねて、ゆっくり上がれるよう作られたその階段は、踏み板の幅が広く、勾配も緩やかになり、前よりも昇り降りがずっと楽になりました。
おばあちゃんの寝室に作り付けた畳ベッド。上の畳を外して、スルスルッと壁の中へと押し込むと、作り付けの収納の下にぴったりと収まります。そして、隣の仏間との間の敷居を取り払えば、寝室と仏間を続きの大広間として利用できます。
おばあちゃんの思い出
「匠」は数多くの思い出を、家に埋め込みました。
靴や雑貨が大量に収まる玄関脇の収納スペースには、おじいちゃんが描いた和菓子のデッサン画があしらわれたガラス戸が取り付けられました。
再利用した手すりが取り付けられた階段の壁に飾られたのは、お店の屋号が入った菓子箱に古い菓子型をあしらったオブジェ。
その階段の先にあるのは、おじいちゃんとの思い出が詰まった和室。仏壇を1階に下ろした以外は、ほぼそのままの姿で残されています。おじいちゃん愛用の椅子に座り、窓の外に目をやれば、当時の懐かしい思い出が蘇ります。
さらに和室に併設したのは、骨董品集めが趣味だったおじいちゃんのギャラリースペース。かつて廊下だった空間に古い欄間や建具を利用して作った、「匠」の心憎い演出です。
愛知県名古屋市守山区
立建
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