2011年6月12日放送
台所がお風呂の家
■以前は精肉店を経て、テイクアウト専門の焼き鳥屋を営んでいたのだが、店主のおじいちゃんが亡くなってから店は閉めたままになっていて、業務用の冷蔵庫など無駄なスペースが多い
■親子3世代4人で同居し、焼き鳥屋を再開したいが、建坪たった12坪の家の間取りには多くの問題があり、障壁となっている
■かつて増築した三角形の部屋には、台所とお風呂が並んで存在し、浴室としての壁も仕切りもなく、窓も隣家と密接しているため開けることができない
■風呂場と一緒にある家庭用の台所は使い勝手が悪すぎる為、元店舗の厨房で支度した食事を2階までお盆で運んでいるが、その何度も往復する階段は、急勾配な傾斜な上、暗く、片側に壁も無いため非常に危険
■洗面として使っている2階のシンクは、天井裏への階段の下にあり、傍に冷蔵庫を置いていることもあり、非常に窮屈
■2階建てで登記されているが、かつて改築した屋根裏部屋は規定の1400mmの制限を超えた1600mmの高さがあり、現行の建築法だと違法建築となる
■声楽教室を開きたいが、そのスペースが確保できない
身の丈の住作家
池田佳人
住まい中心で考えた間取りではなく、やはりお店中心で考えられているので、住むという空間としてかなり問題が多い家。また、焼き鳥屋の再開や声楽教室など、家族からの要望も盛り沢山でプレッシャーを感じるが、頑張りたい。
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赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます
「焼鳥とらや」の復活
黒を貴重としたシックな外観をまとって再開することになった焼き鳥屋。
格子には、お孫さんが描いた絵が焼き付けられ、お店の新たなシンボルに。その格子には、まるでトリックアートのように、見る角度によって2種類の違った絵が見える仕組みが!
片方はニワトリと可愛らしいヒヨコたちの絵が。もう片方からは、声楽教室をイメージした歌を歌っている女性の姿が浮かび上がるのです。
提灯をアレンジしたお品書きの上には、風格ある「焼鳥とらや」の看板が。それは、おじいちゃんが経営していた頃に使っていた、巨大な1枚板で出来た年代物のまな板。包丁の傷もそのままに、屋号をレーザーで刻印したものです。
亡きおじいちゃんが長年愛用した焼き台は、キレイに磨いて再利用。テーブルの脚と一体化させたイスは、長時間の立ち仕事には、大助かりです。
お店のシャッターは、軽くて開け閉めが楽なものになり、そこには、かつてのシャッターに描かれていた画を縮小し、転写しました。
おばあちゃんが楽に過ごせる家
かつて店舗の壁に貼られていたお孫さんの絵を飾った玄関には、4人分の靴もスッキリ収まる大容量の靴箱と、ベンチが備え付けられました。
玄関から続く廊下やトイレには手すりを設置。おばあちゃんの体を支えてくれます。
そして、急勾配で上り下りが億劫だった階段は、場所はそのままに、段数を1段増やしたことで緩やかになり、楽になりました。
膝の調子がよくないおばあちゃんのために、「匠」はベッドを用意しました。手の届く範囲には、出来る限りの収納を設けています。
向かい合うように配置されたお母さん用のベッドは、足下を跳ね上げることで、引き戸から続く階段下収納への動線が確保されます。普段使わない物を仕舞っておける階段下収納。「匠」は、有効に使えるわずかなスペースも見逃しません。
スペースを活かした声楽教室
新たに作られた寝室の突き当たり。かつて水回りが集まり台所とお風呂場が一緒になっていた三角形スペースは、お母さんの念願だった声楽教室に生まれ変わりました。
角を有効活用したクローゼットには、教室に来た生徒さんの上着なども掛けておけます。
レッスンを行う際、寝室の生活空間はカーテンをぐるりとまわして隠します。こうしてスペースに2つの役割を持たせ、用途に応じて使い分けることで狭さを解消。目隠しのカーテンをバックに生徒さんが立つ場所は、さながらステージのようです。
音に配慮して、廊下との境には普段使いの引き戸の他に、普段は壁に収まって場所を取らない防音扉も取り付けました。
思い出を大切に
開放的で明るいリビングダイニングの中でも、ひと際目を惹くのがベンチの背もたれ。実はこれ、おばあちゃんが着なくなった、たくさんの着物。「匠」はそれらをパッチワークし、家族の団らんスペースに、思い出と彩りを添えました。
座布団カバーも、同じくそれらの着物を再利用。そのベンチの下の空間も無駄にせず、収納として活用しています。
食卓を見守るように掲げられた家族の写真。「匠」は、大切な記憶がいつまでも鮮やかに輝いているようにと、最新のデジタル技術で、褪せてしまった写真の色を復元。心に刻まれた思い出と同じように、写真も見事に蘇りました。
毎日が暮らしよい日々に
リフォームで一番期待されていたお風呂場。広々とした脱衣場。浴室との仕切り。ゆとりの洗い場に浴槽。全部、家族の夢でした。さらに、壁に埋め込まれた操作盤に音楽プレイヤーを接続すると、浴室の天井に取り付けられたスピーカーから音楽が流れる仕掛けが!「匠」は、音楽好きの一家のため、心憎いほどの素敵なバスタイムを演出しました。
ベランダはウッドデッキに姿を変え、揺れる青い樹々を見ながらお茶が飲める特等席になりました。「匠」特製の三角テーブルはキャスター付で簡単に移動することができ、中央の丸い天板を開けると、その中には七輪を内蔵。下の店から炭さえ持ってくれば、いつでもここでバーベキューを楽しむことができます。
1階の脱衣場とは別に、2階のキッチンの隣、階段を上りきった場所にも、洗面台を設置。女性4人暮らし、毎朝の混雑を解消します。
2階の北側には、左右合わせて7帖もの大容量の床下収納が。その壁にある窓を開けて、階段の蹴込み部分を開けば、気持ちのいい風が家中に吹き抜けます。
スキップフロアで生み出されたお孫さん2人の個室は、階段を挟んで左右にならんだお揃いの部屋。その中央に設置された1台のエアコン。実はここに、経済的な仕掛けが。下からつなげたレバーを左右に動かすとエアコンの前に設置されたアルミのパネルが連動して、左右に移動。これなら一台で両方の部屋に風を送ることも、片方だけに送ることもできるのです。
東京都江東区
(株)アイ・デザイン
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