2011年10月23日放送
命がけで庭いじりする家
■高齢のお父さんの趣味の庭いじりは、高さ2メートル近くもある石垣の上の、幅50cm程度の小さなスペースでおこなわれている
■庭には、柵や体を支えるものが無く、足元に物が散らかり非常に危険
■庭へは、通りへの外階段の途中から石垣に足をかけて上がらねばならない。その外階段も急勾配で、外出の際に下りるのもためらわれる
■収納が少ないため、浴室を納戸代わりにしているが、荷物が溢れ、扉を開けることもままならない
■トイレも非常に狭く、男性が立って用をたすだけの奥行きも無い
■3方を隣家に囲まれており、手で触れるほど密接しているため、陽の光がほとんど入らず、台所は電灯を常時点けておかなければ何も見えない
■2階への階段は急勾配な上、踏み板の奥行きが狭く、一段あたりの高さも高い
余白の演出家
岸上勝彦
現状、外階段が急勾配であることや高台に家が建っているといったデメリットな要素があるけれども、それを感じないような改修の方法やアイデアを加え、この環境を上手く利用し計画に反映していきたい。
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風格を感じさせる外観
傾斜した土地の高低差を埋める土を留めていた石垣ですが、野積みのような不安定な状態であったため、鉄筋コンクリートで擁壁を作り頑丈にしました。その際に、壁の下地材だった廃材の杉板を、コンクリートを流し込む型枠に利用したことで、コンクリートに杉板の文様が写り、面白い表情の擁壁が出来上がりました。
その横にある風格漂う焼杉の格子で出来た門扉を開けると、段数を増やして緩やかになった外階段が玄関まで導いてくれます。
玄関には、夫婦2人なら十分な容量の靴箱を設置。居住空間を広くとるため、奥行きを抑え、靴を重ねて置くようにしました。
安全な庭
リビングから直接出ることができる庭。もう、庭いじりの度に危険を冒す必要はありません。
新しい庭を優しく照らすのは、かつてスペースが無く、道に置かれていたお父さんお手製の灯籠の上の部分。
土台部分は、表面に洗い出しの加工を施し、逆さに置いて雨受けとして活用しました。流れ落ちてくる水の音を楽しみ、溜まった水は庭の草木の水やりに使うことも。
鉢植えを置いた棚は、ブロック塀を支えに好きな場所に移動できるので、手軽に庭の雰囲気を変えることもできます。
ご夫婦それぞれの趣味が楽しめる部屋
高さ180cmの窓から射しこむ温かな日差しで照らされた1階の壁は、一面が大容量の収納になっています。その一角には、お父さんのカラオケ機器が。マイクスタンドとテープを入れる棚もしつらえました。
その上は、お母さんの趣味のためのスペース。日舞の小道具や着物の帯を仕舞っておけます。
お父さんの希望で用意された掘りごたつ。家族団らんの場となる掘りごたつは、床下に収納可能。開いた穴を畳で塞ぎ、壁から姿見を引き出せば、なんとリビングがお母さんの日舞の稽古場に早変わり。踊りの腕前に、ますます磨きがかかることでしょう。もちろんお父さんのコンサート会場としても使えます。
収納力抜群のキッチン
天井から床下まで、至るところに収納が用意されたキッチン。もうたくさんの物で溢れてしまう心配はありません。
かつては、納戸代わりに使われ、活躍していなかった浴槽は、内側に板バネの力で楽々上げ下げできる箱を取り付け、床下収納として生まれ変わりました。
キッチンの床を20cm下げたことで、天井にも十分な収納スペースを確保。また、畳の間にいるときは座って過ごすことが多くなるお父さんやお孫さんと、台所にいるお母さんとの目線があいやすくなるという効果も期待できます。
余白の演出家が生み出す空間
屋根を片流れに、既存の梁をむき出しにしたことによって開放的な大空間になった2階も、大容量の収納を完備。
収納棚を兼ねた階段を上がった先には、ロフトスペースが広がります。季節用品などを仕舞うだけでなく、お孫さんにとってもワクワクする空間です。
2階奥に作られた夫婦の寝室。木の温もりに包まれた6畳間にも、あちこちに収納が。以前使っていたタンスもそのまま収まりました。
もちろん収納だけではありません。ベッド脇の障子を開けると、柔らかな日差しを浴びながら、ゆったりとした時間が過ごせるスペースが。10坪という限られた空間の中で、「匠」は見事に寛ぎの空間を生み出しました。
大阪府貝塚市
株式会社 アップ
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